aurea mediocritas

aurea mediocritas

最近の記事

「反ワクチン」に石を投げる前に

1900年代のアメリカの建築家、ロバート・モーゼスは、ロングアイランド州立公園の開発をした際に、道路と立体交差する陸橋をあえて低く建設しました。当時、自家用車を所有できたのは一部の高所得者層であり、そのほとんどは白人でした。いっぽう、有色人種を中心とした低所得者層は大型のバスを利用することが多く、そのようなバスは公園道路にかけられた低い陸橋の下を潜ることができませんでした。のちに、モーゼスは強い人種差別思想を有していた人物であり、自家用車はくぐれるがバスはくぐれない、絶妙な高

    • 死刑と「経済学的に考える」ことの意味 〜『経済学と倫理学』〜

      死刑は廃止するべきでしょうか? これは極めてよく話題になる(そして大体の場合立場が二分化し、両陣営の平行線で終わってしまう)議論です。最初に述べておきますが、この文章で私は死刑を廃止すべきという主張も、死刑制度は存続すべきという主張もするつもりはありません(意見がないわけではないが、それをここで表明しても…という次第)。 人を殺すのは基本的には絶対に良くないことです。これは倫理や哲学の分野では絶対の命題ではないらしい(小浜逸郎『なぜ人を殺してはいけないのか』など、倫理学の

      • ディテールの旅人 〜言葉について思うこと〜

         中学生か高校生だった時のことを思い出して(もちろん、”現役”の方は何もしないで良いのだが)次のような国語の問題を考えてほしい。 本文中の棒線部1「太郎にとって、健太は神様だった。」とはどのような意味か。以下のア〜エのうち、最も適切なものを選びなさい。 ア:サッカーがなかなかうまくならない太郎にとって、サッカー部のエースである健太は憧れの存在だったということ。 イ:家が貧しい太郎にとって、いつもお金をくれる健太は命の恩人だったということ。 ウ:健太はクラスメイトからいじめら

      「反ワクチン」に石を投げる前に