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イメージと現実の違いについて考える

 この画像、アイキャッチでは自動でトリミングされてしまうのだが、本来この写真はスクエア比率なのだ。

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 2015か2016年ころに撮った写真。「green snap」というアプリのフォトコンで賞をいだたいたのをきっかけに運営側の方と知り合いになり、東京ビックサイトで開催されたcreema主催の第一回 hand made in japan というイベントに作品を出品する機会をいただいた。

私は今までこういうきっかけで現実の仕事に結びつくという経験を何度もしてきていて、インターネットでも現実でも作品を見せていく姿勢の重要性を感じている。

 そこで、一番気を付けているのは「現実の作品と写真(ディスプレイ上で見る場合も含まれる)のイメージギャップを限りなく減らす」事だ。

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 たとえば、通販サイトなどで実物とイメージがかなり違った場合、それが返品理由の一つとして認められてもいるのも、これを読んでいる方々はご存じだと思う。

 そして違うパターンでもう一つ、作家ものでよくあるタイプだけど「実物をご覧になってからのご購入をお勧めします」というのもある。インターネットで見ることは可能だが実際の購入には取り扱っている店舗に出向く必要があること、もしくはイベント時などのタイミングで購入しに行くこと。

今の時代、それをしなくても購入できる技術があり、、購入者は「実物を見なくても良い・欲しい」と思ったから「買うという行為をしたい」わけで、それを頑なに拒否するもの、なんというか勿体ないような気もしている。

これは作家それぞれの考え方でもあるので、強要なんてもちろんできない。そして私がそういった考えの作家に「勿体ない」と思うのも自由ではある。

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 こういった今では普通になってしまった「他人にモノを知ってもらう行為」は「色味や質感など、そのモノの魅力を伝えつつ、誇大にならないよう」気を付けなければならないと考えている。

かといって、そのままの「撮って出し」は光量やヒストグラムなど、適切な環境で撮影した場合なら「工学的に」正しい。とはいえ、人間は工学的になんてモノを見ない。ゲーテか、ニュートンか、ではないけれども色彩とその見え方についての自論は持っておきたい。ちなみに私は織物を作っているのでシュブルールの色彩論も勉強中だ。

話は戻って、その「撮って出し」という行為は、私は作品にとって無責任だと感じてしまうので、「現実に見たように感じられる」ような主観を意識して編集加工している。
これは実物以上に良く撮れてしまっていないか、という自問自答の作業でもある。

(この無責任というのは自分の作ったモノを誰かに届けたいという気持ちを持っているならば、届けるモノにも届ける人に対しても責任を持ちたいという事である)

 これに関しては正解がないので、どこまで突き詰めるかは自分次第ではあるんだけれど、せっかく学部にいる身なので、できればそういう研究をしていきたいと思っている。

たとえば私の訓練方法なのだが、よく美術館に行くので、実物の芸術作品とそれが印刷された図録などを見比べてみたり、公式サイトの画像などでディスプレイ上のものと見比べたりするとけっこうおもしろい発見がある。
そもそも美術作品はできるだけ光を当てないほうが劣化しないので、そういった配慮を前提としての展示ではあるが、撮影時にはちゃんとライティングされて、撮られたのだろうから、それを想像するのだ。

そこで、どれをもって「実物」とするのかと考えるのもとても哲学的である。今目の前にあるその色が現実か、それとも再現度を保証された(こういった技術は先人たちの研究の賜物だ)印刷物か、というかそもそも補修されているかいないかでも当時の色から変色している可能性もあるよな…。とか。考え出したらとてもきりがない。

今後博物館に関する勉強もする予定なので、いまの疑問はそれまで温めておくことにしよう。
などなど、こうやって自分なりに考えることってとても大事だと思っている。

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 さて、そんなこんなで、SNSやインターネットではオートトリミングされてしまう問題はこれから色んな場所で議論されるのはとてもいいことなのではないだろうか。インターネットに存在しているもので学術的に品質を担保する必要があるものばかりではないので、きちんと切り分けて考えていきたいと思う。

最後に個人的に、私はタペストリー以外にも自分で撮った写真も販売しているので、れっきとした商品を無料のインターネットに公開しているわけだが、これは商業的に考えたら「色んな人に見てもらう事・広告」として天秤にかけた結果、色んな人に見てもらうことの方が今の私にとっては有益なのでそうしている。
noteの「みんなのフォトギャラリー」ではアップした画像の著作権はそのアカウントに付随するので、そういった試みは良いんじゃないかな。

基本的に悪意ある二次加工で著作者の権利を侵害するものでない限り、文化は二次創作で発展するものと考えているので、あまり過激に反応はしたくないかな、といった考えを持っている。

それとインターネットにアップされた画像はデータを圧縮したり解像度を下げたり、JPEGという形式だったりと、絶対に「同じモノ」ではないので、私はrawデータ(元データのこと)を持っているんだ!という気概もあったりなかったり。

なので、noteに載っている「みんなのフォトギャラリー」にあるものは自由に使ってくださいね。という言葉で今日は締めくくらせていただきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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