白山に呼ばれて②三つの白山神社
「白山」を調べると、最初に必ず「富士山、立山と共に日本三霊山」とある。
ずいぶん前にオウムをやめて、宗教について、いわゆる霊的体験の研究を一人でしてきた。それはオウムと事件について考えるためで、実際の宗教や修行や、いわゆるスピリチュアルなことに私はあまり興味がない。
「霊山かぁ…。まあ、これは観光旅行だから」
これまでに行った「春日大社」「東大寺」、キャンプのついでに寄った「戸隠神社」では、不思議なことが起きたこともあった。「そういうことはある」ことは否定しない。でも、それを求めてパワースポットみたいなところへ出かけようとはまったく思わない。
だから白山が霊山であることにちょっと抵抗があったけど、「白山に呼ばれた気がするから、麓をぐるっとまわってこよう」そう思ってルートを考えた。
白山の周辺にはいくつかの白山神社がある。全国の三千を超える白山神社の総本宮も、前回行った白山ホワイトロードを抜けた白山市にあるようだった。
「なーんだ。あのときもうちょっと足を延ばせば行けたんだ。知らないってそういうことだね」
同じ岐阜県でも、郡上市など西濃地方には行ったことがなかったので、高山市から国道158号線を下りて行って、白山麓を時計まわりにドライブすることにした。
◇◇◇
地図を開いて、白山麓にある白山神社のなかから、岐阜県郡上市にある「白山中居神社」、福井県勝山市にある「平泉寺白山神社」、そして石川県白山市の全国の白山神社の総本社である「白山比咩(ひめ)神社」の三つを通過ポイントになんとなく選んだ。
「白山麓をまわるとなると、岐阜県、福井県、石川県にまたがる旅か。一泊しないときびしいね」
旅のアウトラインは決まった。こんなとき私は、インターネットで調べるのは最低限にする。それぞれの神社の由来などもまったく知らないまま。一泊するだろうと思っても、平日ならホテルも決めない。万が一、車中泊になってもいいようシュラフや着替えは積み込むが、できるだけ流れに任せるようにしている。
◇◇◇
久々に、元オウムの友人のМさんとLINEでやり取りをした。Мさんはスピリチュアルな情報に詳しい。
「この秋は白山方面を探索しようと思って、白山神社にも行ってこようかなと思っているんだ」
「白山比咩(ひめ)神社でしょう。あそこは有名だから、私も行ってみたいんだよね。ククリ姫だよね?」
「うーん、実は詳しいことは全然知らないのよ。紅葉も見ごろになるだろうし、行ってみようかなと」
「楽しみだね。菊理媛尊(くくりひめのみこと)が見えるかな~」
「見えないよ!(笑)」
◇◇◇
「白山に呼ばれた」と思ってはじまったこの旅は、結局、岐阜県、福井県、石川県、富山県の四県にまたがる、長いドライブになった。
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