麻原彰晃の原風景07. 水俣
水俣病について、私は教科書に載っている程度のことしか知らなかった。
教団を辞めてしばらくたった頃、古書店で『チッソは私であった』(葦書房)という不思議なタイトルの本を手に取った。「なんだろう?」と題名にひかれてページを開いてみると、チッソというのは水俣病の原因である工場廃液を海に流していた企業の名前だった。
著者の緒方正人氏は、 網元だった父親を急性劇症型水俣病で亡くし、同じ頃自身も発症する。チッソと国とを相手にした被害補償の闘争のなかで、あるとき緒方氏は、敵対者だと思って