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トヨタが配車サービスLyftの自動運転部門を買収、その理由と背景を考察

 トヨタではなく、正しくは「ウーブン・プラネット・ホールディングス(Woven Planet Holdings, Inc.)」買収をした。
 以下はブルームバーグの記事。

 その記事にもある通り、SECに提出された開示情報を元にリフト(LYFT)の株価は、一時2.4%上昇。翌日の終値は買収は前の水準に戻った。

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 LYFTの発表には、配車サービスに資源を集中して投下できるとある。すると、一部の投資家は買収益がLYFTに対しプラスに作用することなど憶測が先行し、株が上昇したものと考える。翌日には元の水準に戻している。
 そこで、その背景を少し深堀りしたい。

ウーブン・プラネット・ホールディングスとは

 HPによると、今年の1月に設立された持株会社。2018年3月に設立されたトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメントを前身とする。事業は、

 先行開発領域においてトヨタグループ内の連携を強化し開発の加速化
 「Mobility to Love, Safety to Live」をビジョン

とある。ウーバン下には事業会社のウーブン・コア(Woven Core)、ウーブン・アルファ(Woven Alpha)、そして投資ファンドのウーブン・キャピタル(Woven Capital)がある。
(ウーブンHPより引用)

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 自動運転に関連する新技術、先進的かつ安全なシステムを世界に届けることをミッションとする。また、スマートシティのデザインやコネクテッドモビリティ、ロボティクスの技術をトヨタやパートナーと実証していく。その実験場が東富士の裾野にできた。

契約内容

 なお、自動運転車部門の買収額は5.5億ドル。そして非独占的商業契約も締結済みである。なお、リフトが持つ自動運転車部門は「レベル5」
(資料はNHKWEBより引用)

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 つまり自動運転に関する最高レベルの技術を有する。この契約には、自動運転技術の開発を加速、安全性を高め、そのためLYFTシステムとフリートデータをの商業利用に関する複数年契約をした。この買収に伴いリフトの社員約300人もウーブンへ移籍する。ために、Lyftシステムとフリートデータを利用するための商業契約を締結しました。

multi-year non-exclusive commercial agreements

 複数年にわたる非独占的な商業契約。である、つまりトヨタに技術使用と利用を供与したわけはない。将来的に、リフト自身を含むその他会社などへのリフトの技術を使用させることは考えられる。

リフトの目指すもの

 リフトの技術者はウーブンへ移籍する。新しいLyftAutonomousチームとなる。トヨタの技術を基盤とし、コストを最小限に抑え収益の最大化を実現する可能性が広がる。この技術を世界のトヨタに連携することでさらなるAV実現を目指すことになる。リフト自身は、配車サービス向上のための研究開発費を加速できる。

「この取引により、Lyftは主要な自律プラットフォームと輸送ネットワークの進歩に集中でき、この連携により収益性のタイムライン引き込む」

 リフトCEOジョンジマーは述べる。早ければ、今年の3Qには収益化ができると語る。

 つまり、リフトは最高の配車サービスのために必要な技術を更に磨き続けることになる。非独占的な商業契約でもあり、リフトが目指す配車サービスの将来がここにある。そして、リフトが目指すものの途中にあったのが自動運転の技術であったと言える。