編曲の心得①

編曲の心得①

心得なんて書くと、なんだか大袈裟ですね。
たぶん当たり前に感じるようなことしか書かないので
肩の力を抜いてお気軽にお読みください。

まずは音域。
いかんせん、楽器ごとに“得意とする音域”というものがあります。
逆にちょっと無理しなきゃ鳴らせない音、そもそも鳴らない音もある。
とりわけ生音系の楽器は、この点を意識して作業に取り掛からないと
2MIXまで行った段階で「おやおや?」と違和感の原因になりがちです。
まあ最近の音源は“不自然”な音域を端から収録していないことも多く
あまり難しく考えなくていいかもしれませんけどね。

また、歌と同じで、ずーっと無理めな音を出し続けていると
聴き手もどことなく疲れてくるといいますか
ずっとテンションが高い(緊張して力が入ってる)印象が強くなるため
曲に抑揚をつけてあげる意味でも、音域は広く使っていきたいところです。

ちなみに電子音系は相対的に上記のような制限が少ないですが
低音帯域と高温帯域でぜんぜん鳴ってる成分が違ったりする場合
1トラックのなかで双方の帯域を使い分けようとしても
後々ミックス処理が難航するだけです。面倒ですけど、
こういうときはオートメーションを書くよりも
トラックを分けてしまったほうが得策でしょう。

次に楽器のチョイス。
たとえば木管同士ですとか、相性の良い楽器群って確かに存在します。
でもセオリーに囚われることで、何の変哲もない音になる可能性は高い。
(メロディが優れていたり、編曲段階で加筆する対旋律とかが
 しっかりエモく仕上がっていれば特に問題ないですけどね)

私は10代の頃にバンドサウンドを好んで聴き漁ってました。
が、20代以降はすっかりお腹いっぱいになってしまった。
なにせ基本の構成音がベース・ギター・ドラム・ボーカルの4つ、
これだけなんですもの……。もちろん、シンセサイザーおよび
一部の生音系楽器を織り交ぜつつ、エフェクトや超絶技巧を駆使して
独自の色を出そうとしているバンドだってたくさんあります。
とはいえ、全体的な響きとしてはどうしても似たりよったりになる。
これはみんな同じ楽器を使ってるので、物理的に致し方ありません。

ところがそういった制約は存在しないのがDTM。
せっかく自分の好きな楽器を好きなだけ引っ張ってこれるわけですから
いっそのことセオリーとは真逆の構成とかでも実際に書いてみて、
「お、これ意外と調和するぞ?」と新発見を楽しむのも乙ですよ。

あと、ミックスが大変になりますけど生音+電子音の
ハイブリッド構成をたくさん練習していくと、他の人とは被らない
唯一無二かつバラエティ豊かな編曲が可能になっていくでしょう。

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