【小説】虹色歌灯~ニジイロウタアカリ~⑤
5.トモヤ:九月上旬のパープル
中途半端なことしかできないなら、やめてしまえばいいのに。
音楽を愛する者として、はっきり言わせてもらいたい。
「やっぱり、最悪だよな、今」
「そうですねぇ……」
ヨウタも、浮かない顔で、そう呟く。
皆で集まる予定時刻の少し前。午前中にかけもち先のブラスバンドの練習があったおれと、早く出てきたヨウタだけが先に落ちあった。いつもの芝生広場は暑すぎて、仕方なく機材置き場の防音室に来て冷房を入れ、ぼんやりと時間を潰している。
ーー八月終わりの日曜日に出演した軽音との対バンライブは、それはもう、本当に最悪だった。黒歴史としか言いようがないレベルのライブになった。
アキヒロは歌声はおろかMCまで絶不調(しかも身内ネタ全開で、しかもそれがミライへの未練たらたらでこっちが引くレベル)、ミライの声も伸びが足りず、トースケだけがいつもマイペース。さらには練習不足のコタロウのひどさが際立った。アカリはそれを音楽的には快く思ってないようなのに、恋人だからと許している。ステージに立つ時に、失敗を笑ってごまかすのは最悪だ。正直、おれは不満だ。
――最近、サークルが今一つ楽しくないと感じているおれがいる。
そもそも、自分はこのサークル以外にもブラスバンドを掛け持ちしている身だ。それでも、皆のゆるい空気感や、声を重ねたときの感動、フラットな人間関係(ヨウタ以外は学年違えど年は一緒だ)など、ブラスバンドではできない音楽がここにはあると感じていた。
けれど。
相変わらず、アキヒロはこの世の終わりみたいな顔をしてミライに未練たらたらだ。次の相手が見つかるまであの調子なんだろうか。ミライは顔だけは何とか笑っているけどずっと不安定に見えるし、最近明らかに痩せてきている。アキヒロの様子に当てられていれば、心労がひどいのもわかるけれど。トースケはあまりにも物事に動じなさすぎるし。
さらに、ライブの後、アカリとコタロウが大喧嘩をしたらしいと聞いた。理由はよくわからないけど、コタロウが原因らしい。別れる寸前とかそうでないとか。
――どうでもいい。
別に誰のことも嫌いじゃない。でも、音楽をやる以上は、質量ともにきっちり仕上げたいと思う。今だって、練習の端々が甘い。正直、中途半端なことやるくらいなら人前で音楽を披露するなんてやめればいいと思う。
「ライブ云々の前に、一曲一曲の端々の詰めがまだ甘いと思うんだけど」
防音室の隅で、ヨウタはうんうんとうなずいてくれる。
「まぁ、そうですよね。ライブ音源聴き返すと、やっぱり……」
「だよな。でもヨウタは、皆に振り回されずに着実に積み重ねてて、めっちゃ偉いと思う」
初心者だったヨウタは、誰よりもきっちりと練習する。入部してから始めたボイスパーカッションはもうかなりの精度で、いつでもおれと交代できる。アキヒロのベースパートも、コタロウのバリトンパートもしっかり覚えて練習している曲が一つずつ。少なくとも、昨日のライブではコタロウと交代して歌った方が、クオリティが上がったと思う。
ヨウタが、人懐こい笑みを浮かべた。おれもつい、つられて笑む。
「自分はほんと、まだまだなんで。トモ先輩にはぜんぜん叶わないですし。トモ先輩のボイスパーカッションはキレがあって、ほんと自分の憧れですよ。そんなきれいなスネアが安定的に叩けるとか」
「おれはまぁ、ブラスバンドでも打楽器経験ありだからなぁ。ヨウタはヨウタの音作っていって、おれとは違うものになってくれれば、その方が音楽の幅が広がるよ」
「がんばります!」
ヨウタの素直さに、救われる思いがする。おれが持っている技術や知識は、色んなことすべて教えてやりたい。
今、おれをここにつなぎとめているのはヨウタのおかげが大きいんじゃないか。そんなことを思いついた時、おれはふと動揺した。かけもちしているサークルだ、嫌ならいつだって辞めたらいい。けれど、どうしてか、いつまでもここを離れられない自分がいる。
考えるだけ答えは見つかる、――けれど。
防音室は狭くて、互いの距離が近すぎる。おれはヨウタから視線をずらして立ち上がる。
「……今日、学食開いてないよな。おれ、先に行って、ショッピングモールのカフェ見てくるよ。席、空いてたら連絡する」
「了解です。トモ先輩、また後で」
ヨウタがにこりと笑う顔がまぶたに焼き付く。おれはそれを振り切るように、防音室を出る。
おれもまた中途半端なものをあいまいにしたまま、ここに居続けようとしていることに気付く。音楽を整えるっていうことは、一人一人の心を整えるっていうことなら、それは誰にとっても難しいことなのかもしれなかった。
*
結局その日、皆で集まってやろうとしていたライブの反省会は、成り立たなかった。
トースケはライブ後に実家に帰省していたことが判明。ミライは体調不良(トースケがいなくてアキヒロだけが来る日には、ミライはたいてい来ないので、まぁそういうことなんだろう)。アカリは急用が出来て欠席。コタロウは、ライブ後はもうずっと連絡なし。
大学最寄駅と隣接している、うちの大学生御用達のショッピングモール。その中にあるカフェで、ヨウタと後から来たアキヒロの男三人で、黙々とコーヒーを飲んだ。アキヒロが持ってきた録音音源、もう聴き返したくもなくて、おれはずっと黙っていた。
次のライブはこうしたい、ああしたいと普段ならアキヒロは言うけれど、今日は黙りこくったままだった。そりゃ、対バン相手の軽音サークルにも軽くバカにされ、さらにミライはアキヒロを全く目もくれず、自作の歌に一心に情熱を注いでいるばかり。アキヒロが八方塞がりで苦しんでいるのは、もちろん外野のおれたちでもわかる。
おれは黙ったまま、アイスコーヒーを飲み続けた。
ブラックコーヒーは冷たく、かなり苦い。ヨウタがシロップとミルクを二つずつ入れているのを、何とはなしに見つめてしまう。そして、すぐ横のアキヒロの盛大なため息を、少し鬱陶しく感じた。
「……だりぃ」
アキヒロがテーブルに突っ伏す。おれとヨウタは目を合わせて小さく肩をすくめる。
確かにおれたちは、疲れているんだと思う。
音楽をやることにじゃなくて、おれたち、という集団を維持することに。互いに気を遣ってもどこかが爆発しそうになる。一緒にいるのは限界なんじゃないか。アキヒロはたぶんそのことに思い至っているだろう。
結局カフェで三人のまま言葉少なく過ごし、やがてアキヒロはバイト、ヨウタは家に帰ると言って、席を立っていった。おれは夜にブラスバンドのパート練があるから、その場に残ってもうしばらく時間をつぶすことにした。
――気持ちを切り替えて、次の曲でも探して、アレンジでも考えようか。
イヤフォンを耳に押し込み、サブスク再生。流行りのポップスを流し始めた少し後に。
それは、唐突に起きた。
「いいかげんにして! どういうこと? ちゃんと答えて!」
カナルタイプのイヤフォンを突き抜けるほど、激しい声がフロア中に不意に響き渡った。店内にいた客が一斉に顔を上げて、外を見る。
おれは、その声に聴き覚えがあった。イヤフォンをもぎ取り、思わず席から腰を浮かす。
視線の先に、見知った顔が二つ。
(アカリと、コタロウ)
ショッピングモールの広場で大声を上げていたのはアカリだった。横には、少し悲しそうに笑うコタロウが、よれよれのTシャツ姿で佇んでいる。
アカリは何か大きな声で、コタロウを責めているように見える。コタロウはアカリの声を受け止めるだけで、じっとしている。二人の周りがざわざわし始める。何を言ってもコタロウは動じていないようだった。
やがて、アカリはその場で顔を覆って立ち尽くし、コタロウは黙ってアカリを置いて、ショッピングモールを一人で出ていく。
大喧嘩したらしいと聞いてはいたけれど。公衆の面前でこんな風にやりあうなんて、さすがに驚く。他人のふりをすべきか迷ったけれど、やっぱり二人は友人だしと思い直して、急いで席を立った。飲み終えたコーヒーをゴミ箱に投げ捨てて、アカリの元に駆け寄る。
「アカリ」
「トモヤ……っ、うう、」
アカリがそのまま声を上げて泣き出してしまったので、おれはちょっと困った。舞台の上のソロパート以外での注目を浴びるのは好きじゃない。アカリを抱えるようにして、ショッピングモールを出る。
こんな人間関係の中で、音を楽しめる日が本当に来るんだろうか。
穏やかなヨウタ以外の面子は、まだまだ嵐の渦中にいる人ばかり。その日はひどく程遠いような気がして、おれは軽い眩暈を覚えた。
*
空は夕焼けをほぼ終えて、きれいな紫色へと向かう時刻。夜はすぐそこだった。
周りの目もあるし、なるべく静かな場所で落ち着かせようと思って、おれはアカリを再び大学構内へと導いた。むっとした昼間の熱気が残る構内の端、いつもの芝生広場までアカリを導いて、水の止まっている小さな噴水の縁に腰を下ろさせる。
その頃にはアカリのしゃくりあげも、ずいぶん小さくなっていた。
「どうしたんだよ、一体」
学部棟の入り口の自販機コーナーで缶コーヒーを一本買って、アカリの手に持たせると、アカリは泣きはらした顔を上げて、ごめんねありがとう、と小さく呟いて笑った。
「実はさ……、その、秘密にしといてほしいんだけど。あんなとこ見られたから、誤解されたくないし、話すけど。
……あたし、あいつに盗られたんだよね」
「何を?」
てっきり浮気話か何かと思ったが、いつも気丈なアカリが肩を落としたまま語った事情は、おれの予想とは方向性が違っていた。
「……お金」
「は? コタロウに?」
「取られたというか、あたしが渡したんだけど」
「いくら」
「三十五万。車校に行こうと思って貯めておいた、あたしの貯金と前期のバイト代、全部」
「……!」
アカリが長いため息を吐く。ぽたり、と涙が缶コーヒーの飲み口の上で弾けた。
「コタ、前期の授業料、滞納してたらしくてさ……。
奨学金入ったら、冬までに四回に分けて返すっていわれて。で、ふた開けてみたら、そのお金を自分のアパート引っ越し資金にしてて。ライブの後に、引っ越したって知らされたの。でも、どこに引っ越したかも教えてもらってなくて。それからほとんど連絡取れなくなって。既読もほとんどつかなくてさ。ようやく話せたと思っても、笑ってごまかされたり、“そのうちちゃんと話すし、お金も返すから”としか言われなかったりで。
今日は再試の手続き日だから、コタロウが大学来るかなと思って、ごめんね、反省会サボって。コタロウを大学の門の近くで張ってたの。で、見つけて、ショッピングモールまで追いかけて。で、……さっきのように」
アカリの一際長いため息が、黄昏時の芝生に吸い込まれていく。空の紫色がアカリに重たくのしかかる。
「もしかして、……別の人と一緒に住むために引っ越したのかな。あたしにはどの辺なのかも教えてくれないし、引っ越したのがばれてからは、うちにも来なくなったし」
「いや、わかんないけど」
「あたし、騙されたのかな」
「いや、コタロウはさすがにそんな奴じゃないと思うし、何か事情があるんじゃないのかと思うけど」
今までの二人の様子からは想像もつかない。本人にしかわかりえないことがあるんだろうとは思うけれど、にわかには信じがたい。
アカリは缶コーヒーを手放して、自分の両ひざを抱える。夜が迫る時刻、その背中はとてもか細く見える。
「コタロウ、八月ライブの少し前くらいから、あたしの部屋じゃなくて、自分のアパートに帰ることが増えてて。……もう、全然わかんない。別れるとしてもせめて、お金のことだけでもきちんとしてほしいけど」
夜空の端っこに光りだした弓のような月の、頼りない光。アカリの頬はそれを受けて、何とか微笑もうとしている。
「そういや、トモヤは、彼女とかは?」
アカリはきっと話題を変えて、気分を変えたかっただけだろうと思う。けれど、その話題はおれが最も忌避しているものだと、彼女は知らない。
「……いないよ。面倒なのは嫌だし、難しいことは好きじゃない」
「そうなんだ。意外だね。トモヤはイケメンだし、もう一つのサークルに彼女いるのかなぁとか思ってた」
「ふぅん」
軽く流したかったけれど、アカリは、自分の重い話を吹き飛ばすような新たなネタを探しているのか、少し執拗に食い下がってきた。
「じゃあ、好きな人とかいるの? 好みのタイプの人とか」
「……、……」
いないよ、と即答できなかったことをおれは悔やんだ。アカリが明るい表情になるのは悪くはないけれど、だからといって自分のことをすべてさらけ出したいとは思っていない。
空の重たさが、今度はおれにのしかかってくる。紫色、徐々に深まる夜。
「いるんだ。え、どんな人? あたし知ってる?」
どうか今、迫る暗闇で表情が隠れていますように、とおれは祈った。アカリが気付きませんように。おれは、このサークルのメンバーに自分のことを深く話したことはなかった。人を傷つけずに、あまり深く踏み込まずに。表面的に楽しくやれればそれでよかったし、そうやってきた。このアカペラサークルは、人と人との距離を取るのが皆下手で、それが原因で皆傷つき合っている。おれはそこに入りたくない。
――あいつを好きかもしれないと思うことはあるけれど、距離を取って遠くから眺めているだけでいい。
本当に、それでいいんだ。
「トモヤ?」
アカリがびっくりしたように立ち上がって、首をかしげた。
「気に障ったならごめん、ほんとごめん」
「え?」
「だって、トモヤ、泣いてるよね……?」
アカリが指を伸ばして、眼鏡の縁あたりの皮膚を軽く突く。その指先が濡れていて、おれは自分が泣いていたことを知った。何で、いや、理由はわかる。今、動揺と本心を抑え込めなかった。アカリたちの激情に触れて、おれの心もひどくざわめいていたからだ。
すっかり暮れた空を仰いで、深く息を吐く。空には、爪を押したような細い月の光。深呼吸する。少しだけ、心が和らいだ。
「……好きかもしれない人くらいは、いるよ。でも、面倒なのは嫌なんだ。難しいことも好きじゃない。拒絶されたくないから、このままでいい。一緒に音楽が出来れば、一緒に歌えれば、それ以上は望まない」
今、このぼろぼろなサークルでたった一つ、おれをここにつなぎとめている理由。ただ音楽がやれればいいんじゃなくて、一緒に高めていけるから、楽しいのであって。
「え、……一緒に歌えればって、それって」
アカリがはっとする。探るようなまなざしが怖くておれは目を伏せたけれど、アカリの視線はおれを追ってくる。
「あたしじゃないよね。ミライでもない、よね……?」
確かめようとするアカリに、ほんの少しだけうなずいて返す。ずっとおれはそのことを言葉にしてこなかった。おれの中で一番、面倒で難しいこと。おれ自身もずっと戸惑い、できるだけ見ないようにしてきたこと。
「ってことは、つまり」
アカリがおれの真実にたどりついて、目を見開く。
……初めて中学の時に付き合った女の子は、陸上部のとてもボーイッシュな子だった。軽いキスをしただけで、それ以上触れることはできなかった。高校ではブラスバンド在籍中にたくさん告白されたけれど、どうしても気持ちは湧かず、すべて断った。あいつは女子に興味がねぇんだよって冗談交じりにからかわれたのは、今でもトラウマだ。
高校時代、当時好きだった人に一度だけ、ふざけているふりをして想いを口に出した時は、キモ、とだけ返されて一笑に付された。だから、そのまま冗談にして流した。
話して拒絶されるくらいなら、話さずに黙っていた方がいい。
「アキヒロはないでしょ、コタロウもたぶんないでしょ……、ってことはトースケかヨウタで……どうなんだ。ってかうちのサークルじゃないかもしれないか、いや、でも」
アカリは、自分の悩みももう忘れたような顔でぶつぶつ言っている。
「あ、えーと。おれのことはあんまり詮索しないでいいから」
「え、気になるし! できれば応援したいし。あ、でも、気に障ったならほんとごめん。あたしこういうの、デリカシー無くて」
「いや、いいよ」
アカリの反応があまりに素直なものだったので、おれは少し気持ちが軽くなった気がした。中途半端なカミングアウトを、流れとは言えまさかアカリにすることになるなんて。
「あ、そうだ、ちょっと待ってて」
アカリはふと思いついたように走っていくと、さっきおれがしたように、学部棟の入り口で缶コーヒーを一つ買ってきて、おれの手の中に押し付けた。
「さっき慰めてくれたから、お礼。それと、一緒に乾杯しよう?」
「え?」
「お互い、秘密を共有しちゃったってことで、お互いにそっと応援し合う会、結成」
「ああ、いいよ」
アカリの前向きさが心に刺さる。おれはずっと、もう何年も自分の心で足踏みばかり続けている気がする。
「んじゃ、お互い、がんばろーかぁ」
「ああ、そうだね」
「……ライブ、また、してみたいなぁ」
「ん?」
紫の空に光る爪月を見つけたアカリが、うんと伸びをして笑顔を作った。
「冬くらいにはさ、皆のいろいろとか、今の状況とか、ちゃんと整理して。こないだみたいなのじゃないライブをやろうよ。ミライの書いた曲もいい曲だし、もっとこう、ちゃんとしたい。ね」
それは、おれが想っていたことと、とても似ている気がした。
それぞれ立場も役割も違う、それがアカペラ。だけど、根底に流れる音楽への想いは皆しっかりと持っているんだと、この夕暮れ空と月の下で、気づいた。
「うん。そうだね。ライブ、おれもまたやりたい。もっといいステージを」
目を閉じる。昔好きだった友人の、そしてヨウタの笑顔が見える。目を開けるとアカリがあっけらかんと笑った。
「かんぱーい!」
歌がつないでくれた新たな親友の存在に感謝しながら、おれは沈んでいく細い月に向かってプルトップを引いて、アカリと缶を合わせた。
まだ、九月は始まったばかり。次のライブなんて到底考えられるような状況でもない。けれど、これから一曲一曲の出来栄えと、自分の心のかたちを、音と声でなぞって確かめていけばいい。
弓月がするすると紫から藍に染まる空の向こうに落ちていく。世界は夜へ。
缶コーヒーは甘ったるかったけれど、やっぱりほんの少しだけ、苦かった。
*
中途半端なことしかできないなら。――これから、できるようになればいい。
夏のライブの前後に一気にはじけてほどけたそれぞれの心を、おれたちはその先三カ月かけて、じっくりゆっくりつなぎ合わせていった。
もちろん、すべてが解決したわけじゃない。けれど、毎週水曜日と金曜日、おれたちは集まることを続けた。さまざまな感情が飛び交う中で、時に真っ向からぶつかり合いながら、おれたちにしかできない音楽を練り上げていった。
……そうやって、ばらばらなりに必死で今を紡いだ結果は、この冬に。
だからどうか、冬には、予定空けて聴きにきてほしいんだ。
おれたちの歌を。
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NEXT:6.ヨウタ:十二月半ばのクリスマスレッド
~間奏:年末年始の無色透明~ へ つづく
全体目次
1.アカリ:四月初めのオレンジ
2.アキヒロ:四月半ばのブルー
3.トースケ:五月初旬のディープグリーン
4.ミライ:七月半ばのミントグリーン
5.トモヤ:九月上旬のパープル
6.ヨウタ:十二月半ばのクリスマスレッド
~間奏:年末年始の無色透明~
7.コタロウ:一月半ばのイエロー
8.アカリ:三月初旬のレインボー
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