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サウンド&レコーディング・マガジン2023年5〜8月号の記事補足

リットーミュージック様より刊行されているSound & Recording Magazine2023年5月号から8月までFL Studioを用いたAmapiano制作に関する短期連載をさせて頂きました!
このnoteでは書ききれなかった情報などをまとめておきます。

まだ読んでない方はこちらのWebページか実際に本を手に取ってみてくださいね。


今回書いているうちに実際にデモを作った方が理解しやすいと思い、デモを作って各月ごとにまとめておいたので良かったら聴きながら読んでみてください。

2023年5月号

5月号の内容はアマピアノの最大の特徴であるベースサウンドログドラムについてです。
デモは自分の考える一番ミニマルなアマピアノの形がこうなるんじゃないかなという音源です。
今回の記事ではFL Studioに関するもので完結しようということで名前を出しませんでしたが、サブベースにはSublabというプラグインを使っています。

2023年6月号

これも上記の5月号のビートを聴いてもらえば分かると思います。
6月号ではドラムに関するテクニック書いていますが、実はアマピアノで一番難しいのはドラムだと思っています。
ベーシックなのはワンショットのサンプルを並べて構築することですが、おそらく最初はどうしても難しいと思います。
最近だとSpliceにAmapianoのサンプルパックが増えてきているのでここからループ素材を使ったり参考にするといいのではないでしょうか。

もしくは自分がSoundmain様の協力のもと作ったサンプルパックを使って頂けたら幸いです。

2023年7月号

7月号はよく使うプリセット一覧を並べました。
特に南アフリカのプロデューサーテノアフリカから教えてもらったPunchy Drumsをログドラムにかけるテクニックは役に立つと思います。
100%かけるのではなく、うっすらと30%ぐらいかけたり、もしくは使わないなど様々なアプローチがありますが、覚えておいて損はないはずです。
Sound & Recording Magazine誌ではFL Studio内の音源だけの紹介に留まりましたが、Sonic Cat社のPurityというソフトシンセをよく使う音源が紹介されているのでこちらは導入することをお勧めします。
詳しくは2020年時点で書いた記事を合わせてチェックしてみてください。

2023年8月号

連載最終号ということで紹介しきれなかった有名楽曲と内蔵音源の紹介で、0:00〜1:24までがUncle WafflesのTanzaniaを模したビート、1:24〜2:00がDBN GogoのPossibleで使うシンセのリフを模したビート、 2:00〜ラストまでがShaunmusiqのBhebhaを模したビートです。
こうして並べてみると様々なタイプの楽曲があって、アマピアノの進化の過程を感じます。

また、これはとても大切な話なのですが、このデモとTanzaniaやBhebhaと比較して「なんか違うな」と感じる部分があると思います。この「どれだけガワを真似しても真似しきれないニュアンス」こそがアマピアノの本質です。一度アマピアノを作ってみると南アフリカの歴史が持つグルーヴを感じることができます。

終わりに

最終号にも書いたのですが、年々アマピアノという音楽は進化していて一言でどのような音楽と言い切れないジャンルになってきました。
しかし2020年前後のアマピアノがどのように作られているかを知っているとそのセンスの発展形であることが理解できると思います。

最後に今回の連載で書きそびれた話を一つ。
元々ログドラムというのはアフリカの打楽器の一つで、それを模したサウンドがYAMAHAのDX 7というFMシンセに搭載されました。さらにDX 7を意識したDX10というシンセがベルギーのImage-Line社によってFL Studioに収録され、その中でもLog Drumというプリセットが残りました。それをベースサウンドに活用しようと発見したのが南アフリカのMDU aka TRPというプロデューサーです(諸説あり)。
このベースサウンドによってアマピアノがジャンルのアイデンティティを確立し、さらにサウンドの進化を遂げ世界中のダンスフロアを揺らしている…という状況です。
つまりアフリカ(元々のログドラム)→日本(YAMAHA DX7)→ベルギー(FL Studio)→南アフリカ(ログドラムをベースとして活用)と世界中を回って時代の最先端の音楽を作ったという事実にものすごく感動してしまいます。
FL Studioは現代の303、808、909のようなもので、ログドラムは本来の使い方から外れ、新しいサウンドを生み出したといえます。

今回の連載を通して、FL Studioの持つ可能性についてSound & Recording Magazine誌で紹介する大役を任されて非常に光栄でした。
貴重な機会を頂いた編集部様とFL Studioの開発元であるImage-Line様、国内代理店であるHOOK UP様、そして読んでくださった読者の皆様に心からの感謝を伝えます。
そして南アフリカの音楽とアマピアノの魅力が、日本でも一層広まることを願っています。

おまけ

様々な活動をさせて頂いたおかげで一言で何をしている人と説明しづらくなってきました。
今までの活動を簡単なポートフォリオをnote上にまとめておきました。

ご依頼などの参考にしてもらえると幸いです。
それではまたどこかでお会いしましょう!


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