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【audiobook․jp 初テレビCM記念】「情熱大陸」などで活躍するナレーター・窪田等さんに聞く、ナレーション道と本の魅力

7月8日(木)より、audiobook.jpでは初のテレビCMを公開開始しました!
テレビCMは福岡県で放送していますので、福岡県にお住まいの方はぜひ目撃情報をお待ちしております👀✨

「声のプロ」である窪田等さんにインタビュー

今回audiobook.jpの初CMでナレーションを務めてくださったのは、ナレーター・窪田等さん!きっと多くの方がそのお声を耳にしたことがあるはずです。たとえば、『情熱大陸』や『任天堂CM』などのナレーションをされています。

(最近は、ご自身のYouTubeチャンネルも開設。『情熱大陸』ナレーターの収録の様子も公開されています)

ほかにも、新たに開設された「ザ・ナレーター・アカデミー」にてナレーションの指導も行われているなど、多方面で「声」のプロとして活躍されている窪田さん。

今回は、窪田等さんにナレーションというお仕事や読書についてのお話を伺いました。

数秒に込めた工夫や試行錯誤。CMナレーションの裏側

ー「audiobook.jp」CMのナレーションをお引き受けくださり、ありがとうございました。収録中に聞かせていただきましたが、本当に素敵でした。先ほど収録されていた、audiobook.jpのCMナレーションで、なにか意識されていた点はありますか?

窪田さん(以下略):まずは「質感」ですかね。CMの雰囲気が、透明な質感だと思ったのでそれを崩さないように意識しました。

それから、「聞く」という無声音の部分です。
発音は「きく」ではなく「〇く」(きが無声音)になります。その部分を意識して、「聞く」の部分をちょっと強くして入れてみたりしましたね。

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ー私たちのサービスでもよく「聞く」は使う言葉ですが、たしかにきれいに発音するのが難しいかもしれません。

か行が多いから注意しないといけないんですよ。

次に、タイミングや音のバランスですね。「もう少しaudiobook.jpを立てたい、大事にしたい」、「200万人突破」をサラッと言ったあと、「いや、200万人をもうちょっと立てたいな」とか。何度か収録してみて、いろいろと試しました。

ー本当に数秒の短い時間ですが、そのなかでも「ここを立たせよう」などひとつひとつ意識されてるんですね。

コロナ禍で何か力になれればと始めたYouTube配信

ー最近はご自身でYouTubeを立ち上げられていてその中でも窪田さんのこだわりのお仕事術が垣間見えますが、どういった背景で始められたのでしょうか?

番組収録がリモートになったので、家にマイクがあるんです。コロナ禍で皆さんがなかなか外に出られないという中で、何か役立てないだろうかと思い、「マイクがあるなら読んでみよう」とYouTubeに軽い気持ちで出してみたんです。

ーそうだったんですね、意外と気軽な気持ちで!

本当にそんな感じで。

1週間に1回アップしましょうと約束したものですが、これが大変。(笑)題材選びをしたり、自分一人で読んで自分一人でダメ出ししているから難しいですし苦しいときもあります。

ーディレクターさんがいらっしゃらないんですもんね。

そうなんですよね、なのでものすごく辛くてね。だけど、やっぱり読んで表現するっていうのは楽しいですね。仕事をしながらなので、どうしても時間が限られるからそこに集中するようになって、遊びに行く時間などもないくらいです。

でも、常に次は何を読もうかななど考えていて、これをきっかけに文学作品も知るようになりました。本当に面白いです。いままで読まなかったけど、こんなにいろいろあるのかと。

平面に書いてあることを立体的に伝えるナレーターという仕事

ーさまざまな声のお仕事をされていますが、ナレーションやCMのお仕事と、本の朗読のお仕事は違いますか?

全く違うと思いますね。僕らのやっている仕事は、だいたい映像があるんです。ナレーションなどは、映像があって時間の各区切りがあり、それに納めなくてはいけない。

少し話が変わりますが、役者さんとナレーターの朗読は、違うように感じています。役者さんは、セリフを読んでいる方の独特のセリフ回しで読んでいく事が多いです。僕は、ナレーターは、「平面に書いてあることを、立体的に形にして聞いている人にわかりやすくつくる」というのが仕事だと思ってます。なので、どうしても状況を説明したくなるんですよね。

ー言葉は同じでも、読み方が本当にそれぞれ違うんですね。

そうなんです。読む人によって全く違いますね。

例えば、「この時翔太はこう思った」(優しく)・「この時翔太はこう思った」(強く)などのほかにも、もうちょっとあたたかく言おうか、などいろんな表現の仕方があります。だから、オーディオブックも読む人によって表現が違うと思うのでそういった部分もきっと面白いですよね。

ー最近、ナレーターを志す方向けのスクールも開設されました。ナレーターとはどういったお仕事なのでしょうか。

僕は、「書いてある文章を、聞き手の方に抵抗なくすーっと理解してもらう」のを目指してきました。

聞いている方が、「そうか、なるほど」とわかるように伝える役割だと思っているので、日本語の読解力やその文章がどういった意味なのかを読み解く力はやはり大事にしてます。

ー理解していないと、それが出てしまう?

出てしまいますね。「この読み手わかってないな」と。どうしても、点の打ち方や、どこにかかるのか、強弱のつけ方などで違ってくるんです。

ー原稿自体の文章を変えることも結構ありますか?

あります。聞いていてあれ?となる部分がある場合、それは直させてもらっていますね。より分かりやすくですよね。僕らの仕事ではないかもしれないけど、僕は、それが仕事だと思っています。

ナレーターは与えられた通りに読むというのが仕事、それも一理あるんですよ。文章を直したり、注文をつけるのはディレクターの仕事、俺はこれでいく。そういった姿勢もプロの姿勢だと思います。

どういう姿勢があってもいいけど、僕はスタッフと一緒にやっていきたい、より良くつくりたいというタイプなんでしょうね。

「聞く」は、その人その人で違う想像の世界を作れる

ー最近、ラジオサービスやポッドキャストなど音声サービスが注目を集めていますが、「聞く」という体験が注目を集めることに関してどう思われますか?

とてもいいことですよね。というのは、「聞く」というのは、聞きながら自分の想像で映像を思い浮かべるわけです。

自分の中のそれぞれ、その人その人で違う想像の世界が作れるので、非常に感情豊かになるんじゃないかなと思います。

ーご自身がナレーションする際にも想像をされながら?

映像が田舎の風景であれば、「ここはどんな香りだろう」「どんな場所なんだろう」などを想像しながら読みます。僕の場合、読む際には必ず自分の中に映像があって、そこに言葉をのせていくという作業なんですね。

ラジオのときもそうですね。作家さんが書いてくれたものをもとに、必ず自分の中で映像をつくりながら読んでいます。

空いた時間にドキドキ感を味える読書が好きだった

ーCM中、「聞く派と読む派」という言葉がでてきますが、ご自身は「聞く派か読む派」どちらでしょうか?

「読む派」だったんです。

小学生のころは、少年探偵団やシャーロックホームズなどが大好きで。中学生になったらSFにハマって、高校生の頃は五木寛之さんの作品が好きでした。割と一つのジャンルや作家さんの作品を続けて読んでいましたね。

ー読書家だったんですね。

読書家というよりも、空いた時間にドキドキ感を味わいたいなという感覚でした。「吸収しよう」という感じではなくて、ただただ空いてる時間に「あの本読もう」と考えるのが非常に楽しみだったんです。

ただし、難しい本になると何度読んでも入ってこない。そうすると、「聞く」がいいんだろうなと思いますね。当時は、「聞く」というチャンスがあまりなかったかもしれません。

ーご自身の中で、思い出深い本はありますか?

芥川龍之介の『蜜柑』です。

高校生の時に読んだんですが、そのときに、泣いちゃったんですよ。物語の色がすごくて。灰色の中に蜜柑が5つ放り出されたとか、その時の蜜柑の色が鮮やかなんです。

奉公先に行く娘が弟たちにみかんをあげた。その時の車が灰色で、パッと投げたという蜜柑の色が読んだときにすごく印象的で。
YouTubeでも、読ませていただきました。

ー最後に、オーディオブックCM収録を終えて、コメントをいただいてもいいでしょうか。

オーディオブックを、すごく使ってみたくなりました。
少し難しそうな作品も、読むのが少し億劫かなという作品も、聞いてみようかなと思えますよね。それがとても素敵だと思いますし、惹かれます。

・・・・

声でのお仕事のこだわりについて、読書について、たっぷり伺いました。
窪田さん、ありがとうございました!


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