サンセットビーチで楽しもう!できないをできるに変える!!
昨年に引き続き、尾道の瀬戸田サンセットビーチで「尾道海属インクルーシブビーチプロジェクト」を尾道市教育委員会生涯学習課さまの主催で開催しました。
「みんな!あきらめまーや!」が合言葉。
■「尾道海属」とは
まず、気になるのが「尾道海属」ってなに?ということ。「海賊」ではありません。
”尾道をマリンスポーツの「聖地」に!”をスローガンに、「立場を超え、海に集う仲間となり、協力しながら、海と親しみ、海を守っている」このような考えを持つ仲間や状態のことをいうのだとか。
マリンスポーツが盛んになることで、尾道の賑わい増加と、海事産業の振興につながり、関係人口が増加し、全体がスケールUPしていくイメージ。
今回、私たちもしっかりと関係人口を増やす一翼を担っています。
■生口島と瀬戸田町
今回の会場の瀬戸田サンセットビーチは、しまなみ海道の中心に位置する瀬戸田町「生口島(いくちじま)」にあります。
しまなみ海道のちょうど真ん中にあり、尾道市役所も生口島にあります。日本一の国産レモン生産地として有名で、レモンを使ったお土産品がたくさんありました。
意外と?観光地で、思っていたよりたくさんのホテルや旅館を見かけました。
島一周が24キロほどで、サイクリングだと約2時間ほどで周ることができるそうです。
■設営とブリーフィング
この日の利用者さまは11名。尾道市教育委員会生涯学習課の皆様、プロジェクトリーダーの藤井佳奈さん、尾道メンバー、須磨ユニバーサルビーチプロジェクトのメンバーで、しっかりと情報共有をします。
■スバルくん(6)
昨年も参加してくれていたスバルくんは、脳性麻痺の男の子。普段からプールに通っていて、今回は昨年と同様、スタッフと楽しんでほしいというのが保護者の方のご要望。
「さぁて、何して遊ぼっか」
ヒッポキャンプ(水陸両用車いす)で海に入った途端、「最高!」の声。
その後、水鉄砲に水を入れて渡すと、上手に水を出すことができました。
「つぎはだれにする?」と次々にスタッフを標的にして楽しそう!
海に浮かんでいるフロートに乗りたがったかと思うと、そこからママに向かってジャンプ!
フロートマットの上にうつ伏せに乗せてみると、体を起こしたがって座位に。それも安定してくると、次は「超難しいチャレンジをするよ!」と端座位に。フロートマットひとつとっても、どんどん新しい遊び方を自分で考えて楽しんでいる姿が印象的でした。
少し陸にあがって休憩した後は、また海へ。今度は「何かある!」と、海面に浮かんでいた棒を拾って嬉しそうに握りしめる。いつでもどこでも男の子は棒が好きねー。そうして、「なにかないかなー」と海をぐるぐるかき回している。何をしているのかと思ったら、彼は魚を探していたのでした。
お母さんいわく、「水族館に連れて行っても全然興味しめさなかったのに」
あいにく、この日の海は満ち潮で少し濁っていて魚はいなかったのだけれど、彼の頭の中は”魚を手づかみしたい”でいっぱい。どんどんイメージが広がっていっているのを感じました。
「じゃあ、今晩はお寿司にする?」「お魚買って帰ろうか」というお母さんに「おさしみじゃなくて、お魚一匹まるごとがいい!まぐろ!」とスバルくん。自分で捕まえた魚を自分で食べてみたい!という欲求が出てきて、帰るまでずっと「さかな、さかな」と言っていました。
魚のつかみ取り、どこでできるかな・・・と考えていたら、そうだ!須磨ユニバーサルビーチプロジェクトでも地引網体験をしているじゃないか!ということで、お誘いしました。
これなら、車いすで地引網を引いて、お魚を手づかみすることができます。
スバルくんファミリー、次はぜひ、須磨の海にもお越しください。
とっても元気なスバルくんは、海で遊ぶことでどんどんやりたいことが湧いてくる。同じ遊びでも少しずつ小さいチャレンジを重ねていって、指をそっと口にもっていって「しょっぱい」と海の味を確かめている姿も。
こどもの可能性ってすごいな。スバルくん、また遊ぼうね!
■生まれて初めてのスイカ割り
今回、尾道メンバーでスイカを用意してくださっていて、みんなでスイカ割りを楽しみました。子どもたちの中にはスイカ割りが生まれて初めてという子も。
スバルくんも生まれて初めてのスイカ割りにチャレンジ。棒選びから真剣!
最初はヒッポキャンプで挑戦するも、なかなか棒がスイカに届きにくい。
自分の車いすに乗り換えて、見事パッカーン!
■お昼ご飯は海の家「はまや」さんで
昨日の夜もお邪魔した「はまや」さん。夏の間は海の家も運営されています。どれも美味しそうで目移りしましたが、やっぱりこれ!
新鮮なホルモンがたっぷり入ったホルモン焼うどん。
スロープから「はまや」さんの店の前までビーチマットを敷かせていただいたので、車いすの方はもちろん、ベビーカーを押したご家族連れも通りやすく、たくさんの方がご利用されていました。
こんなに車いすの人だらけの海の家ってあるだろうか。
■佳奈さん(49)
尾道海属インクルーシブビーチプロジェクトのリーダーでもある藤井佳奈さん。
車いす生活になってから10年。小さい頃からの思い出深い瀬戸田の海に初めて入れる!と前日からワクワクして眠れなかったそうです。そんな佳奈さんのチャレンジを応援しようと、たくさんのお友達が駆けつけていて、佳奈さんのお人柄を感じました。
佳奈さんも途中ヒッポキャンプを外して「浮くっしょん」で海にぷかぷか。足を沈めて、「海の中で立つ」感覚を味わったりされていました。
「生まれて初めて海に入る」「初めて家族と海に入る」「車いすになってから初めて海に入る」、スイカ割りも日焼けも初めてという人もいます。
いろんな「初めて」の第一歩も、佳奈さんのパワフルさと巻き込み力から始まった気がします。
■知ってもらうことで変わることもある
今回もメディアの取材が入っていました。
その様子を近くで見ていたお父さんが、「私たちも去年取材していただいて、学校が変わったんです」と。
聞けば、それまで学校のプールには入れてもらえなかったそうなのですが、取材された新聞記事を先生方がご覧になって「海に入れるならプールも入れますね」と、学校側の対応が変わったのだとか。
須磨ユニバーサルビーチプロジェクトでも、ユニバーサルビーチを実現したいと、行政の方に説明にいったら「海に車いすの人はいませんよ」と言われたそう。
海に障がい者の方がいないからニーズがないのではなく、海に来たくても来れないのだということを分かってもらい、障がい者の方でも海に来れるように環境を変えていくことで、今では毎週末、車いすの方が海水浴に来るユニバーサルビーチが実現しています。
私自身、ユニバーサルビーチプロジェクトを知らなかったら、「車いすや気管切開している人が海に入る」なんてこと、想像もできませんでした。
今は障がい者の方と関わることで、知らなかったことをたくさん知る機会に恵まれていますし、私の周りには私よりもよっぽどアクティブな障がい者の方がたくさんいます。
お互いを知る一歩一歩を積み重ねていくことで、「できない」が「できる」に変わる世界を広げていけたらと思います。
生口島の海も最高でした!
島全体がインクルーシブに力をいれていて、とても過ごしやすい魅力的なところでした。
■須磨海岸で開催しているユニバーサルビーチ
■2024年全国で開催しているユニバーサルビーチ
「自分の地元でもユニバーサルビーチを開催したい!」「体験会に参加してみたい」という方は、須磨ユニバーサルビーチプロジェクトのHPからお問い合わせください。
皆さまの街でお会いできるのを楽しみにしています!
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