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世界が2、3度ひっくり返った_デカダンス

年も暮れるというのに、まだ2020夏アニメの話をします。どうしても単独で書きたかったオリジナルアニメ「デカダンス」です。

少女と師匠がお互いに刺激されながら成長する冒険譚…かと思いきや、世界そのものをぶっ壊しに行くお話。登場人物や世界観に序盤から裏切られ、惹きつけられました。…あれ、ハードボイルドな見た目だけどそっちには行かないの?このかわいいの何??世界はどうなってるの???とハテナだらけ。設定に2度3度と置いていかれそうになるけどそこが魅力だった。

ここから先は設定の仕掛け、ネタバレを含みます。
事前情報を入れずに追った方が楽しめると思うので、公式サイト等から配信情報をどうぞ。年末の一挙放送もあるらしい。


なんといっても凝った設定

すっかりやられました。中盤に来てもなお揺さぶられた。

「人間たちが、荒廃した世界でモンスターと戦う」…という設定を、1話であらかた把握したつもりになっていたのに、翌週は清々しく世界をひっくり返される。2話冒頭、別の作品かと思って録画タイトルを確認しましたよ。
実はこの世界には肉体を棄てたサイボーグ達が暮らしていて、「荒廃した世界」はいわばゲームフィールド。サイボーグたちは人間の姿をした「筐体」にログインして、モンスター狩りなどの「ゲーム」を楽しんでいるのです。

このゲームフィールドは仮想現実空間かと思っていたら、サイボーグ世界に実在するテーマパーク的な場所だということに後半で気づいてさらにびっくり。現実の続きにあるゲームフィールドで、実在する人型のアバターに乗り移って遊ぶ…ような感じかな。当初は対照的に描かれていたサイボーグのコミュニティと人間の活動空間が、後半で物理的に混ざり始めて「え、どういうこと!?」とまた整理し直しつつストーリーを追いました。

ゲームフィールドには、サイボーグ以外の「人間」たちも暮らしています。一般的なゲームの世界では、プレイヤー以外の登場人物に自我はなくシステムに則ったセリフと動作を繰り返すものですが、このテーマパーク内に暮らす人間たちには、それぞれ自我と意志があります。
このシステムを知らないまま生まれ育ち、モンスター狩りに行く戦士に憧れる人間の女の子・ナツメが、今作の主人公です。

バグを排除しようとするシステムを前に、人間であるナツメとサイボーグのカブラギ、それぞれがあがき続けるというお話。ストーリーこそシンプルなのだけど、2つのフィールドを行ったり来たりする上、サイボーグたちも実体と人間バージョンの2つの姿があるので少し複雑。ただその凝った設定のおかげで予測が全然立てられず、結果的に先が気になってずんずん観てしまったのでした。

ポップでビビッドなサイボーグたち

サイボーグの造形はかわいらしいデザインに派手な色使い。このコロンとした未来ロボのビジュアル、どことなく親しみやすいなと感じていたら、プロデューサーがこの(↓)インタビューでドラえもんを少し参考にした旨話していて「それだ!!!」と思った。

浮遊感アクションとふたつの世界

アニメーションもよく動くので、デザインや動きをポイントに観進めるのもいいかもしれません。とくにモンスター狩りの際、人間が無重力状態でモンスター目掛けて巨大な針を投げ、血液を収集する…というアクション作画に惹かれました。サイボーグと人間は、デザインも動きも対照的。2つの作品を観ているよう。

オリジナルアニメ、楽しいなあ。

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