ファシリテーターが明かす舞台裏 #これからの企業の情報発信
7/3(金)夜、博報堂×noteでオンラインイベント「あたらしい時代の情報戦略」を共催し、私は当日のファシリテーターを務めました。
#これからの企業の情報発信 がテーマの今回は、後半に各業界におけるおすすめの情報発信方法をディスカッションしました。すると、「その人や業界にとって、当たり前だと思っていることをあえてオープンにするだけで面白いよね」というお話に。
ということで私も、いままで当たり前だと思って書いて来なかったファシリテーターという立場でイベントにどう向き合い何を準備しているのかを、企画段階、リハーサル、本番の三段階に分けて書いてみたいと思います。
企画段階
企画段階で重視しているポイントは2つです。
●イベントの開催目的は何か
最近では、リアルイベントだけでなくオンラインイベントもよく開催されるようになり、ひとくちにイベントといっても多種多様な開催方法があります。ただ、それらはあくまで「手段」であり、大事なのは何のために開催するのかという「目的」です。
参加者は、貴重な時間を割いてイベントに参加してくれます。どんな人に参加してもらい、何を持ち帰ってもらいたいのか。そのために、登壇者からどんなメッセージを発信するとよいのか。明確なゴールを定めてから具体的なコンテンツを組み立てる、という順序を間違えないようにして関係者と打ち合わせをします。
●自分の実力と当日の期待値の差分
イベントの目的やゴールを設定すると、おのずと当日のファシリテーターに求められる期待値も決まります。ここで大事になるのが、当日の期待値と自分の実力との差分を見積もることです。
例えば今回は、どの登壇者ともイベントをご一緒したことがなく、note placeでの撮影もはじめて、当日のコンテンツもあらたに組み立てたもので、過去の経験で超えられるポイントはほぼありませんでした。
このままでは、期待値に達するどころかまともにイベントを開催することすら難しいとわかります。この前提に立って、リハーサルに取り掛かります。
リハーサル
リハーサルは、自分一人で行うものと、登壇者と一緒に行うものとの2つのパターンがあります。
●単独リハーサル
ゲストの方と気軽にリハーサルができればそれが一番ですが、基本的に登壇者は忙しい方ばかりです。何度もリハーサルに付き合っていただくのは現実的ではありません。
そこで実施するのが単独リハーサルです。ここでのゴールは、無意識の状態でもイベントをスムーズに通せるようになること。具体的には、スライドやカンペが目の前になくとも進行できるレベルに自分を持っていくことです。
イベントによってリハーサル回数は異なりますが、今回私が自分に課した回数は10回。1回目はスライドをみながら原稿を手書き。手書きすることで流れが頭に入ります。
実際の原稿。基本的になぐり書きです
2〜5回目は、実際に声を出しながらリハーサル。同じことを伝えるにも、どんな言い回しが適切か、どのフレーズが言いやすいかを調整します。
6〜10回目は実際に開催する環境で実施します。今回の場合はnote placeで、登壇者との距離感、スライドの投影方法、画面の切り替えタイミングを確認しながら、本番さながらの通しをします。
●全体リハーサル
そうしてむかえるのが登壇者を含めた全体リハーサルです。チャンスは1回。実際に単独リハーサルで実施した流れをさらいながら、どのポイントで誰がどんな動きをするのかをすり合わせします。
今回は登壇者から「こうしたらもっと視聴者の方に喜ばれそう!」というアイデアがたくさん生まれて、本番ギリギリまでコンテンツや時間配分、進め方をブラッシュアップしました。(気づけは開始2分前になっていてヒヤヒヤ…)
このときに大事にしていたのは、あらたな変更点を覚えるのはもちろんのこと、その変更点がイベントに与える影響度の大きさを察知することです。もちろんすべて完璧にできるのが一番よいですが、気負いすぎるとテンパって普段できていることさえミスする可能性があります。必ず押さえるべきポイントはどこなのか、多少外しても許容される範囲はどこかを把握して、自分に余裕を持たせます。
本番
ここまでくれば、あとはやるべきことをやるのみ。気をつけたことは2つです。
●登壇者からのサインを察知
本番中の私の役割は、予定通りにカンペを読み進めることではなく、当初設定した開催目的を果たせる時間に近づけることです。今回は、登壇者がコメントやアイデアを出しやすい状況をつくれるよう、登壇者から送られるサインを察知することに集中しました。(あっているかは分かりませんが。)
例えば、博報堂の藤平さんがプレゼンしたパートでは、投影スライドを私が手元で切り替える役割になっていました。呼吸を合わせるのが難しいところですが、よく聞いているとスライドに対するトークが終わったところで必ずひと呼吸を置いてくれることがわかります。
明確に「。」がついた瞬間を察知して、「今だ!」とスライドを切り替える。できるだけ「次のスライドお願いします」と言わせないように気を配りました。(何度か言わせてしまったのが個人的な反省点。)
深津さんは、コメントする時には目線を送ってくれたり、アイデアが浮かんだときには少しだけ前かがみになったりします。そのサインをみたら、直接的に「深津さんどうぞ」とは言わずとも、私の話を早々に切り上げて深津さんにバトンタッチします。
今回席が遠くて様子がわからなかった加藤さんは、ほかの登壇者が話し終えてひと呼吸おいたタイミングでコメントをすることがありました。なので、このトピックは終話しそうだと思ったときにも、あえて次のテーマにはすぐ進まず少し余白を設け、コメントがあれば話してもらい、なければ次に進むようにしました。
●だれよりもイベントを面白がる
スタンス面で意識していたのは、だれよりもイベントを面白がることです。私自身、ふだんテレビや動画を見ていて、撮影現場のたのしそうな雰囲気を感じる瞬間があります。たとえ画面越しであろうとも、配信側のスタンスやテンションは伝わるものだと思っています。
参加者に楽しんでほしければ、まずは自分自身が登壇者やテーマに興味をもち、生まれてくるアイデアを面白がること。そうすると、気持ちに余裕が生まれ、どうしたらもっと面白くなるだろう?という攻めのスタンスになることができます。
まとめ
以上がファシリテーターとして大事にしているポイントです。
言わずもがな、このイベントは登壇者はもちろんのこと、配信に携わってくれたスタッフや、Twitterで盛り上げてくれた参加者の方々のおかげで完成したものです。終わったあとには、やり終えた達成感と緊張から開放された安堵で泣きそうになりました(笑)。
せっかくなので、Twitter上のコメントを一部を紹介します。
アーカイブ動画やセミナーレポートももあるので、当日参加できなかった方、もう一度ご覧になりたい方は、ぜひこちらをご覧ください。