見出し画像

未来(湊かなえ)を読んで

久々の湊かなえ作品。
この作品を読むまでは、ひねくれた人だと思ってました。ただ、「未来」を読み終えると見方が変わりました。以下感想です。

自分の力だけでは、どうしようもない問題を抱え、時には絶望しながらも、最終的には「未来」を諦めない登場人物たちの物語。
本作に登場するメインキャラクターは、家庭に問題を抱える自立する前の子供。子供たちは、自分たちの力で問題を解決しようと努力する。しかし、それらが彼らだけの手に負えるものない問題(金銭問題、家庭内暴力など)であるとき、子供たちが選ぶ行動は次の3つのどちらかであることが多い。「我慢」か「非行」か「大人を頼る」だ。今作では、登場人物の選ぶ行動の大半が「我慢」や「非行」であった。子供たちが「我慢」、「非行」を選択する場合、彼らの「未来」にいい結果をもたらすことは少ない。(本作では、このことが描かれている)では、なぜ子供たちがこのような行動を起こすのか?それは周りに信頼できる大人がいないからである。供たちは必死にSOSを出しているにもかかわらず、大人が気付けずにいるのではないか?それによって、子供たちの大人への信頼を失っているのではないだろうか。本作のラストを読んだ後、そんなことをふと思った。子供たちが「未来」を楽しみに生きられる世界になることを願いたくなる本でした。

イヤミスの女王として名をはせていますが、そのイメージを変えてくれる作品でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?