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2025年度 東京大学工学部編入 電子・情報系 学科(群) 合格体験記


自己紹介

  • 明石高専電気情報工学科

  • 席次 45人中12位くらい (1~4年)

  • TOEIC 850 ( L : 405, R : 445 )

  • 帰宅部

  • 第一志望:電子・情報系 学科(群) 合格、
    第二志望:システム創成学科

 東大合格に役立つ、趣味・特技はありません。勉強が好きということもなければ、プログラミングなどが好きということもありません。ほとんどの科目の定期テストは過去問暗記で乗り切っていました。それなりに勉強ができたという感じで、私は努力型だと思います。

併願校

  • 大阪大学基礎工学部情報科学科数理科学コース 不合格

  • 大阪大学工学部電子情報工学科情報通信工学科目 未受験

  • 神戸大学情報知能工学科            未受験

中学時代

 塾には通わず、進研ゼミで定期テスト前だけ勉強していました。順位はほとんど1桁で、時々1位を取っていました。成績は音楽が4でそれ以外は5でした。
 親戚の人が明石高専出身ということもあり、明石高専に興味を持ちました。詳しく調べると、推薦入試の形式が成績メインで決まり、筆記試験がなく、進学実績が良かったので、明石高専に決めました。

高専1年

 コロナ禍であったため初めはオンライン授業でした。三角関数は意味わからんし、クラスメイトは変な奴多いしで、面白くなかったです。
 勉強は定期テストの前だけ行っていました。

高専2年

 1年生の時と変わらない1年でした。ただ、2年の終わりに友人が金フレを持っていたので、自分も始めることにしました。ここが運命の分かれ目だったと思います。何事も早く始めることに越したことはありません。
 初めは、本で金フレを覚えていましたが、途中からquizletで覚えるようにしました。一問一答でスマホでできるので、本で覚えるのが苦手な人はおすすめです。
 この時はまだ大学を意識しておらず、東大なんて行けるとは思っていませんでした。

高専3年

 ipadを購入し、デジタルで勉強するようになりました。かなり便利で買ってよかったです。
 TOEICの勉強をしつつ、夏休みから徐々に受験勉強を始めました。英単語はこの時から東大受験当日までほぼ毎日行いました。やはり英語は最後には単語力なのでしっかりと勉強していてよかったです。TOEICは10月に755点、12月に825点、3月に805点を獲得しました。
 単語帳はDUO3.0を新たに始めました。DUO3.0は例文を通して単語が覚えられるので、英作文にも役立ち、おすすめです。またquizletで暗記するのはやめ、Ankiで暗記するようになりました。このアプリは適切に復習できるのでおすすめです。毎日駅までの自転車はDUO3.0を聞き、電車ではAnkiを使って単語を覚えました。
 編入数学徹底研究を勉強する上でわんみん | 高専生・大学生のための数学解説にはとてもお世話になりました。とてもおすすめです。
 このときは大阪大学に行けたらいいな、ぐらいに思っていました。クラスで受験勉強を始めたのは、私が一番早かったと思います。

勉強した参考書(おすすめ度5段階評価)

高専4年

 4年生になり、中学時代の友人が医学部に入りました。その子に負けないためには、もう東大に行くしかない。その時、初めて志望校を東大に決めました。それからは、ゲームをやめ、ひたすら勉強をしました。
 TOEICは825点をとれていたので、TOEICの勉強はやめ、東大英語の勉強を始めました。そのかいあって、3月のTOEICでリーディングが大きく上がり、850点を獲得しました。リスニングは大きく下がりましたが…
 ここで困ったのが電磁気の勉強方法です。大学範囲なので、教材が専門書っぽく、また電磁気特有の計算方法に苦戦しました。今でもどういう勉強法が最適なのか分かりません。
 予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」では数物のあらゆる分野でお世話になりました。ヨビノリの動画をノートに取ってから、参考書をするという方法で勉強を進めていました。これがなかったら合格できなかったといっても過言ではありません。ただ電磁気の動画がないので、そこが残念です。
 参考書は大量にやりました。一つの参考書を何周もするのではなく、一周したら次の参考書をするようにしていました。同じ参考書を何周もしてもいいと思います。ただ、新しい問題を解きたかったのでこうしました。私は参考書はほとんど買わず、高専の図書館で借りていました。

勉強した参考書(おすすめ度5段階評価)

高専5年

 春休みから過去問に取り掛かり始めました。本番と同じような紙を買って時間を計ってやりました。数学は6割から8割、物理は5, 6割、英語は7割ぐらいとれる、という感じでした。どの科目も時間内に解き切ったことはないです。本番では特に物理は得点調整が入るので実際にはもう少し高くなると思います。
 答え合わせは明石高専の先輩方が解いたものを参考にしました。他の方の体験記を見ると、ネット上にもあるようです。
 英語の答え合わせはchatgptを使用しました。これが大変便利で、英作文や英文和訳でとても役に立ちました。
 数学は、過去問以外に過去問特訓の微分方程式、固有値とその応用、複素数と複素平面、複素解析を解きなおしました。また数学の広場 数学問題別検索閲覧 碓氷軽井沢IC数学教育研究所歓迎で様々な編入試験の過去問を解きました。
 物理は過去問で分からない問題があれば、詳解力学演習詳解電磁気学演習で類題を探し、解説を見ていました。第3問は例年どの分野が出るか分からないので、熱力学と波動だけ勉強して他の分野は捨てることにしました。初めは、量子力学を勉強しようとしたのですが時間がなかったので諦めました。第3問を完璧に対策するならもっと早くから勉強した方がいいです。ただ対策しなくても、全然受かります。
 願書の準備と、なんとなくこのままいけば受かりそうだな、と漠然とした自身もあり、勉強時間は少し減っていたと思います。
 併願校は
・大阪大学基礎工学部
・大阪大学工学部
・神戸大学工学部
の3つにしました。ネームバリュー重視。滑り止めなし。背水の陣です。

勉強した参考書(おすすめ度5段階評価)

受験前日

 新幹線で東京駅に行き、そこからタクシーで東大の目の前にあるホテル、フォーレスト本郷に行きました。タクシー代は2200円でした。電車で行くと、丸ノ内線で本郷三丁目駅まで178円で行けます。本郷三丁目駅からフォーレスト本郷まで10分ほど歩きますが、安く済ませたい人は電車がおすすめです。
 チェックインを済ませた後に東大内を散策しつつ、受験会場の下見をしました。下見は当日迷わないためにもした方がいいです。
 夕食は家系ラーメンを食べました。その後22時まで復習し、就寝しました。

受験当日

試験の日程は次の通りでした。
  9:30 ~ 11:00 英語
12:30 ~ 14:30 数学
15:15 ~ 16:45 理科
 試験会場には試験開始20分前に入場しなければならず、また8時40分まで入室できないです。私は8時50分ぐらいに入室しました。その時点で何人か他の受験生はすでに入室していました。試験開始までは、勉強している人がいたり、喋っている人がいたりと様々でした。私は明石高専の人たちで喋っていました。

英語

 1時間半のテスト時間で第一問が英文和訳、第二問が和文英訳、第三問が長文読解です。私は各大問を30分ずつで解くという戦略をとっていました。

  1. 英文和訳
     建築基準についての問題でした。文章が与えられ、下線部を和訳する問題で、A~Fの6問だったと思います。かなり量が多く、Dぐらいまで解いた時点で30分経ってしまったため、あきらめて第二問に行きました。第二問、第三問と解き終わった後、時間が余ったのでEを解きましたが、Fは時間がなく解けませんでした。
     loadという単語が出てきたのですが、名詞として使われており、私は「積み荷」という意味しか知らず、明らかにそれは積み荷という意味で使われていませんでした。分からなかったので適当に埋めてしまいましたが、「負荷」という意味で使われていたようです。よく読めば推測できましたが残念でした。
     またstakeholderという単語が出てきました。過去問にも出てきた単語で、見たことある!と思ったのですが、見たことあるだけで分かりませんでした。意味は「利害関係者」です。

  2. 和文英訳
     内容は詳しく覚えてないですが、都市系の文章でした。英作文は得意だったので、30分で解き切ることができました。ただ「利害関係者」の英訳が分かりませんでした。まさか第一問が伏線だったとは…。もちろん回収することはできず、good-harm relation peopleと適当に書いて、気づくことなく、次に行きました。

  3. 長文読解
     内容は詳しく覚えてないですが、持続可能な社会のために環境をどうするかみたいな内容でした。マルバツ問題はこれで本当にいいのか、と思うぐらい簡単でした。説明問題は少し難しかったですが、何とか書くことができました。

 英語は体感7,8割でまあまあできたな、という感覚でした。英語で答えなさい、や要約しなさい、などのイレギュラーな問題がここ数年で出ていたのですが、今年は例年通りでした。

数学

 2時間のテストで第一問が微分方程式、第二問が確率、第三問が複素関数、第四問が線形代数です。私は微分方程式、複素関数、線形代数、確率の順で、各大問を30分ずつで解くという戦略をとっていました。確率は苦手だったので、最後に解くようにしていました。

  1. 微分方程式
     過去問が解けていたら誰でも解ける、基本的な問題で20分ほどで解き終わりました。10割

  2. 複素関数
     例年通り計算量がとにかく多い問題でした。(1)で正則関数の実部が与えられ、コーシーリーマンの関係式を用いて、虚部を求めるような問題でした。求め方は分かるのですが、計算ミスをしているのかなぜか答えが出ない。ここで20分ほど時間を使ってしまい、結局飛ばして(2)に行きました。
     (2)は留数定理の問題でした。極が経路の中に入るのかを見極めるのが難しかったです。3問あるうちの2問を解いて(3)に行きました。
     (3)は実積分への応用でした。こちらも計算量が多く、時間の関係もあり、途中まで解いて第四問へ行きました。
     体感5割ぐらいで解けるはずの問題が解けず、焦っていました。

  3. 線形代数
     未知数aが入った3×3対称行列と固有値が与えられ、そこからaを求めたりする問題。複素関数の失敗をどこかで引きずっていたのか、はじめ変な解き方をしてしまい時間を浪費してしまいました。途中から気づいて、修正しましたが、その後に2/3と3/2を間違えるミスをしてしまい、時間も足りず、完答できませんでした。
     テスト回収中に結構簡単な問題であることに気づきました。もっと冷静になるべきでした。5割

  4. 確率
     玉を入れ替えたりする確率漸化式の問題でした。式を立てるところまで解いたのですが、式が複数あって解き方が思いつかなかったので、「対称性を使って解く」とだけ書いて終えました。対称性を使うというポイントをアピールできたのでそれなりに点数が入ったことを祈ります。5割

 数学はおおごけしました。計算量が多いだけで例年の中では簡単だったと思います。体感5,6割で、物理しだいだな、と思っていました。

理科

 1時間半のテスト時間で第一問が力学、第二問が電磁気学、第三問は波動でした。

  1. 力学
     二重倒立振り子の動作をばねを使って再現する問題でした。二重倒立振り子の問題を解いたことはなかったですが、誘導に乗って難なく運動方程式を立てるところまで解くことができました。そのあとの問題は時間の関係で飛ばしました。7割

  2. 電磁気
     問題集でよく見る典型問題でした。同心球殻コンデンサーが与えられ、外球を接地した場合の電荷分布や静電容量などが問われました。どうせ難問だろうから、と最後の問題は飛ばしたのですが、試験終了後によく見ると解ける問題だったので悔しかったです。
     直前に弱点克服 大学生の電磁気学で確認した問題と全く同じ問題だったので助かりました。9割

  3. 波動
     二問構成になっており、第一問は高校範囲の基本問題である「薄膜の干渉条件」でした。見たことある!となったのですが、テスト前に復習しておらず、分かりませんでした。第二問は大学範囲で分かるはずもなく、適当に書いて終えました。0割

 第三問は皆解けていないだろうと思い、物理はまずまずのできだな、という感じでした。ただ数学ができなかったので不安でした。5割 

二次試験

 二次試験は、一次試験に受かった20人が受ける面接です。一次試験と同様にフォーレスト本郷で前泊して、二次試験を受けました。次のように集合時間が異なり、私は13:00からでした。

 11:00にホテルをチェックアウトした後、東大内のスタバの横にあるラウンジで面接の練習をしました。ここはタダで居座れるのでおすすめです。
 集合場所へ向かうと4人ほど受験者が待機していました。そこから順番が回ってくると別室で面接を受けるという形です。集合場所ではスマホは使えるので、面接練習の紙を作る必要はないです。
 面接室に入ると10人くらいの教授が横一列に座っており、少し離れたところに受験者が座る椅子がおかれていました。面接では記憶している中で以下のことを聞かれました。

  1. 第一志望と第二志望の志望動機を教えてください
    これは皆聞かれた質問だと思います。

  2. 人工知能は様々なことに応用されているけどどう思う?
    抽象的な質問で困りましたが、「私も様々なことに応用できる技術者になりたい」みたいなことを答えました。

  3. 得意教科はなんですか?

 この他にも志望調査票に書いた人工知能についていくつか質問されました。志望調査票を中心に質問されるので、答えられるように準備するといいと思います。二次試験は、多少回答に詰まっても、よほど人間性に問題がない限り落ちることはないと思います。気楽に受けてください。

得点開示

 案の定、数学がひどかったです。逆に言えばこれでも受かるので安心してください。英語は予想通りで、理科は少し得点調整が入ったようです。
 683/1000で東大は7割近くあれば受かるといわれているので、ほぼボーダーだと思います。

なぜ大阪大学基礎工学部に落ちたのか

 一言で言えば実力不足です。しかし、東大に受かるのに阪大に落ちるのか、と思う人もいると思います。ここからは私の言い訳です。
 これには大阪大学の合格者の選び方に原因があると考えています。東大は志望学科に関係なく、テストの点数が高い20人を合格にします。それに対し阪大は、受験科目に専門科目があるため、志望学科ごとに合格者を選びます。つまり阪大は志望する学科で合格点のボーダーが異なるのです。これは他の大学の編入試験でもよくあるケースだと思います。
 私が受けた情報科学科数理科学コースは合格者2名だったのですが、その2名は東大合格者でした。さらに言えば、一人はTOEIC満点、英検1級、数検1級、もう一人は数学・情報オリンピック本選出場の天才二人でした。勝てるわけがないですね。
 数理科学コースにはこうした数学が好きな天才たちが集まる傾向があると思います。それ故、数理科学コースは阪大の中でも合格ボーダーがかなり高いと思います。
 私は、専門科目の勉強をしなくてもいい、という安直な考えから数理科学コースを志望してしまいましたが、阪大基礎工学部に受かればどこの学科でもいいという人は、数理科学コースは避けましょう。



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