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#12 別れ

この記事を読んでからブルグミュラー25の練習曲は恋愛をテーマにしているのではないかと思い始めた。

この続きの話。


練習期間(2021年7月5日〜7月25日)



初見で弾いてみた

音の動きが少ないから弾くには弾けたが、このレベルから上達しないまま終わるのではないかと心配になった。

譜読みから10日目にレッスンでN先生に聞いていただいたら「きちんと仕上がりそうですね」と言われた。

全然弾けてなかったと思うが、先生がそういうのならそうなのかな?と少し気が楽になった・・・が、この曲が好きになれなかった。



振られ男の恨み節

この記事に影響され、ブルグミュラー25の練習曲はブルグミュラー先生の恋愛物語だと思い込み始めていた。

「すなおな心」は原題で"La candeur"、意味は無垢で素直というよりは"バカ”、騙されるのはバカだから・・・という感じの意味合い。

この物語の主人公は騙されてしまったのか?

穏やかな風景の中に少し寂しさを感じる「牧歌」は、結末が幸せなものではなかったことを暗示させる。

「小さなつどい」で出会った女性に「無邪気」に恋をして、「優美」を聞きながらストーカーのように彼女の姿を眺め、「やさしい花」「せきれい」で彼女と距離を縮めつつ、彼女に翻弄されてきたけど・・・での「別れ」。

冒頭から衝撃的な悲劇の別れが襲う。

えんえんと恨み節を唱えるようなしつこくてうっとおしいメロディ。

この恨み節が女々しい上に、弾きにくいときて非常に腹立たしかった。

さらに、私が弾くと念仏を唱えるように重々しくなってしまい、自分で弾いていても気分が悪かった。

そんな練習をしていたが、ピアノ再開からの総練習時間が1000時間を超えた。

1000時間でもこの程度なのか・・・(涙目)。



恨み節にならない素敵な演奏

ブルグミュラー25の練習曲のお手本演奏として、赤松林太郎先生の演奏を好んで聞いていた。

演奏が素晴らしすぎて、レベルが違いすぎて、「別の曲?」と思ったこともあるが、このような素敵な表現があるのかと勉強になることも多い。

赤松先生の演奏はグチグチとした恨み節に聞こえない。

別れを経験した後に平静を装っていたが、次第に悲しみが溢れてきて堪えきれずに感情が爆発するような激しさと、過去を懐かしむようなハ長調のメロディとの対比から深く傷ついていることが伝わってくるような演奏だ。

何度も聞いて、自分なりに演奏したいイメージを膨らませる。

そして、私が演奏するとこうなった。

グチグチいいながら念仏を唱えるような演奏のままだった(悲)。

ああ、それにしてもこの曲グチグチ女々しくて嫌いだ。


あっけなく合格

この曲の練習時間のほとんどを恨み節パートに費やし、中間部のハ長調に転調した部分はほとんど練習ができていなかった。

特に難しくもないし、弾けるから・・・と放置していたが、レッスンではこの部分に多くの指摘を受けた。

右手は一音一音ごとに脱力してしまう癖がもともとあって、フレーズ単位で大きく歌えない。

左手の分散和音はあてずっぽうに打鍵していることが多く、ハーモニー感を持って和音の変化を意識して指を準備することができない。

その場で修正したが、曲全体としてはもう一週練習が必要かな?と思ったがあっさり合格した。

これまでは1曲仕上げる(レッスンで合格をもらう)には、譜読み開始から1ヶ月程かかっていた。

効率良く進めるためにレッスンで見ていただいている曲の他に、次の曲の譜読みを予習もしていた。

仕上げまでの期間が短縮されるようになっていき、この頃からトントン拍子で曲が進んでいく。

これが世にいう「2021年 zakiさん真夏の快進撃」である。

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