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Report_4.東広島の有機農家さんインタビュー/「むささび農園」さん

2023年9月7日、離乳食プロジェクトにお野菜を提供していただくむささび農園さんに伺い、北原六地(きたはらろくじ)さん、北原佳代(きたはらかよ)さんに取材をさせていただきました。

この記事は「野菜Labo×広島大学大学生チーム×東広島市の有機農家」で取り組んでいる「離乳食開発プロジェクト」に関するものです。今回は、離乳食に使うお野菜について学ぶべく、「有機農家さん」を「広島大学大学生チーム」が取材して記事にしました。最後までぜひご覧ください。

12年前に志和へ移住し、今年の11月で開園16年になる「むささび農園」さん。
「自然の力を借りて生きていく」おふたりの生活は、とても魅力的でした。 

▶農業を始めたきっかけ

東京都出身である佳代さんは、ものを消費するだけの世界に幸せを感じられなかったそう。都会で育ったこともあり、自然の中で「暮らし」を作りたかったと話してくださいました。

大学は農学部に進学し、バックパッカーとして途上国などの農村部を訪れる中で、村での暮らしの多くは、その土地で手に入るもので成り立っており、地域でモノが豊かにっ循環していくことこそが持続的だと感じたそうです。実際に、むささび農園さんは、鶏糞やしょう油のしぼりかすなど、地域で手に入る副産物を肥料として農業をされています。

長野県出身である六地さんとの出会いは栃木県。おふたりとも非農家で育ち、六地さんは高校時代から農場で働くなど、長いこと農業研修を続けたり、時にはサラリーマンをしたりしながら、自分たちが食べる分は家庭菜園で賄っていたものの、農業を生業として自分たちが理想とす暮らしを作っていきたいとおもい、農業を志したそうです。

▶人とのつながり

おふたりに取材をおこない、印象的だったことのひとつが、「人とのつながり」をとても大事にされていることです。

むささび農園さんが出荷されるお野菜には、「むささびだより」という佳代さんからのお手紙が入っているそうです。日常のことからお野菜のことまで、まるで近所の方とお話をしているような温かい気持ちになれるお手紙でした。

また、生産者と消費者の距離の近さのお話もしてくださいました。加工業者を挟むなど、生産者と消費者の距離が離れるにつれて誤謬が生まれる可能性も高まるため、消費者との関わりや近さが重要なのだと私自身も感じました。

▶農業への思い

近年、SDGsの浸透を背景に、エシカル消費という言葉が広く知られるようになりました。しかし、得るものの反対側にある犠牲について考えることは難しいことです。

実際に、私たちの生活は大量生産、大量消費、大量廃棄のうえに成り立っています。持続可能な社会を実現するために様々な取り組みが推奨される中で、自分にできることは何なのか、私自身も迷ってしまうことがあります。

「持続可能とはこれからの社会や生活を考えて行動することである」と、六地さんに教えていただきました。人間のより良い生き方のひとつとして、おふたりは自給自足という選択をされたのだと思います。


また、人はコントロールできなかったとき「手放せる勇気」をもたなければならないというお話も印象に残っています。様々な情報が溢れる現代において、普通という型に固執してしまっている場合が多いように思います。物事がこう進むはずだ、こうなるべきだと考えている自分の中の“普通”は、一般的に言われていること、いわゆる多数派の意見に影響を受けていることが多いです。

私も、皆が言っているように物事が進まなかったとき、不安になったり、どうすれば良いか分からなくなったりしたことがあります。しかし、そのような時には、自分の感覚を大事にするのが良いと教えていただきました。もちろん、自分が期待した通りに進むことに対する気持ちよさもあるけれど、結局、世界を受け入れるのは自分。自分が欲しいもの、求めるものに手をのばせば良いとお話してくださいました。

「自然と、自分自身と、家族と共存すること」
言葉でいうのは簡単ですが、実際は難しい問題です。しかしおふたりのお話を聞き、自分の求めるものに手をのばし、自分自身の最適解を見つけることが大きな第一歩なのではないかと感じることができました。

▶︎最後に。

取材を通して、これから生活していく中でとても重要なことを教えていただけたように思います。

例えば、私は今回の取材を通して、ネット通販で商品を購入するのではなく、地域のお店で、地域で作られたものを購入してみたいと感じました。ただ、この行動が良い行動であり、皆もこうするべきだということではありません。決して押し付けるのではなく、自分自身が大切にしたいと思う価値観を大切にしながら、物事を選択すれば良いと感じました。

たくさんの思いが込められたむささび農園さんのお野菜を、離乳食として届けられることに感謝し、より良い商品を開発できるように精一杯取り組んでいきます。

お忙しい中、本当にありがとうございました。

取材・文:太田りりか

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