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Study14.豊栄の郷土料理を再現してみる。(ゴボウ編)

本日初めて、「豊栄の郷土料理をつくってみる会 vol.1」を行いました。教科書にしたのは、豊栄町の地域おこし協力隊として着任してすぐ「これ、見てみて」と地域職員の方から受け取った一冊の本です。

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「ふるさと とよさか 新 四季の味」という平成3年に作成された本で、推進メンバーにより豊栄町の郷土料理を掘り起こし、調理して再現、さらに豊栄まつりにて(町民により)選定された180ほどの料理が掲載されています。

地域の方々に聞くところ、推進メンバーとして活動された方々の中心は現在(2020年)の90代前後の方が多く、すでに亡くなられている方や体力の問題で地域センターの集まりには顔を出していない方ばかりだそうです。

現在の60〜80代の方々に聞いてみても「この冊子知ってる!」という方はひとりもおらず、推進メンバーの下の世代で途絶えてしまっている様子です。

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野菜Laboのミッションは「豊栄の伝統×ベジ(植物性食品のみでつくった料理)」のレシピを作成・ノウハウを蓄積し広島にくるヴィーガン・ベジタリアン思考観光客向けの受け皿を増やしていくこと。豊栄町の伝統を探るため、町民の方々へのヒアリングと同時にこの冊子を教科書に「再現してみる会」を行うことにしました。

ツッコミどころのあるレシピたち

第一回目に選んだのは「ゴボウ」を使った4品です。豊栄町にはゴボウが太くまっすぐと柔らかく育つ土が堆積した地域があり、そこで作られたゴボウを地域の名を仮りて「吉原ゴボウ」と呼びます。「白色で柔らかく香もよい」と贈答品として扱われ、地域の方々も「豊栄には吉原ゴボウがある」と地域の名産として認識しています。

カリッと青春(ゴボウチップス)

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ゴボウ(輪切り)を油でカラッとするまで揚げたシンプルなチップスで、味付けは「塩味」「カレー味」「コンソメ味」「甘辛ごま和え」の4種類です。料理名は「カリッと青春」。このレシピに何か青春の思い出があったのかもしれません。

ゴボウの揚げ煮

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ゴボウに小麦粉をまぶして柔らかくなるまで揚げて出汁の効いた甘しょっぱいタレに絡めた、ゴボウの食感が楽しめる一品です。(ゴボウの揚げ煮という名前なのに、なぜが一度も煮るという工程を挟みません

ゴボウ巻き巻き(ゴボウ磯部巻き揚げ)

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細切りにして小麦粉・塩と和えたゴボウを海苔で巻き巻きし、油であげます。味付けは塩のみですが、海苔の美味しさとゴボウのカリカリが合わさってお箸が進む一品です。前回行ったゴボウの切り方実験(Study13.ゴボウを和え物でもりもり食べるのに向いている切り方。)に引き続き、「繊維に沿った」細切りと「繊維を断つ」細切りで比較実験を行いました。巻きやすいのはまとまりやすい「繊維を断つ」切り方ですが、食感が良いのはやはり「繊維に沿った」切り方です。また、「繊維に沿った」切り方はバラバラとして巻きにくい一方揚げる際に油が中まで入り込みサクッと上がり食感が良くなりました。

酢ゴボウ

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ゴボウを柔らかく茹で、熱いうちに土佐酢(酢・醤油・砂糖を合わせたもの)・鰹節・すりゴマで和えた箸休めに手が伸びる一品です。ゴマの香りがよく、鰹節の旨味も合わさり、ゴボウに良く味が馴染みます。

おまけのゴボウごはん

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「四季の味」には掲載はありませんでしたが、スライスしたゴボウとごはんをシンプルに炊き込みました。しゃもじでごはんを返すとゴボウがふわっと香ります。

ゴボイってなに?

完成写真のないレシピもあり正解が分からないながらも手探りでつくることとなりましたが、なんとか形にすることができました。「揚げ」の調理が多く、ゴボウと「揚げる」という調理法の相性の良さを感じました。うっかり愛らしさを感じてしまったのは、「ゴボう」「ゴボイ」「揚げたつ(揚げたて)」など1ページに3つも言葉の間違いがあったことです。完成後にどなたか気づいたりしたのでしょうか。当時の様子を思い浮かべると、この冊子により愛着が湧いてきました。

「豊栄の郷土料理を再現してみる会 」はまだ1回目。冊子には、想像もできない料理名がまだまだ並んでいます。楽しみながら、豊栄の食文化を掘り起こしていこうと思います。また、ぜひお付き合いください。

今日もごちそうさまでした。

ゴボウに関する下記実験も、合わせてご覧ください。
Study13.ゴボウを和え物でもりもり食べるのに向いている切り方。
Study12.ゴボウの皮はどこまで剥くべきか。(部位ごとの味の違い)


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