GARMIN UNBOUND Gravel 2021 #16

ふと、路面にこぶし大の砂利が転がり出した。こういうところは木が多く茂っていて、路面と植生になんらかの関係性もありそうだが、正直心身とも疲れているので観察することもない。グラベルは深く、下りはかなりハンドルも暴れるが、そこはテクニックと43Cのタイヤのエアボリュームでカバーした。ここでもまた降車してバイクを押す選手(日本ではあまり馴染みがないが白人選手はすぐに降車するようだ)をラインを外してパスをする必要があった。深くガレたグラベルでラインを外すのはリスキーだが、ここで降車する気にはなれないので、勢いのまま荷重抜重を繰り返してクリアしていくと、目の前には浅い小川が見えた。深さはふくらはぎあたりで、選手たちは歩いて渡っているが、そこはマウンテンバイクおじさんの我々である。こんなグラベルの洗い越しなどは朝飯前と言わんばかりにダンシングして加速、一気に渡り切る。大きな水しぶきを上げてシューズがびしょ濡れになった。川の水は特に冷たくはなく、気持ちよさはなかったし、むしろ靴が濡れる不快感だけが残った。川を渡るとすぐに激坂の折返しで、砂利の深いグラベルによってトルクが抜けそうになるのを堪え、リア荷重のシッティングでしっかりと登り切る。ここはほとんどの選手が押していたので、グイグイ登る我々を他の選手がクールと讃えてくれる声(日本ではあまり馴染みがないが白人選手はよく声をかけてくれる)の中に、小さい声でファットタイヤという声が紛れていたが、聞こえないことにして鈍重な選手たちを僕たちは華麗に抜いていった。この洗い越し周辺は砂利のサイズも大きく路面も荒れていて、100マイルのコースの中で1番テクニカルと思われるエリアだったが、単調なアップダウンの繰り返しに飽きていたこともあってバイクコントロールの必要性があるサーフェイスは刺激的で楽しむことができた。しかし強くトルクをかける走りはそれなりに脚に負担をかける。80kmほどグラベル走り続けている状態で、さらに水の補給ができていないこともあってか。少しふくらはぎに攣るような痛みを感じた。時刻は11時。気温は容赦なく上昇し、もう口はカラカラになっている。先を走る森本に少しペースを落としてくれと言おうと思ったが、いまは淡々とペースを刻めていて、このリズムを崩すのもよくない。このまま行けるところまで行くのが良い選択だろう。

>>GARMIN UNBOUND Gravel 2021 #17


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