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ミミズの話 エイミィ・ステュワート著

久しぶりの更新です。

とてもマニアックな本ですが、非常に面白い内容でした。
私は、捕鯨問題をきっかけに人間と生き物や自然との関わり方や、そもそも人間とは何なのか。人間はこの地球でどの様な発展をしてきて、どの様な役割を担っているのか。
色々と考えてきました。

捕鯨問題で最も不快であった事の1つが特定の種、もしくは愛しやすい生き物を特別扱いして、その他の生物等には見向きもしない傲慢な性格です。
非常に視野が狭く、知見も無く、偏った知識で判断している姿勢に憤りも感じました。
また、歴史や文化が人間の身体や精神を理解するのにどれだけ大切な事なのかを顧みず、それらを軽視して侮辱するような言動にも腹立たしい思いです。

そんな中で、目に見えない微生物や細菌、昆虫や植物などに対して次第に興味が湧いてきました。

私は大学進学の為に東京に引っ越し、そこから数年間自然の中や田舎での生活から長い間、離れていたこともあり、昆虫や爬虫類を見ることさえ出来ない位、嫌いになっていきました。

しかし、昨年から地元に戻り、日々様々な動植物や昆虫、爬虫類と近い生活を送るようになってから彼らの造形的な美しさや生き方、役割や特性等を知り、徐々に触ったり、じっくりと観察することに心理的な抵抗が無くなってきました。

初めは、ミミズが土の中から出てきただけで驚き、カエルが跳んだだけで心臓が止まりそうになっていました。

この本はタイトルの通り、『ミミズ』に関する本です。

はっきり言って、凄く興味深いないようです。
あの薄茶色い細長いうねうねした生き物の役割の重要さにはなんとなく勘づいていましたが、この本を読んで改めて、その素晴らしさを知ることができました。

この本を読んで、私の様な古代ローマ遺跡や彫刻を描き、作品として発表し、それを生きる糧にしている人間は彼ら『ミミズ』に感謝しなければいけない、と思いました。
なぜならば、彼らの有機物を分解し新たな土(ミミズ糞)を生成し続けた働きの結果、それらの遺跡は土中に姿を隠し、長い年月眠りにつき、そして18世紀頃から発掘され、その素晴らしい景観や古代ローマの技術を伝えたからです。
もちろん、火山の噴火や地殻変動で埋もれた遺跡もあります。

ミミズ無くして、古代ローマ文明の遺産は残らなかったかもしれません。

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