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6月14日(金)林家つる子落語会(成城ホール)

小きち  黄金の大黒
 間のとり方もよく、表情も豊か。面白いです。

つる子  片棒
 
鈴本演芸場7月上席夜の部でトリをとる。毎日ネタを変える。楽しみ。
 客席に子供が多かった。次の日が休みなので遅くなっても平気なのだろう。木遣りや手古舞、けちべえ人形のくだりなどで子供たちの笑いが弾けた。落語会に子供達が来てるっていいですね。

柳枝  船徳
 マクラで、つる子師をほめたたえる。
 「つる子ちゃんにはソツがない。もうちょっとソツがあっても…」
「つる子ちゃんには女性のファンが多い。他の女流は気持ち悪いおじさんばかり」
 本題は夏の定番。若旦那が客に諭され、「もうやめる」と投げ出したり、ちょっと発達障害気味のように描く。

ー仲入りー

つる子  おかみさん目線の子別れ
 人情噺『子別れ』の(下)『子は鎹(かすがい)』をおかみさんと息子の亀の側から描く。
 鎹の説明をする時につる子師は両手を上げて、体全体を右に傾けて、それを表す。そういえば先日亡くなった桂ざこば師は『子は鎹』を上方版に直して演っていた。ざこば師は懐から現物を出して、「これですねん」と演っていた。彼女なりの追悼なのか? 
 おかしいことも辛いこともある親子二人の暮らし。
 ある時、母は子に「いつもどんな遊びをしているの?」と聞く。亀は「泥棒ごっこ」「花魁ごっこ」などと無邪気に答える。花魁道中を真似る亀に「花魁ごっこはやっちゃダメ」と諭す。
 別の日、帰宅した亀の眉間に傷ができている。聞けば、遊んでいる時に斎藤さんの息子からやられたという。母は息子には「痛いだろうが、我慢しな」と言う。斎藤さんからは内職を世話してもらっており、何かあると仕事がまわってこなくなる。お徳はひどく悔しがる。
 亀の帰りが遅い。お徳は卒倒しそうなくらい心配する。ようやく帰ってきた息子に「みんなと一緒に帰ってこなきゃ駄目」と諭す。そして、気を取り直して、編み物を手伝わせるが、亀の手の間から五十銭が落ちる。

 つる子版子別れの面白いところは魚屋の女房が登場するところである。元旦那と息子がいる鰻屋に行こうか行くまいか二の足を踏むお徳に「少しでも好きな気持ちがあったら行きな」と背中を押したり、熊五郎のやったことを「許せない」と言うと「許せなくていい」と答える。亀の甲より年の功で、親切だけどお節介なおばちゃん気質を、つる子さんは絶妙に演じた。ちなみにこの魚屋の女房、若き日に旦那が芝の浜で財布を拾ったらしい。この噺は暮れにつる子師がしてくれるだろう。
 久しぶりに『つる子の子別れ』を通しで聴きたくなった。
 
 

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