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【物書き部企画】自分という深海へのはてしない旅 4期生 大黒堂ネロさん(古美術商)

物書き部 〜第二章〜 Presents
田村淳の大人の小学校・すばらしき児童たちのインタビュー記事
田村淳の大人の小学校・すばらしき児童たちとは?

ことのおこり

大黒堂ネロさんをFANTSで見かけることはほとんどない。
実際私わさびも、たむ小内でネロさんと話をしたことは未だないのである。ではなぜ今回インタビューを申し込んだか。
それは「話を聞いてみたい~!」これにつきる。

4期生が入学して間もなくの深夜のZOOMで、夫のアニーシャが一緒になり話をしたことがきっかけだ。「おもしろくてすごくいい人だったよ!」

しかしプロフィールや写真から見るエキセントリックな風貌からは、それってあまりに印象にそぐわない!どういうこと!?
話をしてみたいけど全然見かけないし・・・。
ということで、堂々と根掘り葉掘り聞くために、こわごわインタビューを申し込んでみたら快諾してくださった。

顔合わせのZOOMも入れると計3回、のべ約6時間以上のインタビューになった。
いいものを書きたくて力が入りまくって全く執筆が進まず、ネロさんには大変失礼いたしました。心よりお詫び申し上げます。

「第一回 大黒堂ネロとは? 」
「第二回 この人どこからきてどこへいく?(仮)」 の二本立てでお送りする予定である。

第一回 大黒堂ネロとは?

さて、インタビューである。神経質な感じ?下手なことを聞いたら怒られる?と緊張しながらZOOMをたててネロさんを待った。
が、現れたネロさんは物静かで「なんでも答えますよ~」と気さくな方だった。とても言葉が丁寧で、じいっ・・とこちらを見つめながら話を聞いて下さる姿に引き込まれ、ついつい自分の悩み相談までしてしまったほど・・・(なにしとんねん)。

大黒堂ネロさんは滋賀県に生まれ、現在は古美術商を営んでおられる。
全身を覆う美しい漆黒のタトゥーはいくつもの段階をふんで今に至る。インタビュー前にネロさんのことをネットで見るとタトゥー界では有名な方だった。

最初にタトゥーを入れたのは18歳の時。両腕全体を3人がかりでたった2日間で彫り上げたそうだ。その時の図柄は鯉とトライバルと呼ばれる文様だったが、ネロさんいわく「ヘタクソで気に入らなかった」らしい。

そして20才の時に、現在もネロさんが彫りを託している彫り師さんと出会い、和彫りを経て今の姿へと「進化」した。
そしてその道はまだまだ途中なのである。

「最終形態」についてもあまさずお話してくださったが、それはここでは秘して完成を待とう。
ちなみに伺ったとき、浮かぶイメージに理性が追い付かずに、混乱して頭の中に花火が上がっているようだった。とよくわからない説明をしておく。でも本当にそんな感じであった。(楽しみでしょ?)

加えてネロさんは、人体にフックを刺して上から吊り下げる、一種の身体改造である「ボディサスペンション」をされていた時期もある。

その中でも最も難しいといわれる一本のフックのみで吊り下げる、ワンフックチェストというスタイル(しかも胸骨の部分。難易度が増す)で耐久記録世界一を達成したこともあるという!

痛い。どう考えても痛い。
だって、皮膚の下がすぐ骨の部分にあんな太いフックを入れるなんて!想像しただけでも鳥肌が立つ。しかも一度はバリバリッと皮膚が裂けて落下した(ギャー!!)のに回復を待って、また挑戦したなどと聞くと、目の前の修行僧のような静かなたたずまいのネロさんからは想像できなかった。

「どうしてそんなに痛いことをするんですか?」
と聞いてみる。タトゥーにしてもボディサスペンションにしても、どうしてそこまで?当然の疑問である。

「痛みって、自分の恐怖から始まるんですよ」とネロさんは答えてくれた。恐怖?

ネロさんによるとこうだ。
恐怖というものには様々な要素がある。例えば、
五感。時間。周りの目。そして痛み。
何に対して恐怖をもっているのかは人それぞれ。

ネロさんは自分の恐怖を理解するために、
「痛みを経験」することを課し、
「その痛みの記憶を正確に比べる」ことで、
「痛みを理解」する。そして得られる
「経験値をあげ」ているのだ。

最初の質問に戻る。「なんのために?」

ネロさんの表現を借りれば「欲を抑制して弱さに気づくため」「本能ではなく理性を高めるため」「人間の進化をするため」。

それはつまりネロさん自身が「自分を知る」ためなのだと私は長いインタビューを通して思った。
そのために過酷でストイックな探求を自らに課し続けているのだと。

インタビューが進むにつれ、ネロワールドは深い海に潜っていくような感覚であり、ネロさんは修行僧みたいだなと思った私の印象は深まった。
聞けば聞くほどネロさんの中ではすべてつながっていて理由がある。難解なことを聞いているように思うが、実はとてもシンプルなこと。だからこそ、ネロワールドは深くて深くて興味深い。

とはいえ、かなりお茶目なところもあって、好きなアニメは「スポンジ・ボブ」。
まっすぐな生き方が好きで、ちなみに古いバージョンが好きだそう。(そういえばスポンジ・ボブのTシャツを着てる率高かった・・・!!)

さて、第1回はまずネロさんのご紹介をした。第2回では大黒堂ネロさんって「この人どこからきてどこへいく?」を記事にしていくので、お楽しみに!

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「インタビューを受けた人」
【4期生】大黒堂ネロさん

「インタビューをした人」
【4期生】わさび

(2021/10/2現在)