オンラインで浮き彫りになった取引きコスト

改革の不条理」という本を読んで。組織が変わらない、変われない理由に取引コストというものがあるそうで、内部の人間関係が深い人にとっては各所の立場を考えてしまい、結果的に調整のコストが高まり変われないとな。

さて、オンライン授業やセミナーは便利な一方、これまでは教室に行けば会えていた学生と会えなくなりメールでの連絡も返事が来ず、インタラクションにやたらと時間がかかるということになっています。逆もしかりでしょう。

決まった時間に電車にのり、学校や塾に行く。そういう習慣が取引コストを限界まで下げていたのですね。今の学生さんは大変です。何も考えずに、とりあえず家を出るだけで、一日、学校で集中して勉強できた頃と比べると、自宅で本気の勉強体制に入るまでにどれだけの精神力が必要なことか。

これまでは通勤したり、授業に出るために教室に行くことで、実は支払っていた金銭的・時間的コストがありました。それが、必ずしも通勤する必要がなく、通学定期も買わないという状態になり、取引きコストが顕在化しまいました。オンラインが基本なので通学定期を買わない状態でいると、毎回の電車賃を意識するようになり、逆に、キャンパスから足が遠ざかり,結果として友達との接点も減らしてしまいます。

なにかオンライン上での仕組みを考える必要がありますが、まだ誰も上手くいっていないようです。この取引コストを下げるというのは、SlackやTeamsなどのアプリのチャットでも可能ですが、インストールが面倒、ログインが必要、パスワードを忘れる、セキュリティのために毎回2重認証をもとめられるなどの障壁はなかなか下げられそうにありません。

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