一緒にゴールを目指す(31)

今月からLTS社内では新たな勉強会を始めました。
プロジェクトマネージャーがプロジェクト活動を通じて関係者全員が得る収穫を最大化するための実践的なプロジェクト運営のコツの共有します。

プロジェクト

LTSもソフテックも「プロジェクト」という形態でお客様に対してサービス提供することが多くあります。
一般的にプロジェクトは、所謂定常業務と区別して、期限がある(有期であること)、プロジェクト特有のゴールがあること、といった活動の特徴から定義されます。「定義のひな型」としてはその通り、と思いますが、実際にはプロジェクトの完了は次の活動(群)のスタートでもあることがほとんどで、むしろ、何らかの変革をもたらすことを目的としたプロジェクトであれば、プロジェクトが期した効果を創出するのはプロジェクト完了後の活動であることが通常です。業務改革プロジェクトでは業務を見直すことがゴールですが、その効果が表れるのは、見直された業務が実施されてからです。情報システム構築プロジェクトであれば、情報システムが使われて効果が表れます。引っ越しプロジェクトだったとしても、引っ越しの効果(例えば生産性の高い業務環境など)が現れるのは新たなオフィスで勤務してからです。同様に「定常業務」とされている業務であっても、ある期間で達成したい目標を設定し、それに向けて活動していけばプロジェクトになります。
「お客様への価値提供を強化し収益性を上げる。それを用いて社員の人生を豊かなものにする。そのように事業を持続的に発展させる。」という会社経営の本義から考えれば、あるゴールをもった活動群(これがプロジェクト)たちを事業発展というシナリオの中で連続的・有機的に結合させて、お客様や社員、協力会社にとってのメリットに変換するという間断のない営為をデザインするのが経営者がなすべき役割です。

メンバーから見たプロジェクト

プロジェクトメンバーから見ると、プロジェクトはある一定の経験を得る場に他なりません。その経験から得られるものは多様かつ可変です。実践を通じたスキルのレベルアップ、新たな知見の獲得、お客様を含むメンバーや関係者とのご縁、皆さんからの評価と信頼、結果としての昇格、昇進や昇給。お相撲さんの「すべては土俵に埋まっている」ではないですが、プロフェッショナルにとってプロジェクトといった業務の舞台は自分の人生を発展させる豊かな土壌です。その土壌を最大限に活用して、収穫の多い、密度の高い経験を作っていくには、そのためのプロジェクトメンバーの心構えをしっかりと定める必要があります。
経験したことのない業務の依頼があったとき、「え、嫌です。やったことないですもん、やり方教えてもらえますか?」と答えるAさん、「わかりました!でもやったことないのでやり方教えてください!」というBさん、二人とも同じ状況で同じ意図の発言だったとしたら、どちらに依頼するでしょうか? 仕事を依頼したことがある人なら、Bさんに依頼したくなるんじゃないかと思います。そしてばBさんは少しだけ先んじて「その経験」を得る機会が与えられます。このBさんのような心構えこそが、収穫の多い経験を作る出発点だと思うんです。

一緒に心構えを作る

そして、その心構えを作ることこそがプロジェクトマネージャーのとても大切な仕事です。プロジェクトを企画し、計画することはプロジェクトマネージャーでなくてもできます、実際に最後に承認するだけということも多くあります。プロジェクト上の意思決定ですらプロジェクトマネージャーの手を離れて可能です。多くのケースでは、そのプロジェクトの必要性を感じ、そのプロジェクトへの投資を決断する、プロジェクトオーナーが重要な意思決定を行います。でも、プロジェクトメンバーがプロジェクトの成果につながる活動にのめり込んでその経験から得られる収穫を最大化する環境を用意しすること、困難な環境でも局面を打開できる粘り腰のプロジェクトチームを作ることは、プロジェクトマネージャーの専権事項だと思います。
そのための一番基本的な方法は、メンバーひとりひとりが獲得したいと感じていることとプロジェクトのゴールを融合すること、そのストーリーを共有するです。例えば、新人であれば一流のプロフェッショナルとしての基盤を得ること、中途入社のニューカマーであれば活躍を通じて「居場所」を作ること、ベテランであれば影響力の拡大や経済報酬につながる役割を担うことが典型的かもしれませんが、そのストーリーはひとりひとり違います。
そして、大切なことは「ゴールの融合」は継続的なプロセスであることです。ストーリーを作って共有して合意するだけではなく、実現するプロセスを共に歩んでいきます。そのプロセスを通じてストーリーそのものも進化していきます。ストーリーは、同じ人でも局面でも変わるし、経験によって成長しステージが上がるにつれて変化の閾値が思わぬタイミングでやってきます。こうしたプロセスを歩む中で、ゆっくりと強いチームが立ち現れてきます。

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