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【ワインの記録】ランス(Reims)訪問記

2024年1月14日に、シャンパーニュの産地として知られるランス(Reims)を訪れました。パリからなら高速鉄道で50分ほど、十分日帰り圏内ですね。
雪すらちらつく寒さの厳しい朝でしたが、きちんと整頓されたような街の美しさに好印象を持ちました。落書きもほとんどありませんし、パリ中心部と違って歩道も広く、暮らしやすそうな印象。

街のランドマークであるノートルダム大聖堂はゴシック建築の大伽藍。ユネスコの世界遺産にも登録されています。ランス大聖堂では、816年のルイ1世以来、歴代フランス国王の戴冠の秘蹟を授ける聖別式が行われてきました。その中には、ジャンヌ・ダルクに連れられたシャルル7世や、太陽王ルイ14世、そしてフランス革命でギロチンにかかったルイ16世もいます。最奥にはシャガールによるステンドグラスがあり、わたしはそれを見たくて立ち寄りました。シャガール特有の深みのある青が素敵です。

せっかくのランスですし、また「シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ」としてユネスコの世界遺産にも登録されていると聞けば、やはりシャンパーニュのドメーヌも見学したいところ。ランス市内にはいくつも見学を受け付けている生産者がありますが、その中から、貯蔵庫が世界遺産の一部を構成するDomaine Vranken Pommeryを選びました。

ガイド(英語またはフランス語の解説付き)と一緒に巡るツアーのほか、自由に(解説なし)に見て回り最後に1杯試飲できる見学プランも用意されており、わたしは後者を選びました。入り口のホールにポメリーの歴史や地下貯蔵庫の見どころをまとめたパンフが各国語で用意されており、日本語のものもあるので見学の手がかりになります。

長い階段を地下30メートルまで下っていくところから見学路が始まりますが、わたしが訪問した際には日本人作家(おそらく)による妖怪のような現代アートが展示されていて驚かされました。地下貯蔵庫には要所要所に様々な現代アート作品が置かれていて、新旧の対比を楽しむことができますが、一方で歴史の重みや厳かさは損なわれている面もあり、あまり気に入りませんでした。

ポメリーの貯蔵庫は、ローマ時代から使われていた石灰岩の採石場を回廊で繋いで利用しており、深さ30メートル以上あるそうです。この深さが、気温10度・湿度98パーセントという安定した環境をもたらしているとのこと。この中で印象に残ったのは2点。ひとつは、ビジネスが大きくなり世界展開していくに伴って拡張した区画に、外国の都市や地名の名前をつけていったこと。今でもその看板を見ることができます。見学路の中で一番長い通路はManchesterと名付けられています。

もう一つは、通路と通路をつなぐ踊り場のようなホールにある竪坑で、見上げると空が見えますがその高度感がすごいのです。よくこれほど深いところに掘ったなと頭が下がります。こうしたホールは数箇所あり、そこではシャンパーニュ地方の彫刻家ギュスターヴ・ナヴレが1882年から1885年にかけて石灰岩に直接掘ったレリーフも見ることができます。

お楽しみ(?)の試飲ですが、普通に美味しいシャンパーニュだったというだけでほとんど記憶に残っていないんですよね。カウンターでチケットを示すと注いでくれるだけで特に説明もありませんし…。ランスに来れば他でもいくらでも飲む機会があるでしょうから、あまりここで奮発しなくてもよいかもです…

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