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【ワインの記録】Fête des Grands Vins de Bourgogne 2023に行ってきた

歴史

19世紀末、ブルゴーニュのワイン生産者たちが、ブルゴーニュ・ワイン博覧会(Exposition Générale des Vins de Bourgogne)を初めて開催しました。ワイン商が一堂に会するオスピス・ド・ボーヌのセールを利用し、ブルゴーニュのワイン生産者たちは、ブルゴーニュの全アペラシオンを紹介し、ワインの専門家たちに新ヴィンテージのワインを試飲してもらおうというものです。

一般に門戸が開かれて以来、ブルゴーニュの84のアペラシオンを味わえる、すべてのワイン愛好家にとって見逃せない機会となっています。

CAVB(Confédération des Appellations et des Vignerons de Bourgogne)が主催するブルゴーニュ・ワイン博覧会は、2008年に「Fête des Grands Vins de Bourgogne(ラ・フェット・デ・グラン・ヴァン・ド・ブルゴーニュ)」と改名されました。

このイベントは今年が150回目(!)、今日までで最も古いワイン・イベントとされるラ・フェット・デ・グラン・ヴァン・ド・ブルゴーニュは、毎年世界中から多くの来場者を集めています。

開催形態

会場には地域別に15の円形ブースが設けられ、来場者や入場時にもらえるグラスやマイグラスを片手に、試飲して巡ることになります。シャンボール・ミュジニィとヴォーヌ・ロマネ、ピュリニー・モンラッシェとシャサーヌ・モンラッシェといった有名産地のブースは常に何重にも人垣ができ、大変な混雑でした。

150周年と入ったグラスがもらえます

ドメーヌ、ワインセラー、ワインハウスがボトルを提供し、ワイン生産者とその従業員がボランティアでテイスティング・ステーションを担当し、来場者がブルゴーニュ・ワインの多様性を発見できるようサポートしてくれます。提供されるワインは2023年の新種が中心ですが、それ以外のヴィンテージのものも試飲することができます。

ブースの中の人に「あれを飲ませて」と注文します。隣の人の注文に「わたしも!」と便乗するのもよし。

このイベントのユニークなところは、ワインの販売は一切行われなこと。ですので、気に入ったワインがあったら記憶か写真に留めておく必要があります。

2023年は11月17日(金)の午前中はプロ向け、17日午後と18日は一般に公開されました。入場料は試飲グラス込みで1日28ユーロでした。

新酒の味わい

出来立てのワイン、それも何年かは熟成させることを前提に作られたワインの新酒は、普段飲んでいるものと全くの別物。美味しいかと言われるとそうでもないというのが正直なところで、瓶熟成の意味と偉大さを感じられます。

白ワイン

まだ濁りが残っていてグレープフルーツのような香りがするものが多かったです。酸味やミネラル感といったものの地域差、生産者による違いはこの時点からはっきりと感じられます。

赤ワイン

ブドウの房をそのままかじったようなジューシーさを感じます。ただ、芋羊羹のようなこもった香りやウェルチのような市販の葡萄ジュースのような香りが感じられることも多いです(Grand Cruほどその傾向があります)。樽の香ばしさが強く感じられる生産者もありました。地域差などは白ワインに比べると感じ取りにくいように思いました。

2018年ヴィンテージとの比較

2018年にもこのイベントに参加したのですが、新酒の時点では2018年の方が果実味も赤ワインの芋羊羹感も強く感じました。

Tips

  • 行くなら金曜日。土曜日は朝一番から大変な混雑で、飲みたいワインに辿り着くだけでも一苦労で、業者でもない日本人がブースの中の人に話を聞くのはほぼ不可能。ストレスなく試飲するなら金曜日が良いでしょう。

  • グランクリュもいいけど、いろいろ回った方が楽しい。いわば「定額飲み放題」といったシステムなので高級ワインに目が行くのはよく分かりますが(わたしもそうです)、比較することで地域の違いやグランクリュの凄さを体験することができます。「やっぱり○○はミネラル感がすごいね」というようなことが、知識ではなく体感として言えてしまいます。

  • 周りに目を光らせる。ブースに展示せず見えないところに隠されたワインがあります(たいてい、ブースに展示したらあっという間になくなってしまうような高級ワインです)。もし周りでそんなワインが出ていたら、便乗してお願いすれば飲ませてもらえます。今回はドメーヌ・アンリ・リシャールのマゾワイエール・シャンベルタン(ヴィンテージは不明)を飲むことができました。でもそれを期待してブースに張り付くのはちょっと品がないとも思います。

  • コート・ドール以外が狙い目。空いているので丁寧に対応してくれますし、注いでくれる量もちょっと多めです。そして美味しいワインはここにもたくさんあります。

  • ちゃんと吐き出した方が良い。わたしはつい全部飲んでしまうのですが、試飲アイテム数が多いですし歩き回りながらの試飲なので、特に気に入ったもの以外は飲み干さない方がいいでしょう。特に女性は注がれる量が多いので要注意。

マコンのブースにて。同地区のワイン協会の方がプレゼンしながらいろいろ飲ませてくれました。

気に入ったワイン

Domaine Marc Morey et Fils とてもきれいな酸とミネラルに魅せられました。白ワインの中ではこれが一番美味しかった。
Domaine Jean-Claude Rateau 旨みが感じられて、赤ではこれが一番気に入ったので、同じワインの2017年ヴィンテージを街で購入しました。
Domaine Louis Rémy エレガントさが記憶に残った1杯
Domaine Bernard Munier シャンボール・ミュジニィのエレガントさとミネラル感を感じさせてくれた1本
Domaine Sorin Coquard サン・ブリはソーヴィニヨン・ブランで作られる白ワイン。締めにこれでスッキリしようと思ったら思いの外トロピカルな果実味に驚きました。
Domaine Amiot et Fils
Domaine Michel Mallard
Domaine Paul Pilot
Domaine Benjamin Leroux

写真は撮れませんでしたが、Domaine l'Arlot も美味しかったです。2023年の新酒にも関わらず、今飲んでも美味しいと思ったのはここ。

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