ジェンダーステレオタイプは、いつ形成されるのか? ~「男性は〜」「女性は〜」 ~
以下の研究を見て、「多くの人に浸透しているジェンダーステレオタイプは、生まれてからいつ形成されるのか?そんな情報をいつ浴びたのか?」ということに興味が湧いてきた。
8歳から12歳までのジェンダーステレオタイプの研究。年長になるほど偏見が強まり、親が子と同じ考えを持っているほど強まる。
— Atsushi (@atsushi101011) July 27, 2022
Pre-teen Children Believe ‘Brilliance’ Is a Male Trait, and This Stereotype Increases in Strength up to the Age of Twelve - https://t.co/1mrwDN5wBZ
全世界共通で持っている(持たされている)観念、というだけでおもしろいなと思うし、無意識のバイアスとどう向き合うか、というダイバーシティの観点からも、ステレオタイプは外せないテーマなのでよく調べる。
今回はジェンダーステレオタイプについての研究やおもしろかった記事をいくつか挙げていく。
ステレオタイプとは、多くの人に浸透している先入観、思い込み、認識、固定観念、レッテル、偏見、差別などの類型化された観念を指す用語である。
https://www.science.org/doi/10.1126/science.aah6524
一般的なステレオタイプのひとつとして、高度な知的能力を女性よりも男性に関連づける。
上記は、6歳の女子は男子よりも頭がいいと思う割合が少ないというリサーチ。5歳から7歳にかけて、才能に関する考え方は急速に変化するとのこと。そのため、女子は6歳ごろから知的能力が必要とされる活動を避け始める。
まず思うのが、「そんな早い段階でステレオタイプは形成されるのか」ということ。10代や20代になって自分で意思決定するときに、6歳から形成されるこれらは計り知れない影響を持っている。
ステレオタイプに反する特性や行動に出る場合、常にその圧力を浴び続ける。たとえば男性は女性よりも数学が得意である、という固定概念が強いほど、その領域に従事するのはハードルが上がるし、パフォーマンスを低下させる。
また上記の本では、学生が数学でつまづいたとき、男性よりも女性の方が挫折する確率が高いという話があった。本当に苦手なのではなく、ステレオタイプが浸透してるがゆえに、それに当てはまったとき、「やっぱり私は数学が苦手なんだ」となってしまいやすいということ。
先に浸透したステレオタイプがあり、それに当てはまってステレオタイプが本当かのようになっていく、というのはかなりあるケースなのではないか。これを「ステレオタイプ脅威」と言う。実際に、理系進学率や介護領域の男女比なども顕著な差がある。ステレオタイプによって、幼少期からさまざまなことに関心を持つ可能性が、男女共に限定されているということである。
こちらは、ポジティブなステレオタイプであっても、それを受けると否定的な感情になるという話。個性的である意識が強いほど、自分を見られていない、評価される理由がわからないなど、褒め言葉やプラスの発言であっても、自尊心を傷つける影響を持っている。
また民族的にいい結果を出すだろうという予想される条件で、なんらかのテストを受けた場合、集中力を欠き、悪い結果になる場合もある。肯定的なステレオタイプがプレッシャーになるということである。
平均値に差があっても、それぞれの組の個人の能力を特定することはできません。同様に、データを男性と女性で比較して平均値に差があったとしても、だから男性は〜で、女性は〜だ。と一般化することはできないのです。
上記の指摘はシンプルながら、なかなか考えに及ばないのではないか。平均の扱いを誤ると、ステレオタイプの助長につながるであろう。
「性差よりも個人差」ということを念頭に置くのがよいのではないか。
以上、4つの記事を取り上げた。他にもステレオタイプについての記事はトレンドであり、議論が盛んなテーマであるので、ぜひ調べてみてほしい。
10代や20代になって、自分が持っているステレオタイプの影響について気づき、考えるときにできることはなんだろうか。
無意識のバイアスを認知したり、ステレオタイプに当てはめずに思考することはエネルギーを使う。それでも、一個人としては関心を持ち続けたいテーマである。
読んでいただきありがとうございます。「書くこと」を通して、なにか繋がりが生まれればうれしいです。サポート代は書籍の購入や旅の費用にあてさせていただきます。