2023年8月の住宅市場に思う事       ~外構工事の産業はどうなるか~

住宅産業全般のトレンド

今回は、私達の本業である外構業界のトレンドが今後どのような形になるかを記事として投稿させて頂きたいと思います。
改めまして、大阪府泉南市で外構・エクステリアの設計施工会社、そして貿易小売業の2軸で企業経営をしていますハンワホームズ株式会社の社長をしています、鶴厚志(つる あつし)です。

今回、現在の住宅不況と言われる現状を冷静に分析して今後世の中の流れがどの様に変化するのか。そして、我々の業界にどのような影響があるのかを考えてみたいと思います。

(出所:国土交通省)

よく、住宅関連産業は「住宅着工棟数」という言葉でひとくくりにされますが、外構・エクステリア業界は、この中で「持家」というデータを参考にする必要があると考えています。
持家=駐車場と庭がある、外構業界のビジネス領域があると考えるからです。そして、ここの指標は過去最低の水準まで低下しているのが現在私達の外構・エクステリア業界が過ごしている市場環境といえます。
特に首都圏や中部、近畿やその他の地域で10~11%の減少となりました。
背景には、2022年の前半までに受けたコロナ禍の影響や、資材などコストの高騰による住宅価格の上昇が挙げられています。

大阪南部のリアルな投資コスト

我々、大阪府泉南市のカバーエリアでお伝えすると大阪府の南部エリア。関西国際空港を起点として生活範囲が広がるエリアが市場となります。
このあたりは、大阪湾エリアの「ベイサイドエリア」と緑豊かな「山側」の大きくわけて、2カ所の商業・住環境エリアがあります。
これは、ベイエリアには「南海電鉄という私鉄」、山側には「JR西日本」の電車が開通しており、高速道路も両拠点にある事で便利な立地となっています。そのエリアでメイン住宅地はいくつかございますが、10数年のうちに大きく住宅にかかるコストが増加しています。

大手ハウスメーカーでの建築、及び土地の取得や外構まで含み過去の常識
4500万~6000万円台

現在の我々のエリアでは
5000万後半~7000万円台  と大きくコストがあがっています。
冒頭にあります、住宅産業の資材高や人件費の高騰などが大きな理由ではありますが、所得水準がそこまで上がってきていないのも大きな課題です。

外構の費用も大きくあがっているのか?

ここが非常に面白いと感じています。
外構コストは、ここ10数年の間少しづつ価格競争が激しくなり、そしてシンプルな提案が増える事もあり、減少傾向が続いています。
これは、住宅への投資額が大きく外構へ資金を回す事が出来ないお客様が多くいらっしゃることも原因ですが、我々の産業が魅力を発信出来ていない事も大きな課題です。お客様に短期的なメリットはあるかもしれませんが、同業者で価格競争をし続けております。
これは、結果として企業が成長せずにお客様に長期的なサービス提供が出来ない点を考えると、施工をして頂いたお客様にご迷惑をお掛けするような
産業構造になっている点は外構業界の課題です。
外構の単価は、おおむね住宅への投資コストと比例してきますが
4000万円台の投資であれば、200万円~300万円。
5000万円台の投資であれば、250万円~350万円。という様な感じで増加する傾向にあります。
昔は、住宅コストの15%程度が外構費用ですという時代があったようです。
少なくとも私が外構業界にはいった頃には、ハウスメーカーさんの予算組は総投資の5%前後が多いと感じています。

2023年後半に向けて住宅産業はどうなるか

先日、日経新聞の記事にもありましが大手ハウスメーカーさんの販売戦略に
おいて、「注文住宅」⇒「建売」へ販売シェアをシフトする。
という様な記事がありました。
これには、以下のメリットがあるようです。

・共通部材によるコスト低下
・専門のデザイナーが住みやすい家づくりを提案
・購入者が短納期で家を手に入れる事が出来る

いわゆる、コストが高すぎる現在の現状の中で苦肉の営業戦略です。
ただ、コスト高は今後しばらくは下がる気配もありません。
アメリカの住宅市場を参考に考えると、コストはここから上がり続け
まだまだ販売価格は上がっていく事は予測されます。
また、日本の現在の住宅金利は異常なまでの低金利です。
この低金利は、日米の金利格差を生み出す要因となっている日銀の政策とも関係してきますので、結果として円安が進み輸入コストがあがり販売価格があがる。金利分のメリットを超える値上がりが起こっているのが現在の状態です。こういう状況なので、持家を持たずに「賃貸」を考える人も多くなるのは当然。
ただ、これにも将来の負債があります。
賃貸の退去時にかかるリフォームコストが必ず増加します。
2023年現在も、この退去コストでもめている人も多くいると聞きます。
なので、単純に目先コストが安い・高いの問題ではないと考えています。

私が考える住宅産業の未来

生活必需品の様に、値上げをされても買わないと仕方がないモノは購入する必要があるので我慢できます。
ただ、同じ「モノ」を「価格があがった状態で購入する」のは、人間の本能的には仕方がなくて我慢しようという感じではなく、購入したくないとなると思います。

そこで、「住環境」を「モノ供給からライフスタイル提案」へ変える時代が来ていると考えています。
インテリアもエクステリアも、家も外構も。街づくりも、住む人がどんなライフスタイルを描いているかを一緒に考える時代が近づいていると考えています。これは、結果として多様性のサービス提供につながります。
コストは下がらない。でも、自分だけのライフスタイルが満足感を得れる家づくりが出来ると考えるのであれば、決して悪くはありません。
外構業界は、そのライフスタイル提案型の産業へ発展すべきであると考えています。データでも減少傾向にある持ち家供給数。この中で、数年前の様な時代に戻るのを待つのではなく、新しくくる時代に適応した考え方。
サービス提供を実施して、企業として変革できるかが重要です。
そこには、外構業界が貢献出来る分野があるはずです。
敷地条件に合わせた最適な施工が出来る細かな外構。
高低差も完全にカバー出来る提案が可能な外構。

そんな、外構産業が本質的に生まれ変わり成長出来るかどうか、変革の時代を現在我々は生きていると思います。
消費者の皆さまにとって、大変難しい時代と考えています。
ぜひ、同じものを高く買うのではなく。少し目線を変えて、我々外構業界のサービスについて感じ、意見を伝えて欲しいと思います。
そんな、皆様にとってライフスタイルを共に歩める素敵な業者様と出会えること、そして我々の会社もそんな企業として選択される事で業界発展に貢献したいと思います。

本日は、昨今の業界変革を住宅産業の未来として持論を書かせて頂いています。間違いや異なる意見がある事も承知しております。
是非、そういった多様性の中でコスト増加のネガティブな感覚だけではなく
本質を見る力をつけていきたいと、私自身も感じています。


ハンワホームズ株式会社
鶴 厚志


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