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障がい者の服創りに思うこと
それは、私がまだ見習いの頃、父がお客様の次男の方のスーツの注文を頂いてきました。
就職が決まったので、新しくスーツを創りたいとのことです。
その方は、私とほぼ同年代で、子供のころに、ポリオ(灰白骨髄炎)に罹られて、右上半身の発達が遅れ、上半身の左右差が大きく、右腕もほぼ動かない状態です。
身体を真上から見た体型が、卵を横にしたような左胸と右胸の厚みが異なっていました。
当時父は、背筋を中心に左右別々に採寸して、肩幅、胸幅、背幅、アームホール、袖丈袖周り、すべて個々に裁断してました。
しかし、その差寸をそのまま洋服に仕上げてしまったら、不格好でアンバランスなものが出来上がります。
そこで、登場するのがマニプレーション技法です。
縫い目線、切り替え線を利用して左右差を付け、パットや芯創りで出来るだけ左右のバランスの良い服を創るのです。
私の兄弟子もポリオを罹患していました。
歩行が少し困難で、片足をいつも少し引きずって歩いています。
また、業界の先輩の中にも、松葉杖を使用している方も居られ、身体に障がいを持っている方がたは、いつも身近に存在していました。
また、くる病の方を始め障がい者のスーツも数多く創りました。
身体に障がいのある方は、どうしても動きがぎこちないですので、着脱重視の方向でデザインをしています。
ちなみに、父も1986年10月に脳内出血を患い、左半身機能マヒの状態なりました。(左半身機能障害2級)
その後、リハビリを行ってきましたが、回復することなく2009年に亡くなるまで車いす生活を送っていました。
また、妻もその父を介助の作業中に、左股関節を亜脱臼し、それが悪化、左股関節全置換手術を15年間に2回の手術を受けました。(左下肢機能障害4級)
現在は、日々の行動には杖を離すことは出来ず、階段の昇り降りには苦慮している生活を送っております。
その様子、心情、介護の経験を生かして、車いすユーザーの服創りをしています
車いすユーザーの方は、日常生活ではほとんど座っているため、それを考慮したスーツをお創りいたします。
下半身が不自由な方。手にも障がいがある方。介護を要する方など、
機能的には、その障がいの程度に合わせての着脱。車椅子の操作
その方にお会いしたとき最初ににお聞きすることは、「トイレ」排泄の事です。
導尿管を使用か?レッグバッグの位置は?又はおしめなのか?または?です。
すべてそこから服創りを考えなければなりません。
車いすユーザーは基本座位で生活されいています。
一般的なスーツは立居を基本に製図されています。
従って自ずと導線が違ってきます。
立ってきれいな線が、座ったら醜いしわとなって現れたり、立ってバランスの良い上着丈でも座るとやたら長かったり、衿が後ろに覗いたりします。
座って、バランスの良い上着。胸のVゾーンの治まり具合。
座っても引き攣らないヒップ周り。足台とズボン丈のバランス。
車いすの車輪との関係。腕の上げ下ろしの度合い。アームホールの大きさ。
ヘルパーと必要度などに合わせた服創りをしています。
ご自分で着脱が困難な方には、背縫い線を大きくファスナーで開閉できるように・・・
カッターシャツも背中を開けました。
スラックスも脇縫い目線を大きく開閉できるようにしました。
[障がいのある方が着易く、着せ易くかっこいい服創りをしています。
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