重機を操作できない僕たちにできること~野呂ロッジと復興支援について~
「野呂ロッジ大発汗」に参加!
昨日、台風19号で被災した相模原のキャンプ場(青野原野呂ロッジキャンプ場)で、川が氾濫して流れ込んできた石をアイドルと一緒に片付けて、その片付けた石を使って石焼きの焼肉を食べ、働いた疲れはテントサウナでいやしつつ、最後はアイドルのライブで元気をもらうというボランティアに参加してきた。
ちょっと文字にすると情報過多な感もあるこの新しいタイプのボランティアは、広告やイベントのプロたちが考えたもの。
※企画の経緯については以下のような記事があった。
https://withnews.jp/article/f0200221004qq000000000000000W0dy10101qq000020577A
参加した感想として、めちゃくちゃ楽しかった!
一からみんなで大鍋や焼き肉用のカマドを作り、火を起こしてバーベキューしたりしてめっちゃ楽しかったし、キムチ鍋も焼肉もめっちゃおいしかったし、アップアップガールズ(2)(以下「アプガ」)のファンの皆様の熱い思いに触れられたし、アプガのメンバーの明るい笑顔と歌と踊りは参加者ひいてはキャンプ場全体に圧倒的に元気を与えていた。
雑談に興じすぎた結果サウナに入りそこねたことだけ悔やまれる(ので、今日か明日にはサウナに行こうと思う)。
生業(なりわい)支援のこと
野呂ロッジのオーナー(野呂さん)から伺ったところによれば、台風19号で道志川の水位が急激に上がり、流水の進路もまるっきり変わってキャンプ場に襲いかかり、バンガローや車両や大量の事業用の設備・備品を消失させ、そのかわりに大量の土砂、石をキャンプ場に流れ込ませ、川に中州が出現したりと地形も大きく変わってしまったそうだ(被災前の写真も見せてもらったが、たしかに地形が変わっていた)。
これまで長い年月をかけて整備してきたキャンプ場が破壊されてしまった。それでも、野呂ロッジの皆さんは、前を向いてキャンプ場の再建を進められている。とてもタフで、すごいことだと思う。
災害は、被災地の事業の基盤を破壊する。
その仕事で生活をしている人にとって、事業の再建は死活問題である。
いうまでもなく、生活支援も大切だが、生業(なりわい)支援も大切だ。
しかし、津久井進「大災害と法」によれば、日本の災害法制は産業の復興に冷たい。
同書は、過去の大災害を含め、事業者に対する公的支援は、(国、自治体の補助金ではなく)政府系金融機関の融資を中心に行われてきたにすぎないと指摘しつつ、その理由について、「営利を目的とする事業者に公金を直接交付してはならない」というドグマによるところが大きいと分析している。
もちろん、活用できる補助金制度もないではない。
しかし、補助金の対象となる範囲が明確でなかったり、行政側の検討に時間がかかったりして、十分な支援を受けられるとは限らないと被災した事業者の方から聞いたこともある。
個人としてできること
泥かき、家財の運び出しなど、現地でボランティア活動に参加することは大切な復旧・復興支援だ。
実際、何人、何十人と集まって一緒に作業をすると、相当なスピードで作業が進んでいく。
しかし、スコップ片手に被災地に飛んで行っても貢献できない場合があることは、潔く認めなければならない。
実際、はじめて災害ボランティアに参加した時は、重機の威力に感動した。
何人もで何時間もスコップで泥かきした成果を、重機は一瞬で超えていく。重機を操縦できる人がめちゃくちゃまぶしく見えた。
仮に個人ボランティアが力を発揮しにくい場合はあるとしても、復興・復旧のために個人ができることはある。
インターネットは個人をエンパワーメントしたといわれるが、復旧・復興においても、インターネットは個人に対して多様な支援の選択肢を与えたと思う。
たとえば、被災地の状況をSNS等で発信することは、復興・復旧につながる重要なアクションだ(被災した方々の気持ちに寄り添い、プライバシーに配慮することは前提として)。
被災地の状況がSNS等を通じてバイラルに拡散すれば、被災地への関心が広がり、支援のアクションにつながったり、消費者の購買行動を変える可能性がある。
また、大地震や大型の台風は、えてして広汎な地域にわたって甚大な被害をもたらす。そうしたとき、必ずといっていいほど、報道されない、取り残された被災地が生まれる(ボランティアの偏在も起き、復興・復旧のスピードに差が生じることにもなる)。こうした状況を、個人の発信が改善する可能性もある。
また、近ごろでは、被災後の事業再建のためにクラウドファンディングを活用する事例もある(最近のREADYFORのプロジェクトだと、「台風15号被害を受けた花き園芸農家へ 再建支援募金プロジェクト」、「台風19号に私たちは負けない。5年後の丸森町の再起を信じて。」など)。
クラウドファンディングに参加すれば、被災した事業者に金銭的な支援を行うこともできるし、応援コメントを通じて被災した事業者を励ましたり勇気づけることもできる。
SNSでクラウドファンディングを拡散すれば、被災地の状況を周知したり、事業の魅力をPRすることにつながり、応援団を増やすことでも事業の再建に貢献できる。
野呂ロッジキャンプ場、めっちゃいいところだった!
さて、話は野呂ロッジに戻るが、今回、縁あって野呂ロッジに行ってみて、とてもきれいな場所ですっかりファンになった。
野呂ロッジは道志川沿いにあり、清流遊びができる(昨日も、サウナに熱された人が川に飛び込んでいた)。
水はとても澄んでいて、日の光を受けて青く光っている。青野原の「青」は水の青さに由来すると想像している(誰かにそう聞いたわけではない)。
野呂ロッジから歩いて大滝に行けるが、大滝も、その名に恥じぬぐらい水量も多く、圧巻だ。
道中はアドベンチャーそのもので、かなり楽しい。
野呂ロッジは、全国では珍しい、直火ができるキャンプ場でもある。
やはり、大自然の中で食べるバーベキューはうまい。
「1/fゆらぎ」というらしいが、水のせせらぎを聞いたり、炎のゆれを見ているとリラックス効果があるそうだ(たしかにそんな気がする)。
最近、アウトドア人気が高まっているが、デジタルデトックスをしたい人が増えているのかもしれない。
この点、野呂ロッジは、相模原ICから車で15分というアクセス良好な場所にありながら、とにかく秘境感がすごい。
野呂ロッジでゆったりと時間を過ごせば、かなり癒されることは間違いない。
しかも、野呂ロッジキャンプ場に遊びに行けば、復興支援にもなる。
幸福について研究している慶應義塾大学の前野先生によれば、因果関係は必ずしも定かでないものの、社会貢献と幸福度の高さには正の相関関係があるらしい(前野隆司「実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス」参照)。
実際、いいことすると気持ちいいわけで、野呂ロッジに行けば、この意味でも幸福を感じられるかもしれない。
野呂ロッジ、バンガローなど復旧中の設備もあるものの、日帰りとテント泊での利用は可能なので、ぜひぜひ遊びに行ってみて頂ければ!