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松屋「シュクメルリ」から考える、メニュー開発の新常識

1月中旬「シュクメルリ」というキーワードがタイムラインを賑わせました。
しゅく‥めるり‥メルカリ系のサービスか?と思ったら、東欧ジョージア国の伝統料理でした。

シュクメルリ(グルジア語: შქმერული、グルジア語ラテン翻字: shkmeruli)あるいはチュクメルリ(グルジア語: ჩქმერული、グルジア語ラテン翻字: chkmeruli)は、鶏肉をガーリッククリームソースで煮込んだ、伝統的なジョージア料理の一つである。鶏肉、ニンニク、牛乳が主な食材である。

極めてニッチな激レア料理が牛丼チェーンの松屋さんで食べられる、それが本当に美味しい!ということでSNSで盛り上がっていたわけです。

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SNSを震源地に話題は各方面に広がって、クックパッドでもデイリーアクセスランキング上位のレシピに食い込んだり、YouTubeでもシュクメルリ関連の動画がたくさん配信されました。


BUZZを狙ったというよりは、限られた打ち手の中で「シュクメルリ」に着地したのでは?

最近松屋さんが話題になることって多いですよね「松屋のカレー」が食べられなくなるというトピックもありました。松屋さんはTwitterアカウントで17.3万フォロワーいますしコミュニケーションも上手。
バイラルする確率は高いのは事実ですが、BUZZ意識先行で「シュクメルリ」を開発したということではなく、あくまで結果論だったのだろうなと思っています。

①店内の限られたオペレーションリソース
 ‥温めるだけで提供しなくてはいけない
 ‥米と提供しなくてはいけない
 ‥メインは男性。男性が満足するがっつり感

②メニューの勝ちパターンからの模索
 ‥冬だから温かいメニューを提供したい
 ‥ホワイトソースが理想だが白米と合わせたい
 ‥ホワイトシチュー×にんにく →うまい。最強かも

ホワイトシチュー×にんにく 
=シュクメルリというメニューがあることを発見 
→メニュー化へチャレンジ

という経緯で誕生したのではないかなと思っています。

ここで素晴らしい意思決定がたくさんあって「牛丼チェーンのメニューとしてあるべき姿」に固執していないことや「シュクメルリ」の知名度はほぼ0%なのにウケるのか?という社内論争あるあるを突破できているところですよね。
そこはSNSなどでユーザーの反応をっているからGOできたのではないでしょうか?

激レアなメニューもSNSで話題になる。
そんな「SNS文脈」の誕生によって、メニュー開発はこれまでより自由度がましているような気がします。


SNSは、フードチェーンのメニューに翼を授けた。

直近とは言わずとも「え、これ商品化してんの?!」というもの、増えている印象を受けます。

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富士そばさんでは、シンガポールのスープ肉骨茶を商品化。
蕎麦をプラスして「二日酔いも吹っ飛ぶ」まで言うあたり、だいぶぶっ飛んでいるなという印象。実際に食べましたが、完成された肉骨茶で成城石井の肉骨茶は超えていました。

この富士そばの他にも、こちらも盛り上がったサイゼリヤの「アロスティーニ(ラム串)」もありましたね。早く復活しないかな‥。

フードチェーンの知名度が高いお店は、激レアなメニューを投下することによって、トライアル層の獲得やプロダクトサイクルの成熟化を阻止していますし、話題作りにも貢献しているのでしょう。
ある意味、激レアメニューはお店を存続させるためにマスト条件なのかもしれません。

食体験の民主化。体験障壁が下がったことの喜び。

松屋でシュクルメリ、サイゼリヤでアロスティーニ、富士そばで肉骨茶‥。
最高だ!個人的には「いい時代になったなぁ〜!」と拍手したい。

外国メニューが日本に定着する出発点の多くは「外食チェーン」です。これは昭和の時代から変わりません。みんなが認知するようになって、スパイスや材料の輸入・製造が増えるようになって供給も増えて、色々なシーンで触れ合えるようになっていく。激レアメニューの日本定着の第一歩の瞬間に立ち会えている感覚になって、なんだかホクホクしました。

否定的・異論のようなものもあるかもしれませんが「はじめてのメニューに、身近なお店で手軽に」トライできるなんて、良いことだと思います。

気に入ってくれたら専門店に行ってほしい。何より「メニューを認識する」ことによって、世界の食文化や食材への理解がはじまるわけで、最初の機会点としては良いのでないでしょうか。


外食はパーソナライズ化、家庭料理はシンプル化。

環境配慮やヘルシー意識、また世界各国の料理との出会いが増えるようになって、ますます「外食」は多角化していくことでしょう。
一方で家庭料理はシンプル化。同じ料理でも、向かう先は異なります。
これからは家庭料理の「今」をしっかりお伝えしていきたいなと思っています。

それでは、またタイムラインでお会いしましょう!


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