お加持教室5 内臓をなでる
先回は、人のまわりの気を下から上に、あるいは上から下に流すことと、時計回りに回転させるというお加持の方法をご紹介しました。このおもてから人の気をさわることは、体の中の気にとどまらず、一緒に動いている水や血液を動かし、さらに内臓もさわっていることになります。そして今回は、体の中を直接さわる方法、なでるということをしてみましょう。どこをなでる?? 気の流れが悪くなっている内臓をなでます。
たとえば肝臓をなでてみます。肝臓は、体の中お腹の右上にあり、スポンジのように血液を多く含んだ臓器です。そして、代謝や解毒という体にとってとても重要な働きをしています。また、内臓は心の働きとも密接につながっていて、肝臓はその働きが高ぶると、怒りやイライラが現れてくることがあります。
乳児が、キーキー声や夜泣き、引きつけ、消化不良などを起こすことを疳(かん)の虫と言いますが、肝(かん)と同じ音の「疳」は、胃腸病や神経症のことです。小さな子は、胃や肝臓の容量が小さく、日中に受ける刺激などで気が過剰になりやすく、胃腸や神経の病気になってしまうのでしょう。そんな時に、母親ができる小児鍼ということで、銀製のスプーンで優しく肌をなでる方法があるそうです。
では、肝臓をさわってみましょう。肝臓の大まかな形さえわかれば大丈夫です。目を閉じて、自分やご家族の肝臓をイメージして、体の中に手を入れてみましょう。肝臓の手前側も向こう側もなでてみます。手が止まるところがあるのでしたら、その場所もよりなでてみる。肝臓をなでて気をめぐらすことは、肝臓の代謝を高めますし、ひいては体全体の代謝を高めることになります。
また、心の問題などで高ぶった肝をなだめることができます。現代では、多くの方に有用な方法かと思われます。今怒っている状態を収めるというよりも、怒ったり神経をつかい過ぎて痛めた肝臓を、なでることでいたわってあげるという感じです。今現在の怒りを収める助けには、もっと強い力で気を降ろす必要があります。
ストレスの多いお仕事で体を悪くされた方が、肝臓をなでられることで気分が安らぎ眠くなり、毎晩眠る前にして欲しいとおっしゃった方がみえました。
2022年4月26日
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