三月二十四日・二十五日・二十六日@マリボール

三月二十四日

今日から三日間、スロベニアのMaribor(マリボール)住んでいる友人家族にお世話になる。これでマリボールに行くのは三回目である。一回目は2019年の十月、二回目は2020年の八月、そして2022の三月である。

いつも友人は優しく私を迎えてくれて、最初の出会いはまだ大学がハンガリーにあった頃、彼女はたまたま私のオフィスに配属された他の研究室のインターン生。人と人の化学反応というのは不思議なもので、それまでもちろん会ったこともなかったがすぐに仲良くなって、彼女がマリボールからブダペストに来る際にはランチやディナーに行くようになった。

先月友人家族(友人と三人の子供)がウィーンに来たので久しぶりに会うというわけでもないが、今回は私がスロベニアに行く。これまではブダペストから長距離バスに乗ってマリボールまで旅行したが、今回は初めてウィーンから直行電車に乗ってマリボールに行く。やはりウィーンはヨーロッパのどの方面とも接続がよい。個人的にはバスより電車のほうが好きである(そんなに時間は大差がないのだが)。

着いたら昼ごはんを食べハイキングをしながら世間話をする。彼女はロシア人なのでウクライナの戦争のことなどはもちろん、しかし話したところで鬱々とした気持ちになるので彼女の研究や家族のこと、私の研究や恋人のことを話す。子供たちを迎えに行って夕食を食べた後、夜は『The Afterparty』というApple TVのドラマが面白いので一緒に見る。

お互い認知科学(心理学)をやってるだけあって、このシリーズはとても面白い。簡単にいうと殺人が起こって探偵来て複数人に事情聴取するのだが、それぞれが同じ場面に関して違うストーリを話す。人間の認知とはまさにこういう主観的なものであって、完全に客観の現実など存在しない(と言い切れるかどうかは分からない)。

三月二十五日

二日目、朝早く子供たちは学校に行って私は八時半ごろまで寝る。友人が帰ってきて一緒にゆっくり朝ごはんを食べる。静かなマリボールの朝は贅沢だ。しかしここに長年住んでる友人はブダペストやウィーンのような都会が恋しいという。

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お昼は山のほうにハイキングに行く。まだ雪があって、スキーをしている人もいた。わんちゃんも一緒である。

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夕方は子供たちを迎えに行く。当たり前だが毎日毎日、学校があるときはいつも子供たちを迎えに行っている友人はすごいなぁと思う。子供はもちろん、子供に限らずとも日々誰かの面倒を見ながら、それに文句をいうこともなく生活している人たちを本当に尊敬する。私と同じ博士課程に在籍していて、全く同じように授業や研究をこなしている同僚も、私生活では子供がいたり介護人がいたり、同じように見えて全く想像もできないような生活を送っていたりする。自分を卑下する必要もないが、しかし自分はどこまで行っても自分のことしか考えていない。

夜はPtuj(プトゥイ)にある中華料理屋さんで中華料理を食べる。中華料理はどこで食べてもおいしい(美味しいところに連れて行ってくれているのだと思うが)。

三月二十六日

今日はLjubljana(リュブリアナ)にMonster Truck(モンスタートラック)というショー(モーターレース?)が来るので、子供達と見に行く。全然知らなかったがアメリカでとても人気のショーらしい。

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友人によればヨーロッパの初ツアーらしく、最初の場所がここスロベニアだそうだ。写真では伝え切れないほどの轟音で耳がちぎれそうだったが、なかなかスリリングなショーで楽しかった。

ショーの後は途中で昼食を食べ、マリボールに帰り駅まで送ってもらう。可愛い猫ちゃんともお別れである。友人のお家には犬、猫、ウサギがいる。

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ウィーンに着いたのは十時ごろだった。相席していた(多分)オーストリア人にウィーンに二年間住んでいながらドイツ語喋れないの?と言われて気分を悪くしたが、それ以外は快適な旅だった(そんなに不機嫌になったわけでもないが、これをウィーンで言われるのは二回目である。ハンガリーに三年住んでいたがそんなこと言われたことは一度もない)。