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ある日、エレベーターで

左足の薬指の骨を折った。

折れた薬指を、隣の中指を添え木代わりにしてテーピング。
あとは普通通り生活する。
パッと見た目では、けがしていることはわからない。
夏のサンダルをはいているのが、ちょっと不思議な感じ。

歩くのが遅くなり、足を引きずるようになった。

職場があるビルのエレベーター、
乗るとき降りるとき。

わたしがゆっくり乗り込むのを待ってくれる人。
歩き方で察して「急がなくていいですよ」と声をかけてくれる人。
待たずにそそくさと「閉」のボタンを連打して行ってしまう人。
目の前で閉じる戸が切ない。

これから乗り込むエレベーターに
男子高校生の2人連れが乗っていくのが見えた。
さきほど私を追い抜かしていった子たちだ。
にぎやかに話をしている。
ああ、これ行っちゃうな。
待つパターンだな。

高校生の自転車に後ろから急に追い抜かされたことが
何度もあった。
そのたびにこわい思いをして。
だからもともと「男子高校生」に対する印象がよろしくない。

ゆっくり歩いていくと
ボタンを押して待っている姿が・・・。

(あ、待っていてくれている)

「ありがとうございます」
2人の男子高校生にお礼を言って乗り込む。
エレベーターの中は3人だけ。
無言の空間。

1階につくと
また黙って私が下りるまでボタンを押して待ってくれている。
もう一度「ありがとうございます」と言って
急げないから、ゆっくり降りた。

わたしのあとから降りた彼らは
またにぎやかに話しながら歩いて行った。

ああ、「〇〇だから」なんてひとくくりにしちゃだめだな。
けがをしたおかげで
見えないものがちょっと見えた、そんな日。

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