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ノロノロおばさんが「アップルウォッチ」に目覚めた理由

怒鳴られた

「おばさん、 のろのろ歩いてるんじゃねーよ」

追い越されながらいきなり怒鳴られた。おどろいて一瞬、体が固まった。

朝、 通勤通学の人でごった返す駅の改札前だ。

Suica (JR東日本のICカード)を出すのに手間取っていた私。
20代くらいのきっちりとネクタイをしめた若い男性は、あっという間に人ごみにまぎれて見えなくなった。

カードを出しやすいようにリュックのポケットに入れていても、自然と歩みは遅くなる。20代との差は歴然だ。

それから改札を通り抜けるときに、緊張するようになった。
たまたまSuicaの残高が足りなかった。目の前でバタンと扉がしまった。
うしろにいたかわいらしい女子高生がチッと舌打ちをしながら、別の改札に回っていった。

還暦祝いにお願いする

「還暦のお祝いは何がいい?」と夫が聞いてきたのはそんな時だった。
60歳になる私のために夫と娘2人が合同でプレゼントをくれるらしい。

何がいいか、真剣に考えた。
お洋服?エステ?それとも旅行券か。

でも、私は決めた。

「アップルウォッチが欲しい」

改札口で手首をかざしながらすっと通っていく人を見かけた。
あの人はいったい何をかざしているのだろう。
調べてみると、アップルウォッチだった。重そうに見えた。疲れそうだ。(腕の力が弱いせいか重いのは苦手なのだ)

でもそんなことは言っていられない。決めたんだ。

快適な改札口スルーを目指す。

こうして、アップルウォッチがやってきた。

手につけてみる。やっぱり重い。
画面が今までの時計よりも3倍ぐらい大きくて、時計なのか何なのかわからない感じ。
この子とうまくやっていけるだろうか。

右側が今まで使っていた時計。左側がApple Watch


Suica(スイカ)をアップルウォッチにセットする


さっそくスイカ(JR東日本の電子マネー)をウオッチに設定。

JR東日本のサイトを何度も見た。読み込んだ。
同じようなホームページを行ったり来たりした。

JR東日本のApple Watch説明のページ


「現在持っているSuicaをアップルウォッチに取り込むと、
そのカードは使えなくなってしまう」ことがわかった。
カード機能がすべてスマートフォンの中に移されてしまうのだ。

これは不便だ。カード単体で使う時があるだろうから。

結局、私はiPhone上で新しいSuicaを作り、それを取り込んだ。
アプリを新しくダウンロードしたり、
JR東日本のサイトの会員になったりした。
うん、できた。
さっそく改札を通ってみよう。

スムーズに通る?

朝の通勤時間。。かっこよくアップルウォッチをかざす…

あれ?

あれれ?

ウォッチが反応しない。
後ろの人が、あわてて違う改札を通っていく。

またもやノロノロおばさんだ。
仕方なく今までのスイカをゴソゴソ取り出して通った。
なんで?情けなさでいっぱいになる。

もう一度JR東日本のサイトに戻り、調べた。

かざすだけで通るためには「エクスプレスカード」設定が必要だとわかった。

・iPhoneでウォレットを起動しエクスプレスカード設定

・Apple Watchでも設定が必要。

設定の嵐だ。うおおおおお。

JR東日本のホームページ。赤い枠で囲んであるのは、きっと私みたいな人が多いせいだ。

でも、ノロノロ歩いてんじゃねーよ!なんてもう言われないのだ。
設定をやらなくちゃね。


ふたたび通る

今度は休日の朝7時台の改札で、
Apple Watchを試すことにした。
人が少ないからだ。
お金がかかってしまうけど、そんなことは言っていられない。

改札口にApple Watchをかざす・・・
手首を近づける瞬間、心臓のドキドキが大きくなった。

緊張している。さすが弱虫あつこだ。

通る、通るよ。

音がして、改札口が反応。

扉が開いた。

心の中で 大きく声を上げた。
改札口を通り抜けてもドキドキがまだ続いている。

Apple Watchで改札通り抜け成功した日に撮った写真。

用事は無いけど、隣の駅まで乗ってしまった。
降りて、改札口を出る。

パタッ。

あいたよ。

じゃあ家に戻ろう。
回れ右して改札に入る。

ピッ。あいたよ。

小さくガッツポーズをしながら通る私は、変なおばさんだった。

それから通勤は快適になった。
手首についているから、スイカを忘れる心配がない。

しかもオートチャージ(残高が少なくなると改札口で自動的にチャージする機能)も設定したので、
残高不足で扉が閉まることもなくなった。


アップルウオッチを活用する生活

そのあと、 ID(アイディ) と QUICPay(クイックペイ) を Apple Watch に入れた。

ネットでやり方を首っ引きで調べながら入れた。

ID(アイディ) と QUICPay(クイックペイ)は電子マネーで、
大型スーパーや商店で ウオッチをかざせば会計ができる(お店による)。
お財布を忘れても大丈夫だ。

それから、 Watch を積極的に使うようになり、生活が変わり始めた。

・電話にちゃんと出るようになった。電話がかかってくると Apple Watch に手首をタンタンと叩かれるためだ。ママには電話が通じないと不満を言っていた家族に好評。

・ウォッチ本体で電話に応答できる。ただし周辺に相手の声が聞こえてしまうため場所を選ぶ。(デパートの中でやってしまい、丸聞こえで恥ずかしかった)

・天気予報やニュース速報、メールなどは手首のウォッチで確認。

・座り続けていると1時間に1回手首をトントンとたたかれる(スタンド機能)ので、立ち上がることを意識するようになった。

・毎日の歩数や運動カロリーをアップルウォッチが計測して「もう少しですよ」と励ましてくれるため、運動を日々心がける気持ちが生まれた。睡眠時間も管理している。胸が痛いかなと思ったときには心電図をとっている。

洗濯機の洗濯開始や終了も手首で教えてくれる


アップルウォッチやiPhone とうまく付き合う

2年前、改札口で怒鳴られたとき、ノロノロしてる自分が嫌いだった。
だけど今の私は、スムーズに改札口を通り抜けられる。

あの怒鳴り声で私の中のエンジンが始動した。

Apple Watchを購入し、アプリを入れ、カードを設定した。
改札口をかざすだけで通ったり
お財布いらずで買い物をしたり。

徐々にエンジンの回転数が上がっていく。

励まされながらウォーキングをする。
天気予報やニュース速報を知り、
洗濯の終了時刻のお知らせまで、
手首のウォッチを見るだけでわかるようになった。

フルスロットルだ。
これから安定走行に移る予定。

こう書いてくると便利なことばかりのような気がするが、注意点もある。

・電子マネーが使えない店がまだたくさんある。小さめのお財布は必要だ。私はパスケースに緊急用として、一万円札を折りたたんで入れてある。

・電源が1日しかもたないので、夜は必ず充電が必要。外で電池切れになった場合、何もできなくなり大変。

・なんでもかんでもウォッチで確認すると、しょっちゅう通知が来て仕事が進まない。知らせてくる内容をしぼり込む必要がある。

年令からくるおとろえを、新しい技術で助けてもらう。
新技術に頼りすぎずにうまくつきあう。

そんな気づきを与えてくれたあの男性には、今となっては感謝している。
きっと会社に遅れそうで、イライラしていたのだろう。
でも、怒鳴るのはよくないけどね。

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