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白湯が売っていた

同僚のM美さんが飲んでいたペットボトル。
よく見ると
「白湯(さゆ)」と書かれている。

あつこ「白湯が売ってるの?」

白湯は湯冷ましとも呼ばれる。

M美さん「売ってたよ。コンビニの温かい飲み物のところに置いてあったの」


冷めずに温かいままで売られていたのだ。

M美さん「お腹にも優しいし。水だと寒いから飲みにくいでしょ。
冷めても普通の水よりも柔らかいし」

そっかぁ。
白湯まで売られる時代になったのだ。
ーーー

初めて水のペットボトルを買った時を思い出す。
私は20歳前後だった。
水は家の水道の蛇口から出てくるもので、購入するものじゃなかった。

駅の売店で売っていると聞いて、もの珍しさから買いに行った。
特別おいしいわけでもないし、なぜ売られているのかわからなかった。
半分だけ飲んで、残りの半分は飲みきれなくて捨てた。

ーーー

はじめての海外旅行。
添乗員から、生水を飲まないようにときつく言われた。
水は買って飲むもの。
飲み物もアイス抜きで買うように。
水は手を洗うだけ、体を洗うだけのもの。

帰国して、気軽に水道水が飲める環境にほっとした。
「日本は水に恵まれた土地」なのだと実感した。

ーーー
すれ違う、小学生たちが肩から水筒を下げている。
遠足でもないのにどうしたのだろう。
聞くと、自分が飲む水は水筒で持参していると言う。


私の小学生の頃は、水道の蛇口に口を近づけて飲むのが当たり前だった。
学校にウォータークーラーが導入された時は、(足で踏むと上から冷たい飲み水が出てくる)
みんなで行列して飲んだものだ。

ーーーー

今から33年前。あつこのお腹の中に赤ちゃんがいた。
初産なので、母親学級に参加した。
講師の保健師さんがこう言ったのだ。

保健師さん「赤ちゃんには普通の水を飲ませてはダメです。お風呂上がりには白湯を少し飲ませてあげましょう」

ふむふむ、と聞いているプレママたち。

保健師さんは、言葉をこう続けた。

「この前ね、薬局に白湯くださいって
買いに行った人がいたのよ」

会場にクスクスと笑いが起きた。

「白湯は湯冷ましですから。
お湯を冷ましておくだけでいいんだから。
薬局では売ってませんからね」

もう、あの保健師さんの言葉は通用しない。


「水は買う」のが当たり前。
白湯(湯冷まし)ですら、売れる時代。


幼い頃の暑い夏の日、
台所の蛇口から出る水が
おいしかったのは
遠い記憶だ。

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