食事時間

蚊に刺されやすい人だ。

周りにいる家族は、誰も刺されないのに、あつこだけが刺される。
名付けて「人間蚊取り線香」

台所で夕飯の支度。
右足のふくらはぎがかゆい。
あれ、左足のふくらはぎも。
思う間もなく、はれてくる。

複数の攻撃に負けた。
爪を立ててガリガリと掻いてしまう。

まずい、傷になってしまう。
昔からの友、ムヒ軟膏を塗ってスースーさせる。
太もものあたりもかゆい。

あつこ「ねえ、蚊に刺されていない？」

理科系夫「ぜんぜん」

ーーー

あつこ「またわたしだけか…」

現在進行形で、ふくれてくる部分を見せる。

あつこ「右足だけじゃなくて左足もだよ。ひどいよね」

理科系夫、押し黙っていて…ポツリと。

理科系夫「食事時間か…」

あつこ、固まる。

許さない。

右ふくらはぎは細長く
左ふくらはぎは丸く腫れた。
蚊が刺したときの唾液の跡だ。

それはともかく。。。
許さない。
抗議の目で、黙って見つめ続ける。

理科系夫「なんでそんなに怒る。
ボクは何も悪いことはしていないし、
関係もない。
蚊が食事をしていただけだ」

客観的に言うところも許さない。

こうして夫の夕飯のおかずは
一品少なくなったのだ。。。

ふいっ。