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部屋でおやつを食べたい。(96歳母)

有料老人ホームに入居している96歳の母。

母のささやかな望みは、自分の部屋でおやつを食べることだ。
老人ホームの食事は口に合わないことも多く。
自宅からしらすや漬物、果物などを差し入れている。
もともと食が細く、味に対してわがままなのだ。
父が母のことを大事にして、お嬢様のように接してきたことも関係あるのだろう。

ーー
父が亡くなり、母が車椅子となり、いろいろあって、有料老人ホームに入った。
(父がある程度のお金を残しておいてくれたからできたこと。あつこが歳をとったときには、有料老人ホームは、まず無理)

母もだんだん体が動かなくなり、今はほぼ寝たきりの生活を送っている。
携帯電話を持たせているので、何かあると電話がかかってくる。

よく出てくるのがおやつの話だ。母は自分のベッドで小さなおやつを食べたい。

ところが、母の老人ホームでは自室でおやつが食べられない。見守りをしていない状態で、おやつを食べて喉に詰まらせたら大変と言う考えからだ。

それはわかる。
ーーー

母のささやかな楽しみがおやつ。寝たきりなので、喉に詰まらないような小さなお菓子を頼んでくる。
引き出しにこっそりと隠している。

最近母が好きなのが、よくコンビニで売っている。小さな甘い梅干しだ。種が入ってないタイプである。
口の中が甘いけど、甘すぎずさっぱりする。だから、このぐらいはベッドで食べたいと。
あとは小さなあられ。

それもわかる。
ーーー

96歳で、あと何年生きるか、ひょっとしたら何ヶ月なのか、わからない。
母は心臓が悪く、足にむくみも出てきているので、注意しなくてはいけない状態なのだ。

つい最近、終末期医療についてドクターと話し合ったこともあるような状態だ。
そんな残り少ない人生で、お部屋で小さなお菓子を食べちゃいけないと制限するのは、どうなのだろう。

そのくらいいいじゃないかって心の中で思う私がいる。人生の最後の場面において、小さなお菓子を好きな時に食べてもいいんじゃないかと。

ーーー

看護師さんにその話をしてみた。

すると彼女の口から出てきたのは
「残りの時間が1年あったとして、喉に詰まらせて1日になったらどうされますか」という言葉だった。

それもわかる。
ーーー

わかるけど。
最後の日々に小さな好きなお菓子を食べて、命が縮んでしまったら。
もうそれもそれでいいかなぁと思えてきてしまった。

とりあえず看護師さんへの話は諦めた。

ケアマネさんに(よく話を聞いてくれる)に、もう一度だけ、おやつについて話をしてみるつもりだ。

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