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そもそも、金継ぎって…???解説します!

こんにちは。
”サステナブルにめぐる器”のブランド、「Zen」(繕) をはじめます、渡辺敦子です。
前回の投稿で、<★次回、クラウドファウンディングのお知らせします。>と書きましたが、まだそのお知らせが整わないので…すみません。(11月17日〜の予定、と書きましたが、ちょっと延期して20日から始めたいと思っています!)
その前に。今日は金継ぎについての解説をしたいと思います。

”サステナブルな器”といっても、陶磁器はいつか割れてしまうかもしれません。でも「Zen」(繕) では、壊れた陶磁器をただ捨てるのではなく、直してまた使う、ということを提案しています。
その、直す技術こそが、日本の誇る伝統技術、「金継ぎ(きんつぎ)」なのです!
さて、その「金継ぎ」を皆さんはどのくらいご存知でしょう?
今日は、金継ぎについて丁寧に、工程も詳しく説明したいと思います。

まず初めに、「金継ぎって何?」と聞かれたら。
「陶磁器が欠けたり割れたりした際に、破損箇所を漆と金を使って直す、伝統的な技法のことです。」と答えます。
はい。漆と金を使う、ということが伝わると思いますが、実際にはそれ以外の材料もたくさん使います(詳しくは後ほど)。また、金は最後の仕上げに装飾に使うものであって、金でなくて銀を使えば「銀継ぎ」、金属を使わずに、漆だけで仕上げる「漆継ぎ」や「共継ぎ」、また、別の器の破片をうまく組み合わせてつなげる「呼び継ぎ」などの種類があります。

漆で器を直す、という行為自体は発掘された縄文土器にもみられるものですが、現在のように金などで装飾する形は室町時代以降のお茶の文化の広がりと共に発展しました。今より格段に、ものが少なかった時代ですから、ものを大切にして直して使い続けていたのですね。さらにお茶の精神が、直した跡を美しいものとして見出し、愛でる美意識を加えたのです。
金継ぎのことを「金繕い(きんつくろい)」とか、単に「直し」と呼んだりもしますが、いちばん使われているのが「金継ぎ」という名前です。(お分かりになると思いますが「Zen」(繕) の名前は、「繕い」から取りました。)

一般的に、金継ぎは個人間で行われている事が多くて、大切な器を壊してしまった時に、どうにかならないものかと思って直せる術を探し、金継ぎ師を探し出して依頼する、というのが多いと思います。(私も個人の方からの注文も受けています。)また最近では、カルチャースクールなどでの金継ぎ教室も人気なようで、技術を取得してみたいと志す人も多いようです。(私も教室やっています。)

器を直したことがある、あるいは直してもらったことがある、方なら経験があるかと思いますが、お直しには少々時間がかかります。私自身も、大体「3ヶ月はお待ちください」とお伝えします。どうしてそんなに時間がかかるのか、というと…それなりに長い工程があるからです。
以下、簡単にまとめてみますね。

例えば、パックリ割れたお皿の場合です。

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1)まず下準備
陶磁器についた汚れがあったら洗う。割れた部分のキワを、やすりで研いで角を落とす。接着面に生漆を塗って、すぐ拭き取る。などなど。
素材によって、マスキングが必要な場合はこの時に。

2)割れた部分を接着させる 
割れた箇所に、麦漆(小麦粉+水+漆を練ったもの)を塗って接着し、固化させる。
 ↓ 乾燥させる。1〜2週間ほど。
乾いてから、はみ出たところを削って平にする。

3)欠けや凹みを埋める
割れた箇所に大きな欠けがある場合は、刻苧漆(こくそうるし:麦漆+木粉)で埋める。小さな欠けや凹みは、錆漆(さびうるし:砥の粉+水+漆)で埋める。
  ↓ 乾燥。1週間ほど。
乾いてから、余分を削ったり、紙やすりで擦ったりして平らにする。
一度で平らにならない場合は、錆漆を塗り重ねる手順を繰り返す。

ここまでやると、だいたいの割れはくっつき、欠けは埋められて、器の形は壊れる前の状態に戻っています。ここまでで実際に作業するのは2〜3日。でも間に乾燥させる時間が、あいだに2週間〜1ヶ月ほど必要になってきます。

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※漆を乾燥させるには高い湿度と温度が必要なので、湿度を保てるように箱に入れたりします。洗濯物を乾燥させるのとは逆なのです。

次から仕上げの作業に入っていきます。

4)中塗り

平らになった部分に、精製漆を塗り重ねる。
塗ったら乾燥。各1日くらい。

精製漆とは、生漆(きうるし)にナヤシ(かきまぜて漆の成分を均一にする)や クロメ(加熱して余分な水分を取り除く)といった精製作業を行って作られたものです。透明な飴色で「透漆(すきうるし)」と呼ばれます。この漆を、使う前に濾紙でこして使います。
一旦漆を塗り、乾燥させたらやすりで研いで、塗り重ねます。

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↑乾いた漆の表面にはツヤが出てきれいです。
(この写真で伝わるでしょうか…)

5)金粉撒き
仕上げの漆を塗る。その漆の上に金や銀などの金属粉を撒く。少しおいてから、余分な粉を払う。
金を蒔く際は、赤い弁柄(べんがら)漆を使ったり、銀を蒔く下地には黒の漆を使ったりして、金属粉の発色をよくします。
 ↓ 乾燥させる。1週間くらい。
カバーの漆を塗って乾かした後、磨いて輝きを出す。

6)磨いて完成!
金属粉を撒いた後に、十分乾燥させてから生漆で抑え、さらに磨く工程があります。磨くのには瑪瑙や鯛牙(たいが:鯛の歯で作ります)を使います。磨くとマットだった金属粉の表面が金属らしい光沢を放っていくようになります。

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ぴっかーん。
これで完成になります!

だいたいの工程の流れ、イメージできたでしょうか?
漆の他に使っている材料も、小麦粉や木粉、砥の粉など、自然の素材ばかりです。最近は、合成の漆や、純金を使わない塗料など、簡易的に金継ぎを楽しめるものも出ています。合成の漆はかぶれることがなかったり、天然の漆では接着できないガラスにも使えたりするので、利点もあるようですが、食べものをいれる器だからこそ、「Zen」(繕) では、古くから行われているやり方を踏襲して、安全な素材を使っていきたいと思います。

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★次回は、クラウドファウンディング(11月20日〜の予定)のお知らせします。よろしかったら、ぜひフォロー&サポート、よろしくお願いします!

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