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#26 ボリビア生活、日々の覚え書き。

2022年6月1日 miércoles
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プロジェクトミーティングの時間になっても誰も来ないことが常になり、自分の作業をしながら気長に待つようになった最近。
今日、担当教員ふたりは何の連絡もなく欠席。いつも来るメンバーの生徒3人が揃って、雑談混じりの話し合いになった。最初に来た男子生徒と、ボリビアで行きたい場所の話、私が以前住んでいたロンドン、グラスゴーの生活について、障害者を取り巻く環境の違い、など話していると、もうひとり女の子がやってきた。
用意していたスライドで、私が説明を始めると、ふたりがところどころ、私のスペイン語を訂正してくれる。
「え?なんて??もう一回言って!」
「ありがとう、先生!」と、生徒たちに言うと、「今までたくさんいろんなことを教えてもらったから、僕たちもアツコに教えることができてうれしいよ、だから気にしないで!」と言ってくれた。
後半は、来週の障害者施設での創作ワークショップに備えてのディスカッション。それぞれ、前回の活動からの改善点や、アイデアなど持ち寄り話し合う姿をみて、うれしくなった。

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2022年6月5日 domingo
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大家のエリカさんのお誕生日会に呼ばれた。エリカさんのお友達も誕生日が近く、ふたりの誕生日祝いをまとめてする、という。私は、得意のエビスパイスカリーを持参。ここでもやっぱり高評価。へへへ。
そして、今までの人生で、一番と言っていいほどの、巨大なバースデーケーキを見た。

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2022年6月7日 martes
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午前のスペイン語クラスがなくなったので、朝から泳ぎに行った。プールに着くと、本気で泳ぐひとたちばかりで、週末とはまったく違う様相。
隣りのレーンで泳ぐ女性に「あなたみたいに平泳ぎが泳ぎたい!」と声をかけられた。
30歳を過ぎてから泳げるようになった平泳ぎ、が、まさかボリビアに来て、羨望の眼差しで見られるまでになるなんて。人生捨てたもんじゃない。
その後サウナでいろいろ話し、彼女の車で街まで移動。車中でバナナと、彼女お手製の、ほうれん草と卵とチーズで作ったパンのようなものをくれた。「泳いだ後はタンパク質を摂らなきゃ!」と。そして一緒にランチをとって別れた、そんな、おもしろい一日。

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2022年6月8日 miércoles
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今日の障がい者施設でのワークショップは、生徒たちが「テーマを設けよう」ということでボリビアの動物をテーマに、いくつか写真をプリントアウトして持っていった。結果は、みんなテーマに反応せず!!(笑)
ひとりの男の子は、バクの写真を窓に当て、形をなぞって色をぬり、お母さんへ、と、カードを作っていた。

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すぐ、好きな人に何か作りたい気持ちになるみたい。そんな彼らを見ていると、あったかくなる。
そしてこれはわたし、らしい「Vos!!!(君!)」と言われた。

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ずっと「アスコー、アスコー」と呼ばれてたな、この子に。かわいい。ちなみに横に描かれた波波は、文字(のつもり)です。ところどころ色を変えるところが、おしゃれ。


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2022年6月9日 jueves
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月3〜4回は食べに行く、お肉の美味しい食堂。コロコロ体型で声が高く、かわいい店主と、そっけない奥さん、に、6歳くらいの娘ちゃん。そのいつもの風景の安心感、に満足度の高いお肉のランチ。なんだかホッとする。この日は隣の席の男の子を観察しながら食べる。

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にしても、ボリビア人はみんなコーラばっかり飲んでいる。子どもからお年寄りまで。

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2022年6月11日 sábado
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いつもであれば土曜日は午後にプロジェクトのミーティングが入っている。しかし、今日はお休みにした。Gran Poder[グラン ポデール]というイベントがあり、街中のかなりの距離をダンスパレードが練り歩く。警察官の同僚(警察官でもあり、グラフィックデザイナー)は、もちろん警備に駆り出され、車両も止められたりと、交通事情的にも混乱した状況になるので(もちろんダンスに参加する人は言わずもがな)ミーティングに来るの難しくない?ということで、お休みにした。
そのおかげで私はパレードを見に行くことができた。

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2月のカルナバルの時には見なかったようなダンス、衣装も見れて楽しく過ごした。夜8時半頃にパレードから離れ、外へ出ようとするも入ってくる人の波に押され、そして、同じく外へ出ようとする人たちが押し寄せ、なかなか出口に近づけない。。ボリビアでは「列を作る」という概念はないらしい。


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2022年6月18日 sábado
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先週末ロドリゲスでマスの卵を5ボリ(80円くらい)で買い、醤油漬けを作った。日本ではそんなに食べなかったいくら丼だが、激安だから?まわりのご飯と比べるから?とても美味しく感じる。

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この量で80円?!と思うと、お得感が半端ない。

美味しい、といえば、ボリビアだから、、、と、下駄を履かせることなく、ここラパスの外食で普通に「美味しい!」と感じたごはん。これ。

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イタリアン。
やっぱりイタリア料理、おいしい。そしてここはオーナーがイタリア人。ピザも薄い生地で、本場のやつです。どこにいても、美味しいものを食べられるって幸せ、て、つくづく感じます。

そして今日はプロジェクトミーティングの日。担当教員ふたりから当日キャンセルの連絡があり、「はいはい、またそれね」と冷めた気分になりつつ、開始時間ギリギリに着いた私は、ゆっくりと準備を始めた。

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20分ほど経ち、3年生の生徒 Melissa がやってきた。しばらくふたりで雑談する。そして彼女がいなかった前回のミーティングについて、簡単に進捗の説明。そうしているうちに、もう一人の女の子がやってきた。そして、あとふたり合流し4人のメンバーが集まった。
このプロジェクトに関しては、継続して毎回ミーティングに参加する生徒が少なく、生徒が一人だけの時もある。教員しかり。こんな状況ではこれから先、作業の段階に入っていくのに本当にやっていけるのか心配、というのもあるし、そもそも機能しないのなら続ける意味はない、と判断した私は「プロジェクト続ける?ていうか、続けたい?」と、彼女たちに聞いてみた。4人とも「¡Sí!(はい!)」とのことだったので「じゃあ、とりあえず続けて、様子をみよう。」と言った。
教員がいないので、細かいスケジュールは詰められず、大まかなプランだけ共有。そしてゴールをどうするか、の部分で「先生に聞かないと、あなたたちがどこまでできるかわからないけど、一応希望を聞きたい。どういう形に持っていきたい?」と、聞いたら、彼女たちから「こっちの方が楽しそう!」と、ポジティブな反応が返ってきた。「このプロジェクトは実験でもあるし、楽しい、て感じることも大事だから、その方向でやろうか。」と、彼女たちに伝えた。同僚の先生がいると、彼が場を仕切る(語る)ことが多く、それで助かることもあるが、今日は、生徒たちがそれぞれ自由に喋る場面が多く見られて、なんとなく柔らかい空気を感じた。

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彼女たちと楽しくミーティングを終えて帰宅し、大量に作ったPollo(鶏肉)のスープの夜ごはんでお腹を満たし、これを書いている。一昨日ボリビア人の友人から買ったコーヒーを飲みつつ。最近の私のお気に入り「Hojarasca 」という銘柄。

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彼女の家で初めて「Geisha」も試し飲みさせてもらった今週、なんとなくゆったりした気分で過ごせている。

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ATSUKINO(アツキーノ)

2006年〜日本でグラフィックデザイナーとして働いた後、2013年に渡英。スコットランドの The Glasgow School of Art で修士号(Communcation Design: Graphic Design)を取得。帰国後はアートディレクター、キュレーターとしてデザインディレクションとともに現代アートの展示企画制作なども行う。海外での生活、旅を通じて得られる新たな表現や人との出会いが次の可能性につながると信じて動く、旅するデザイナーでありアーティスト。現在は南米のボリビア、ラパスにてJICAボランティア活動中。デザイン教育環境の改善にあたっている。
http://nakanoatsuko.com/
https://shadow-candle.com/

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