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【カーボンニュートラル推進企業紹介⑨】株式会社山光建設 〜環境にやさしい建設 子供に誇れるまちづくりのために〜

カーボンニュートラルーー。脱炭素への取り組みは国際レベルのものから個人での活動まで様々です。
 厚木市内で脱炭素の取り組みを進めている企業に、どのように「脱炭素への挑戦」をしているかをインタビューしました。取り組む理由や具体的な進め方、これから取り組む企業へのメッセージなど、1社ずつご紹介。取り組みを始める一歩に、また活動を促進させるヒントにしてはいかがでしょうか?
 8社目は、厚木市を拠点に総合建設業を手掛ける株式会社山光建設。道路や河川など行政の仕事も多く手掛け、まちづくりにも深く関わるからこそ「完成するまでの行程でも子供たちに誇れる事業に」と環境対策に取り組んできました。建設業の目線から見た未来につながるまちづくりについて話を聞きました。

環境にやさしい建設業を目指す

自然を切り開き環境を壊すイメージから、自然と共存し環境を守る建設業へ

 森を開き、木を切り、街を作るーー。高度経済成長期において、建設業は環境に決していい影響のイメージは持たれにくいものでした。
 しかし、まちづくりと建設業は密接しているもの。まちづくりが環境を守る方向にシフトすれば、自ずと建設業自体も環境を守る事業に変わります。
 山光建設は昭和37年に設立し、45年から市の公共事業に参入。緑豊かな厚木市において、自然と共存し暮らしを豊かにするという市の思いに応え、環境に配慮した工事に取り組み続けてきました。

環境に配慮し地域に誇れる事業を

 「カーボンニュートラルは業界全体で取り組むのが当たり前という考え方になっています。法が整備されたことはもちろんですが、建設業は未来に残すまちづくりの仕事。子供たちに誇れるまちづくりがしたいという矜持を持っており、自然と調和の取れた環境づくりへの意識は必然的に高くなるのでは」と前田行哉代表は話します。
 同社は昭和47年に、相川小学校へ、市内小学校で第一号となるプールを作りました。小中学校のトイレ改修工事で優良建設工事の表彰を受けるなど、地域密着企業として、子供達の未来への想いを大切にしてきました。

山口社長(右)と前田代表

周囲と協力 環境にやさしい現場づくり

排気ガス対策 重機メーカーとも協力

重機の前に並ぶ職人ら

 二酸化炭素排出と密接なのが、排気ガス対策です。多くの機材を扱う建設現場にとって、排気ガスを減らすためには、導入する重機そのものを見直す必要があります。
 工事を行う際、地域とのトラブルが起きやすいのが「ホコリ、振動、騒音」といいます。
 近年、ダンプをはじめ、多くのメーカーでハイブリッドタイプの重機が増えており「現場も安心して導入できる」と前田代表。「どうしても周囲に迷惑をかけてしまう。それでも、環境に配慮して工事をしている、とお伝えできるだけでも、地域の方にとって少しでも安心してもらえれば」と説明します。

緑あふれる厚木市に会社を構えて

 三重県出身の前田代表。厚木市は都会にあって、緑に囲まれた恵まれた環境にあると感じているそうです。市内には多くの建設業企業がありますが、地域環境への想いが強く、学ぶことも多いといいます。
 難しい課題であっても、とりあえず『やってみんベぇ』と前向きなところが、厚木流。カーボンニュートラルのような世界全体に関わる課題であっても「取り組めばより良い未来につながる」と目を細めます。

限りある資源を守るために

現場と協力し分別・リサイクル

 今や当たり前になったゴミの分別とリサイクル。ゴミの規模が大きくなればなるほど、その手間も大きくなります。これまで建設現場などでは、余った資材など、大量の廃材が出ていました。特に膨大なのが解体現場。一軒家を壊して出た廃材は全てゴミとなっていた時代もあったと言います。
 同社では、現場に分別用のコンテナを設置。コンクリート片、プラスターボード、プラスチック、木材、紙、金属などをより分けて分別し、リサイクル業者へ引き渡す取り組みをしています。

限りある資源を無駄なく丁寧に

経費削減で企業や顧客にも優しく

 廃材の分別は、企業にとっても、有料で処分していたものがリサイクルへ引き渡せることとなり、経費も3〜5分の1に縮小。
 また、木材をはじめ、世界全体で資材材料自体が高騰していることもあり、経費削減は依頼主のお客様にとってもメリットに。「地球にも、企業にも、お客様にもやさしい取り組みは持続させやすい」と話します。

働きやすい現場づくりというカーボンニュートラル

現場との信頼関係

 とにかく量の多い廃材。現場のスタッフたちにとって、分別は作業負担となります。前田代表は「当初、分別について現場の職人へ相談をすることをすまなく思っていましたが、皆協力してくれると力強い返事があり、心強かった」と振り返ります。
 「職人に支えられて今まで続いてきた」と微笑む前田代表。「いいモノを作りたい」という思いを抱く職人たちだからこそ、未来の子供たちに誇れる現場づくりという方針が広がってきたといいます。

現場社員と並ぶ前田代表(中央)

 現場第一主義を掲げる同社。社員、関わる職人全てが「持続可能」な働き方を目指し、現場は余裕を持たせて回すことを心がけていると言います。 無理なく働ける現場だから、工期も無理なく組むことができ、夜間などエネルギー消費の多い時間の作業を減らすことができる。「人、もの、コト、全ての取り組みが無理なくあって、初めて持続可能なカーボンニュートラルになる」と前田さんは話します。

 自社を「ミスター中小企業」と謙遜する同社。規模が小さいからこそ、普段から小さいことも取り逃さず取り組むことを大切にしてきました。「大それたことはできないんです。でも、この小さな取り組みが、将来の厚木市の豊かさに繋がれば、それはそれで素敵なんじゃないかな」と、期待を込めました。


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