Chemical Hearts

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1,どういう映画か

今年の8月21日にAmazonプライム限定で配信された映画です。

主人公のヘンリー(男、高校3年生)は学校新聞の編集長のポストを狙って日々新聞づくりに尽力していました。そんな中、変わり者の転校生のグレイス(女、高校3年生)がやってきました。同じ学校新聞の編集を担当することになります。ヘンリーはグレイスに一目惚れをし、一緒に編集作業をしつつ、密かに恋心を抱いていました。ヘンリーはロマンチストで理想が高いあまり、今までに恋愛経験がなくグレイスにアプローチをしますが上手くいきません。グレイスは昔、自分自身の過失で交通事故に遭い、恋人を亡くしています。上手くアプローチをして、距離を詰めたいヘンリー。昔の恋人が大好きなあまり、恋人が亡くなったことを受け入れる事ができておらず、他の男の人に心を開く事ができないグレイス。ヘンリーの努力によりグレイスは徐々にヘンリーに対し心を開きます。その2人の距離はことあるごとに縮まったり、空いたりします。2人はやがて恋人関係になります。ですが、ヘンリーはグレイスを唯一無二の存在。グレイスはヘンリーを昔の恋人の次に大切な人。と、お互いの認識の違いにより別れてしまいます。お互いの気持ちの齟齬によりその後の学校生活では関わる事がなくなります。ですが、最後のシーン。卒業式の日2人は廊下で出会います。グレイスは2人が話す機会となった小説の一節の一切れの紙切れをヘンリーのポケットに入れ抱擁をして、別れます。

このような話ですが、やはり文面では上手くこの映画の本質や魅力を伝える事ができないです、、

2,感想

僕はこの映画を見た後、なんとも言えない感情が心に残りました。寂しさと言うべきか、喪失感と言うべきか、具体的に当てはまる言葉が思い浮かびませんでした。ハッピーエンドではないのは確かですが、バッドエンドかと言われるとそうでもないと思いました。この心残りな感じは、ララランドを見た時に感じたものと似たようなものがあります。かつて恋人同士だったものの、環境の変化や気持ちの齟齬により別れることを選んだ2人の選択が正しいものかと言われると分かりませんが、最後に卒業式の日のシーンを見る限り2人はまだお互いを想い合っているのではないかと思います。ですが、あえてお互いの気持ちを伝えないことが現在の2人にとって正解の選択になったのではないかと考えます。

化学反応は構成する物質の組み合わせが変わると、出来上がる物質も変わってきます。片方の物質が同じでも、もう片方の物質が違うと化学反応の結果が変わってくるのと同じように、2人の恋心のどちらかが変わると全く違う結果になってしまう。この現象をこの作品は表現しているのではないかと考えます。この映画を観て、恋人同士であることの奇跡さ、そしてその関係を維持することの難しさを改めて実感することになりました。