夜の鳥
ここ何回か続いていることがある。
“家の人”がパン屋さんで必ずオマケをもらってくることである。
丸いパン。食パン。また今日ももらってくる。
小さな男の子ならまだしも、肩幅がガンダムくらいある成人男性だ。
「あんまり執着されないようにしなよ」
そう言ったら、
「お金払ってるから大丈夫。Uちゃんのほうがお金とか関係なしにもらってきたりするでしょ。こわいよ」
と返された。
なんとなく、たしかに、と納得した。
でも時と場合による。
そんなこと言ったらすべて時と場合によるんだけれど。
五所純子の『薬を食う女たち』を読み終えた。
「生きるために冷蔵庫を買い替えるのか、冷蔵庫を買い替えるために生きるのか、これじゃわかったものではない」
「へえ、鬱病ってこんなにがちゃがちゃしてるんだ。でもわたしはちがうから」
ビビッドな事実の断片と筆者によるボカシのうしろに、買う側、売る側、男たちが見え隠れする。
こんな夜にとても美しく鳴いている鳥がいる。
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