ひさしぶりの険悪な食卓
2020/01/18
実家の両親と一緒に、西宮の門戸厄神さんにお参りに行く。年に一度の厄除大祭が今年はこの週末だった。
小さな駅は人であふれていて、駅からお寺までお年寄りを中心とした人であふれている。
母方の叔父が大手術をして今も入院中なので、母が熱心に手をあわせる。線香に火をつけて立てたとき、ぶわっと風が強くなり右から左から煙につつまれた。ICUにいる自分の弟を見舞って脚をさするだけだったと話す母が、大量の煙につつまれて少しだけど気持ちがすっきりしたかもと涙ぐんでいた。
叔父本人が闘うしかないとき、なにもできない周囲のわたしたちはこうやってお参りに来ることで混乱する気持ちを一度でもしずめることができるのかもしれない。すがるものがひとつでもあると助かるときもある。
ひとが多くて疲れたのか、わたしと父が口論をして、父と母もやや険悪になってしまった。大喧嘩はしていないもののみんなの口数が少ない。
母のおいしい手料理を食べながら、窓をちらりとながめる。薄桃色と薄紺色がまじる夕空。大阪湾はきらきらひかっている。
このピリついた感じ、ひさしぶりの食卓の空気だ。懐かしさすら感じる。さくりとカキフライの衣が音を立てる。
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