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家になってきた

朝、パン。コーヒー。
引っ越してからやっと自分の家でコーヒーが淹れられるようになった。

「家」としておちつくのは…ひとつは布。
ベッドにいつもの布団をぼんとおく。ベッドメイキングみたいなことはできない。
カーテンをつるす。ところどころ丈があっていない。これも追々、やっていく。
テーブルにクロスをぺらりと置いて、台所とトイレにマットを敷く。

これでだいぶ、自分の家になる。

それから、匂い。
コーヒーの残りかす。
出汁をとったあとの昆布、椎茸。
料理をして、すこしずつうちの匂いをなじませる。

昼、コーヒー、ミューズリー。お菓子。
気に入って使っている緑いろの片手鍋が、IHでは使えないことがわかった。
残念。

柔軟剤がきれてしまったので、暑そうな外へ思い切って出て行く。
新しい道を歩くことは、脳にとても良い。わたしの脳はどう思っているか知らないけれど、わたしの心、足、目はわくわくしている。

古いアパートのタイル。
不思議な名前のコーポ。
廃墟と化した建物に馴染んだ植物。
ちょっとした小川に鴨がいて、おどろく。

夜、ごはん、納豆、めかぶ。

家の人が帰ってきて、前の家は狭いし古いし家賃は高いし、何のために働いてるのかって悲しかった、と言う。
そんなこと思ってたんだ。
なにを考えているのかよくわからない人の本心を聞くと、ぎょっとする。

横浜にいたのも彼の仕事の都合だったので、わたしはふうんそんなこと思ってたんだと感じるだけだけど、でも引っ越して良かったというなら、それはうれしい。

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