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可愛い人間細野晴臣の映画『NO SMOKING』

1969年のデビューから、今年で50年を迎えた音楽家・細野晴臣。近年ではカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『万引き家族』の音楽を担当し、国内だけでなく世界中のアーティストからリスペクトされる生けるレジェンド。そんな細野晴臣に迫る唯一無二のドキュメンタリー映画。

No smoking, No life だろうか。
細野さんは息をするようにタバコを吸う。
音楽にタバコが欠かせない。
細野さんの人生にはタバコが欠かせない。
指の先にくゆっているのが良いらしい。

良いとこのボンである。
戦後すぐから良質な音楽、良質な文化にくるまれて育ったようである。
ボンが音楽を愛し、音楽に愛された。才能のあるボンは最高である。
音楽のことしか語らないこの作品に、どうしてわたしはお金のことばかり考えてしまうのだろう。

やりたいことがあっても生まれた家の事情で諦めざるを得ない人は、戦後でなくても現代でもいる。好きなことができるということは、半分は運だ。でもその運を無駄にしないのは才能だ。

苦労や苦悩はスクリーンに映さない。ひょうひょうと、さまざまなリズムで細野さんを映し出す。

細野さんの横顔は、絵になる。幾度も、横顔が映る。監督が選んだ細野さんの横顔が、好きだ。

ダンサーになりたかったと言っていた、細野さんのお父さんの思い出話のシーンが刺さる。アメリカ文化にすでに触れていてダンスも好きだった若者が、アメリカ相手の戦争に巻き込まれてしまう悲しさを思う。

細野さんの、可愛い人間のドキュメンタリー。ずっと笑顔で観ていられる作品だった。

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