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『しししし』ドストエフスキー特集。暗かった夏の思い出を添えて。

双子のライオン堂さんが出している文芸誌『しししし』を友田とんさんから購入した。

『しししし』の第二号はドストエフスキー特集である。
ドストエフスキー。良い思い出が無い。
最初に読んだのは大学一回生の夏休み。『罪と罰』だ。

夏休みらしくない。秋か冬に読めばよかった。そもそもなぜドストエフスキーの『罪と罰』を読もうと思ったのか。

高校受験を控えた冬、当時のわたしは有名な作家と彼らが書いた代表作の名前を入試対策のためにただひたすら暗記していた。もともと読書が好きだったので、その丸暗記が嫌で嫌でたまらなかった。早く受験を終えて、丸暗記した本を一冊ずつ読んでいこうと決めていた。

高校に入学してからは実技教科が忙しく、読書どころではなかった記憶がある。中学の国語教師が作ってくれた丸暗記リストを大事に手帳にはさみ、一作ずつ読んだタイトルに丸をつけていったのは高校2年生からだったと思う。

おそらく高校生活の中で、試験に出る日本文学作品をあらかた読んだのだろうわたしは、そのノリを引きずって、大学生の最初の夏休みに有名な海外文学に手を出した。覚えてはいないけど、きっとそんなところだ。

今日の打ち合わせで、「暗いところがあるから文学になるんだ」という話になった。文学はだいたい暗い。暗すぎて逆に笑ってしまう余裕が最近は自分にもでてきたと思ってはいるが、暗いものを読むと引きずる。

大学生のわたしは存分に引きずられた。暗い夏休みだった。できたばかりの友達とろくに会うこともなく、実家にいた。なにをして過ごしていたのか覚えていない。一回生の冬から急にパーティーに誘われたりしたので、夏のわたしはヒトではなかったのだろう。

ドストエフスキー。わたしの19歳の夏をぶち壊してくれた人。

ししししを、前から順番にではなく、ぱらぱらとページをめくり、指が止まったページから読んでいる。ドストエフスキーを巡るひとたちの文学が面白い。積読が多すぎてドストエフスキーを再読する暇をねん出する意欲が今のところまだないけれど、再読したらきっと笑えてくるかもしれない。

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