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雨キャンプが教えてくれた”夫婦仲をよくする”コツ

「おれは絶対にイヤな記憶しか残らないと思う」

小雨が降る中、スーパーの駐車場に停めた車の中で、ぼくは隣に座っている妻にそう話した。

妻の口から「そうだよね。やめようか」という言葉が出ることを、ぼくは期待していた。

ワイパーが右へ左へゆっくりと動いている。

妻の様子を見ると、妻は意志の固い目でぼくを見返してきた。

その目は(あたしは絶対に行きたい)とぼくに力強く告げていた。

それは、ぼくらが生まれて初めて、雨の中でのキャンプを決行することになった瞬間でした。

去年の話ですが、そのキャンプは長男次男の保育園時代の仲の良かったママ友ファミリーと行く予定でした。

このご時世なのでファミリーキャンプの予約は取れないので、別々に予約して川遊びや花火だけは一緒にやろうと言ってたんです。

予約をしたのは何ヶ月も前だったので、まさかその日が雨になるとはまったく思わなかったんです。

当日が近づいてくるにつれ、天気予報の結果が怪しくなり、前日になってもその日の雨予報が変わることはなかったんです。

「行くか行かないか決めないとね」と妻と話していたのですが、ぼくとしては行かないつもりでした。

雨の中、6歳の双子と2歳の三男の面倒を見ながら慣れないキャンプとタープを張ることなんて考えられなかったんです。まさか妻も行くとは言わないだろうと思ってましたし。

でも、他のファミリーが行くということになって、妻も行きたいと思うようになったんです。

行くか行かないかを決めた前日の車の中で、ぼくは断るつもりだったんです。

当日のことを想像しただけで「苦労しかない」ことは目に見えていて、雨によってぼくらのキャンプは「イヤな記憶しか残らない」としか思えなかったんです。

しかも、そのキャンプはぼくらにとって人生で二回目のオートキャンプだったんです。まだ慣れないテント設営と撤収を雨の中、子どもを抱えてできるとはとても思えなかったんです。

だからぼくは、妻にあきらめて欲しくて「(キャンプに行っても)絶対にイヤな記憶しか残らない」と言ったのですが、妻の目は(絶対にあたしは行く)とぼくに力強く告げていました。

そのとき、ぼくは(これは行くしかないな。雨の中でも楽しめるように考えを変えるしかない)と思い直すことにしたんです。

久しぶりにママ友と会えるチャンスを失いたくないと言う妻の意思はとても固く、その意思は絶対に変わらないものに思えたんですね。

ここでぼくが強く出過ぎるともめることになり、行っても行かなくてもイヤな経験にしかならないと思ったぼくは、「雨キャンプを楽しむマインド」に自分を変えることにしました。

そうと決まればすぐにキャンプ用品店に向かい、前から気になっていたヘキサタープ(ヘキサタープの下で火を起こすから、雨にも火にも強いタイプを選びました)を買い、子どもたち用にアウトドアブランドが出している可愛いレインコートを買い、ぼくら用にもレインコートを用意しました。

準備万端でキャンプに向かいましたが、やっぱり現地では小雨が降っており、雨の中での初めてのヘキサタープ設営(それも一人で)はかなり大変でした。

でも、「ヘキサタープ設営を楽しむマインド」になっていたぼくはそこまでイライラすることもなく設営を終えることができ、テントもなんとか雨の中設営を終えることができました。

子どもたちもお友だちと川遊びや花火を、雨の様子をうかがいながら楽しむことができたようでした。

「雨の中で大変な思いをする」と分かった上で来ているので気持ちはあまり乱されませんでしたが、夜中から朝方にかけて雨が強くなり、大雨の中の撤収はかなり大変でした…。

テントやタープをどうやってしまうかを雨に打たれながら考えているので、妻と一緒に片付けているとなかなか意志の疎通ができず、険悪な雰囲気になってしまったんです。

帰りの車の中では仲直りしましたが、慣れない作業を慣れない環境で二人の人間で行うことは普通に大変でした…。

でも、来て良かったなとも思ったんです。

雨キャンプの経験を積むことができたので、次回に生かすことができますからね。

キャンプに行くかどうかを決めた前日の車の中で、もしぼくが自分のマインドを「雨キャンプを楽しむ」に変えずに、不満なまま出発していたら、それこそ”イヤな記憶”しか残らなかったと思うんです。

これはどっちかが折れるとか折れないとかの問題じゃないと思うんです。

自分の気持ちを変えるか変えないかの問題だったんだなって思うんです。

妻もきっと同じような経験があると思うんです。ぼくがどうしてもそれをしたいと言って、そのぼくの気持ちを尊重してくれた時が。

三男が生まれてから、ぼくらはお互いにそういうことをする癖がついたような気がするんです。そして、この雨キャンプでは特にそのことに気がつかされたんです。

(自分が折れてやったんだぞ)と相手に貸しを作るんじゃなくて、自分の感情を変えることで自分のご機嫌を取るというか、初めは望まない決定だったとしても、自分の気持ちの持ちよう次第で、夫婦関係は良くも悪くもなるんだなって、そんなことに気がつかされた雨キャンプでした。

雨の中、妻と楽しんだ焚き火。難燃性のタープを選んで正解でした。

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