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パパのさんかくパン。
「パパのさんかくパンが食べたい!」
たまに子どもからリクエストされる朝ごはんがあるんです。
うちの子どもたちは食に興味がなく、あれが食べたいと言うことは珍しく、ましてやぼくが作るものを指名してくれることなんてほぼありません。
だけど、「さんかくパン」だけは指名してくれるんです。
さんかくパンとはなにか?
それはチーズをたっぷり挟んだグリルドチーズトーストのことです。
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妻もこれが好きでたまにリクエストしてくれます。
自分一人のためには絶対作らないのですが、家族が喜んでくれると思うと、張り切って作ってしまうんです。特に妻からリクエストされてしまうと。
たぶん、このグリルドチーズトーストがぼくと家族との距離を埋めてくれているんだと思います。
そして、同時にぼくに「生きやすさ」も与えてくれているようです。
ぼくがこのトーストを知ったのは、ある映画がきっかけでした。
◇
腕は確かだが雇われであるため自由に料理を作れず、葛藤を抱えている(夫婦関係や親子関係も問題だらけ)中年男性シェフが、自らのアイデンティティの確立を求め、キューバサンドイッチのフードトラックで全米を回るという映画です。
「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」というその映画では、とても印象的なシーンがあるんです。
主人公は妻と離婚し、子どもとも離れて暮らしているのですが、週に一回だけ子どもが彼の家に泊まりに来る日があるんです。
翌朝、主人公が息子に振る舞う朝ごはんがグリルドチーズトーストなのです。
これがめちゃくちゃ手が込んでいるんです。
たかがトーストなのに、まるで三ツ星レストランでの料理のように慎重に料理をするんです。
それを息子が一口食べて「パパ、これ美味しいよ!」と驚くのですが、主人公としては美味しいのは当たり前なので「ああ、そうだろ」としか言わないんです。
ああ、これが作りたい!息子に「パパ、美味しいよ!」と言われたい!
映画の影響でぼくはすぐに同じトーストを作り始めました。
なかなか最初はうまくできませんでしたが、何度も作るうちにそれっぽいものが作れるようになってきました。
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なんでこんなにグリルドチーズトーストをぼくは作り続けるのか、自分でもよくわかっていなかったんですが、二つ理由があるようです。
一つは、自分が完全にコントロールできるものであること。
料理方法を誰かに指図されることはなく、完全に自分の好きなようにできます。
ですが、実生活では会社の方針に従って働かないといけません。自分の好きなように働きたいのだけど、それができない。
その不自由さから解放させてくれるのが料理だったんです。
料理ならば(たかがトーストであっても)、ぼくが好きなように行動できる。誰からもコントロールされることなく、自分の世界を作ることができる。
それが単純に心地よかったのだと思います。
実生活ではままならないことが多いけれど、料理(たかがトーストであっても)ならばぼくは自由になれる。
そう、ぼくは自由が欲しかったんだと思います。
これを作り始めた頃、上の子たちは2歳くらいだったと思います。
子育ては大変で、仕事でも転職したばかりでがむしゃらに働いていました。ストレスは多く、息抜きができるものを探していたんだと思います。
もう一つは、妻と子どもたちがめちゃくちゃ喜んでくれることです。
正直言って作るのに時間がかかるので、ぼくは一人の時にこれを作ることはないんです。
妻と子どもたちのためにしか作りません。
ぼくは単に美味しいものが食べたいんじゃなくて、妻と子どもたちが喜ぶ顔が見たいんです。
彼らを喜ばせたいんです。
彼らが嬉しそうにトーストを頬張る姿を見ていると、口に入れた瞬間「んー!」と声を上げるのを聞くと、もうたまらなくぼくは嬉しくなるんです。
それは、間違いなく、ぼくの幸せなんです。
誰かのためにグリルドチーズトーストを作ることが、ぼくの幸せなんです。
食パン2枚、チーズ、ハム、卵、バター。
たったそれだけの材料で構成される単純な料理。
だけど、このグリルドチーズトーストを作ることで、ぼくは誰かのために生きる喜びの片鱗を味わったような気がするんです。
自分のためじゃなくて、誰かのために何かをする。誰かのために生きるというのは、悪いことじゃないな。
ちょっとした幸せを運んできてくれるんだなって、このトーストに教えてもらった気がしているんです。
単純だけど奥の深いグリルドチーズトースト。
大げさと思うかもしれないけど、これを作るたびにぼくは、「生きやすさ」と「家族のために生きる喜び」を感じているんです。
今週末、久しぶりに作ってみようかな。
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