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抱っこのしすぎで両膝の半月板がヤラれたけど、どうでもいいやと思ってる話。

膝がくすぐったい。膝にあてられたシリコンパッドから微弱な電流がモニョモニョと流れてるからだ。

小さなベッドに横になり天井を眺めていると、近くのおばあちゃんの声が聴こえてくる。

「プールでね、歩くんだけどね、あれならね、わたして、ずっと行けるよのね」

作業療法士がその声に答える。

「いいですねー。ムリな運動じゃないですからね。水の中をゆっくり歩くのはリハビリにいいですよ」

ここは整形外科のリハビリ室。やたら幅の狭いベットの上で、ぼくは炎症した膝のリハビリを受けている。

まわりにいるのは70代オーバーとおぼしき方たちばかりだ。たまに見かける若い人たちはケガのリハビリで来ているようだ。

ぼくはどうだって?

サッカーでケガしたわけでも、久しぶりの運動でぎっくり腰になったわけでもない。(保育園の運動会では必ず腰をやられるお父さんが1人いるけど、ぼくはまだ大丈夫)

子どもの抱っこのしすぎで両膝の半月板が損傷したのだ。

んなアホな。だったら世界中の母親の両膝がガクガクになってるわいという人もいるだろう。

ちょっと待ってほしい。落ち着いて話を聞いてくれ。

うちには9歳の双子の男の子と5歳の男の子がいる。

双子が4歳になる頃まで、つまり3人目が生まれるまであの子達は「抱っこ大好きキッズ」だった。

ちょっと歩けば抱っこ。車から降りれば抱っこ。遊ぶ飽きたら抱っこ。

旅行に行っても長い距離を歩けず(実際は歩けないんじゃなくて歩きたくないんだけどね)すぐ抱っこ。

ぼくはふたつの米俵を両肩にかつぐようにかれらを担いで歩いていた。

公園に行くとき、家に帰るとき、旅行先で観光地まで歩くとき。ふたりをヨイショッ!と担ぎあげた。

急に視界が上がり、ふらふらと宙をただような感覚が楽しいのか、ふたりはキャー!といつも喜んでくれた。

ぼくもそれが楽しくて彼らをしょっちゅう担ぎあげてたんだ。

9歳になった今でも、仕事から帰ると長男は玄関までダダッー!と駆けてきて、ぼくに「おかえり!」と言いながらジャンピング抱っこをしかけてくる。

三男が生まれるまで「二人抱っこ」があたりまえだったので、三男誕生後の「ひとり抱っこ」のあまりの軽さに驚いたのをよく覚えてる。

一人抱っこがあまりに楽だったのと、三男が生まれるときに3ヶ月間の育休を取ったこともおり、ぼくはいつも三男を抱っこしていた。

彼はすっかりパパっ子になり、なにかあればすぐぼくに甘え、抱っこもかならずぼくにおねだりしてくる。

「パパ、だっこ」

上目づかいにかわいく言うものだから、この5年間ずっと彼を抱っこし続けてきた。

通算9年間、3人の子どもを抱っこし続けてきたことになる。

左膝の違和感に気がついたのは2年くらい前だと思う。古い機械の関節がきしむように、ぼくの左膝は歩くたびに痛みを感じるようになったのだ。

はじめは在宅ワーク時の姿勢が悪かったせいだと思ってた。だけど、そうじゃなかったみたいだ。

整形外科でヒアルロン酸を注射しリハビリを受け、しばらく大丈夫だったんだけど、こないだ家族5人で遠出をした際に約1時間ほど三男を抱っこした。

家に帰ってからまた膝がおかしくなった。痛みはなかなか消えず、三男の抱っこを控えて2〜3日すると少しずつ痛みは薄れていった。

ぼくは子どもを左腕で抱っこするクセがある。利き腕の右腕が自由に使えるからだ。そのせいでぼくの左胸筋は右より発達している。

膝もそうだったのかもしれない。子どもたちを左腕で抱き抱えることが多かったから、左膝に負担がかかり過ぎたのだ。左をかばったせいか右膝も痛むようになった。

子どもと鬼ごっこをするだけで痛むので、子どもが生まれるまでの趣味だったランニングはもうできないと思う。妻と一緒に楽しんでいた登山もムリでしょうね。走る系のスポーツはもうどれもできないと思う。

損傷した半月板はなかなか治らないらしく、痛まないよう気をつけて生活しつつ、膝に負担をかけない運動(水泳やサイクリングとか)でリハビリすることが大切らしい。

だけど、別にいいかなって思うんです。

走ることがもうできなくても、別にいいやって。子どもたちが元気に暮らせてるならそれでいいやって。

別に命に関わる病じゃないし、走れなくても他にできることはたくさんあるし、膝がおかしくなるくらいどうでもいいやって。

これは育児にまつわる尊い自己犠牲の話しなんかじゃなくて、本当にどうでもいいやって思うんです。

エビデンス的な話をすると、子どもたちと深いつきあいを長期間重ねてきたことで、オキシトシンが分泌され子どもたちへの愛情が強まったことが原因じゃないかなって思ってます。

子育てに見返りなんか要らない。むしろ、体が多少ヤラれたって命に関わらないならどうでもいい。こいつらが元気いっぱいに生きているならそれでいいやって、素直に思うんです。

ぼくが稼ぐお金は子どもたちの養育に消え、家に帰ってからのほとんどの時間は(子どもたちが起きてる限り)一緒に過ごすことで消えるけど、別にいいやって。

なんなら膝もヤラれて健康もだいぶ持ってかれるけど、別にいいやって。

誰かのために生きるのも悪くないねって。自分でもなんともうまく説明ができないんだけど、素直にそう思うんですよね。

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