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ググっても辿りつかない妻との関係改善方法とは?

「妻のトリセツ」という本がありますよね?

女性脳と男性脳というものがあって、それらはぜんぜん違うものなのでこうした方がいいですよというアドバイスが満載の本なのですが、ぼくは妻との関係が悪化した初期の頃にこの本を読んで、すごく楽になったんです。

(あ、この本を読めば妻の気持ちが分かって、夫婦関係は改善するんだ)と思ったんですね。

確かに、女性特有の考え方の理解にはすごく役立ったんですが、だけど、すべての夫婦にあてはまるわけじゃないなというのを最近感じているんです。

それから、妻との関係に悩んだ時って、男性はまず検索しますよね。

「妻 怖い」とか「妻 セックスレス」とかですね。

でも、ネットで検索して解決方法が見つかって夫婦関係が改善しました!って人に会ったことがないんですね。

ぼくは、ネットでどれだけググっても、どれだけ妻のトリセツを読みこんでも、すべての夫婦が関係性を改善できるわけじゃないなって、最近よく思うんです。

じゃあ、どうすればいいのか?

どうすれば、「あなたの」夫婦関係は改善できるのか?

今日は、このことについて考えてみたいと思います。

脳の性差はモザイク状

最近、脳の性差は実はないんだという話をあちこちで聞きますよね。

ジェンダー論も盛んなので、男女差別に合わせてこの主張をされる方も多いですね。

でも、ぼくはこの話を聞くたびに本当かな?って思ってたんです。

だって、現実には男と女って考え方とか行動って、明らかに違うじゃないですか?

夫婦でもぜんぜん違う人っていますよね?

なのに、「脳に男女の差なんてないんです」って言われても、(えぇ、そうかな...?)と思ってしまうんですよね。

だけど、最近ある本を読んで、ちょっとだけどういうことが分かったんです。

まず、「男性脳・女性脳」という概念が定着したのは2014年に発表されたある論文がきっかけだったようです。

ペンシルベニア大学の研究者グループが949人の若い男女の脳をスキャンした結果、男性では各半球内の配線の平均強度が強い反面、女性では両半球間の平均強度が強かった。

彼らは平均強度は各脳内で一貫してそろうと考えたため、この知見は二種の配線、つまり男性的な配線と女性的な配線があることを示唆すると結論づけた。
(出典:「ジェンダーと脳 性別を超える脳の多様性」

ちょっと何言っているか分かりにくいですが、彼らがイギリスの大手新聞「ガーディアン」に載せた次の言葉が分かりやすいと思います。

「いちばん驚いたのは、これらの知見が古くからの固定概念をどれほど裏づけているかにあった。

つまり、男性の脳は明らかに知覚と組織的な行動の配線が強く、女性の脳は社会的能力と記憶の配線が強いのでマルチタスクに向くようだった」
(出典:「ジェンダーと脳 性別を超える脳の多様性」

つまり、男性って組織的な行動が得意で、女性は社会性が高くてマルチタスクが得意なんだけど、それって男女の脳の違いなんだよねってことですね。

日本で「男性脳・女性脳」の概念を広めたのって「妻のトリセツ」なのかなって思うのですが、この本の出版は2018年なので、やはり2014年以降から徐々に「男性脳・女性脳」の概念が生まれたんだと思うんです。

でも、忘れちゃいけないとっても大事なことがあって、それはこの男女の脳の性差というのは、あくまでも平均的なものであって、すべての男が男性脳を持っていて、すべての女性が女性脳を持っているってわけじゃないんです。

ジェンダーと脳 性別を超える脳の多様性」の作者は、この論文を実際に検証してみたそうです。

すると、いわゆる男性脳にかたよった人間や、女性脳にかたよった人間は一人もいなかったそうです。

七個すべての配線強度が「際立って男性的」または「際立って女性的」な人は一人もいなかった。

他方で、際立って男性的な配線と際立って女性的な配線をあわせ持つ脳の割合は全体の48%とかなり高かった。

このように特徴が混在しているため、二種の配線、つまり女性の配線と男性の配線とに二分して語ることは不可能だった。

というより、女性、男性を問わず配線の特徴が混在している状態が普通であって、その中に女性によく見られる強度の配線もあれば、男性によく見られる強度の配線もあり、男女双方によく見られる強度の配線もあるのだった。
(出典:「ジェンダーと脳 性別を超える脳の多様性」

つまり、いわゆる男性脳の割合100%の人や、女性脳の割合100%の人なんていないってことだったんです。

逆に、どんな人にも男性脳的な部分と女性脳的な部分があって、それらがパッチワーク状になっているのが普通だったってことなんですね。

女性脳よりな部分をピンク、男性脳よりな部分をブルーで色分けすると、どんな人もピンクとブルーがまだらにあるんですね。

でも、例えば、男女100人を集めて、その脳のデータ(ピンクとブルーのまだら模様)を並べてみると、女性の方がピンクの割合が多くて、男性の方がブルーの割合が多いんですね。

つまり、男女の平均的な脳の性差は存在するんだけど、その人それぞれの男性脳の割合と女性脳の割合はみんなてんでバラバラなんです。

ぼくは、これが「夫婦関係の改善方法」に正解がないことにつながるなぁって思うんです。

「女性にはこうした方がいいですよ」なんて、一般論のアドバイスはあまり効果がないってことだと思うんです。

誰にでも当てはまる夫婦関係改善方法なんてない

ぼく、いろんな男性に「妻のトリセツ」を勧めていた時期があったんですね。

「とっても参考になりました!」という方もいましたが、中には「うちの妻にはあてはまらないような気がするんです」という方もいました。

夫婦関係に悩む男性とお話しする機会が増えるにつれて、色んな女性のタイプがあるなってことに、最近気がつきはじめました。

男女の脳の性差の話ともつながりますけど、平均的な傾向っていうのはあると思うんですね。

子どもが生まれてから、一人で子育てをしているような感覚があるとか、夫と妻で住む世界が違うように感じられるとか、本当は色々言いたいことがあるんだけど、社会的な価値観の刷り込みによって自分の感情をうまく話せないとか。自分の話を聞いて欲しいんだけど、夫はぜんぜん話を聞いてくれないとか。

そういう全体的な平均値はあるんだけど、それぞれの女性をすべて「女性脳」というくくりの中で考えてしまって、その枠の中で対処方法を考えるのって、ちょっと違うというか、それでは解決ができないなって最近すごく考えているんです。

その人ぞれぞれが持っている脳のモザイクを分析して、その人それぞれに合わせた歩み寄りとかコミュニケーションが必要なんだなって思うんです。

さらにいうと、夫婦って二人の人間の関係性じゃないですか?

ただでさえモザイク状の脳差が、二人になることで、そこにコミュニケーションの多様性がすごく広がるなって感じているんです。

「自分たちにとって」最適な改善方法を探し続ける

自分の妻を「女性脳」という狭い枠に押し込めることができないのと同じように、ぼくら自身も「男性脳」という狭い枠に押し込めることができないじゃないですか?

モザイク状になっているぼくらの脳差は、二人になることで、そのモザイクがさらに広がっていくんですよね。

誰でにもあてはまる「妻のトリセツ」がないように、誰にでもあてはまる「夫のトリセツ」もないわけです。

そして、さらに、誰にでもあてはまる「夫婦のトリセツ」もないわけなんです。

ぼくら夫婦は、自分たち夫婦にとって「最適」な夫婦のトリセツを自分たちで作っていくしかないんですよね。

なぜなら、ぼくらの脳差、その差は男女の違いだけじゃなくて、同性でもですね、この脳差は本当に人それぞれモザイク状になっているので、誰一人として同じではないからです。

そして、夫婦二人のモザイクの掛け合わせによって、その多様性は無限大にも広がっていくんだと思うんです。

だから、ぼくは、妻との関係を改善するためには、外の情報に踊らされずに、でもきちんと情報は取った上で、自分たちにとって最適な関係性とはなんなのかを探し続けるしかないのかなって考えています。

Podcastでも同じ話題について話しているので、ぜひ合わせてどうぞ。

◇◇◇

夫婦関係に悩む男性向けに、オンラインでアドバイスを行なっています。

妻との関係改善を本気で取り組みたいという方はご連絡ください。ぼくが一緒に伴走します。

実際に妻との関係を改善できた方のインタビュー記事はこちらです。読んでいただくとイメージが掴めるかと思います。

Podcastでも、夫婦関係について発信をしています。こちらも合わせてどうぞ。

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